3分でわかる技術の超キホン モーターの基礎・まとめ解説!(モーターの種類・用語など)

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モーターの基礎知識を解説

モーターは、電気的エネルギーを回転力や推進力などの機械的エネルギーに変換するという基本的な部品です。日本語では「電動機」と呼ばれています。

モーターは、自動車はもとより、DVDプレーヤーから洗濯機、エアコンなど家庭内でも多く使用されています。最も小さくて身近にあるのは、スマートフォンのバイブ機能のモーターかもしれません。

今回は、このような電子機器に使用されている小型のモーターの基礎知識についてみていきましょう。

1.モーターの構造と原理

学校で習ったモーターの構造と原理を思い出してみましょう。
図1は、直流モーターの構造と原理の概略を示した図です。
図1において、磁石のN極とS極の間に整流子を取り付けたコイルを置きます。
整流子には、ブラシから電源が供給されます。

磁石によって生じる磁界は、N局からS極に向かっています。
この磁界を横切るようにコイルの電線に電流を流すと「フレミングの左手の法則」によって決まる方向に力が発生します。

図1では、N極側のコイルが上方向に、S極側のコイルが下方向に力を受け、点線の軸を中心に回転します。
コイルが90度回転した時は、電流が流れませんが、コイルは惰性で回転し続けるので、90度を超えて回転すると、それまで整流子の黄色部分がプラス側だったのが、青色部分がプラス側に代わり同じ方向に力を受け、結局コイルは、回転を続けることになります。

Motor structure and principle
[図1 モーターの基本原理]

このようにして、モーターは、電気エネルギーを回転力にすることができるのです。
 

2.モーターの分類(種類)

図1では、直流モーターについて述べましたが、モーターにはいろいろな種類があります。
図2にモーターの大まかな分類を示します。

モーターの分類(種類)
[図2 モーターの分類]

 

図2により、電磁力を使用したモーターである「DCモーター」と「ACモーター」と、それ以外のモーター(例えば、「超音波モーター」)に分けることができます。

さらに、DCモーターは、ブラシ付きDCモーターブラシレスDCモーターステッピングモーターなどに、ACモーターは、誘導モーター同期モーター整流子型モーターなどに、大まかに分類することができます。

 

(1)ブラシ付きDCモーター

図1のように、ブラシと整流子を備えたモーターで、小型モーターでは、最も使用されています。
モーターとしては、最も安価です。小型の電子機器などに使用されています。
 

(2)ブラシレスDCモーター

ブラシ付きDCモーターの欠点であったブラシと整流子を取り除いたモーターです。
構造は、界磁用永久磁石をロータ側(回転する側)、電機子巻線(コイル)をステータ側(外側)に配置しています。
また、整流子の位置変化によるブラシを用いた通電切換の代わりに、ロータ位置信号検出のために ホール素子を用いて、コイルの通電を制御しています。ブラシがないので寿命が長いです。
静音性が求められるパソコン内のハードディスクなどに使用されています。
 

(3)ステッピングモーター

ステッピングモーターは、コイル電流を切り替えると、決まった角度だけ動くモーターで、位置決めなどに利用され、デジタル制御系との整合性がよく制御回路を作りやすいです。
ステッピングモーターは、デジタル信号で簡単に制御でき、工業用途、パソコン周辺機器だけでなく、コピー機などにも用いられています。
 

(4)誘導モーター

図3は、誘導モーターの回転原理を説明する図です。
図3において、磁石を青色矢印の向きに動かすと、円筒(アルミ缶など)の表面には、フレミングの右手の法則に従う向きに、渦電流(*)が流れます。
この電流は、磁界の中を流れるので、円筒はフレミングの左手の法則に従う向き、すなわち磁石の移動方向と同じ向きに力を受けます。
したがって、円筒の軸は磁石と同じ向きに回転します。これが誘導モーターの回転原理です。

実際には、磁石を回転させて動力を得るのでは意味がありませんので、交流電流と電磁石で、磁石を回転させたのと同じ効果があるようにしています。
 

(*)「渦電流」とは、磁場内に電気伝導体があって、磁束密度を変化させた際に、電磁誘導により電気伝導体内で生じる渦状の誘導電流のことを言います。
 

Induction motor
[図3 誘導モーターの原理]

誘導モーターは、負荷が変化すると、それに応じてトルクが変化しますが、速度はあまり変化しません
また、トルクと電流の関係はDCモーターのような直線になりません。
用途としては、扇風機などの家電製品からエレベータなどにも使用されています。
 

(5)同期モーター

図4は、同期モーターの回転原理を説明する図です。
図4のように、回転軸に磁石を置き、外側にも磁石を置いて、外側の磁石を回転軸と同じ方向に回転させると、回転軸の磁石の周りの磁界も回転するので、回転軸の磁石もつられて回転します。
交流電流と電磁石で、外側の磁石を回転させたのと同じ効果を持たせたのが、同期モーターとなります。

Synchronous motor
[図3 同期モーターの原理]

同期モーターは、回転磁界とまったく同じ速さでまわるので、電源の周波数が一定であれば回転数はいつも一定になり、工作機械や電気時計などに使われています。
 

(6)整流子型モーター

ACモーターで整流子やブラシを備えています。
交流・直流いずれでも運転できることから、「ユニバーサルモーター」とも呼ばれます。
交流整流子モーターは、家庭用AC100Vで運転でき、負荷が増えると回転速度が下がり、トルクが増加する、という特徴があります。
このような特性から、家庭電気製品では軽量大出力が必要とされる、電気掃除機、電気ドリルのような工具、あるいは、ミキサーや、コーヒーミルなどに用いられます。
 

(7)超音波モーター

超音波モーターは、金属製弾性体(振動子)で発生した振幅数μmの固有振動(共振)を、摩擦力によって移動子(ロータ、スライダ)の回転や、並進運動に変換するものです。
弾性体の固有振動数(共振周波数)が、超音波領域(20kHz以上)であることから「超音波モーター」と呼ばれています。

超音波モーターの長所は、以下のようになります。

  1. 低速・高トルク特性を有するため、減速機構が不要
  2. 減速ギアが不要なため、静粛性に優れる
  3. 非通電時に保持トルクを有する
  4. 磁気の影響を受けず、電磁波を発生しない
  5. 小型・軽量

一方、短所は以下のようになります。

  1. 磨耗が大きいため、耐久性に劣る
  2. 高速運転が困難
  3. 高周波電源および複雑な駆動回路が必要

上記の長所を生かして、超音波モーターは、一眼レフカメラのオートフォーカスや半導体製造装置、マイクロマシン製造装置などの精密位置決め機構に利用されています。
 

3.最低限知っておきたいモーター関連用語

モーターでよく使われる用語について、説明します。
 

① トルク

トルクは、回転しようとする力(回転力)を表します。
一般的には、回転軸(中心)から離れた作用点に働く力と、中心から作用点までの距離の積で求めます。
式で表すと、次のようになります。

 T(トルク)=F(力の大きさ)×L(軸からの長さ)[N・m](ニュートン・メートル)

モーターでは、モーターのシャフト(軸)を回す力または軸の回転を止めようとする力のことをトルク(負荷)と言います。
負荷をどんどん大きくしていくと、モーターの回転は遅くなりいずれは止まってしまいますが、これは発熱や焼損が起こるとても危険な状態です。
 

② 定格回転速度

「定格回転速度」とは、モーターに定格電圧・定格周波数を印加し、定格出力での運転時における軸の回転速度のことです。単位は、毎分にて表示されます。
 

③ 定格周波数

「定格周波数」とは、電源の周波数のことで、1秒あたりに流れる電気が繰り返される回数です。
単位はヘルツ(Hz)表示であり、日本の場合は東日本地区が50Hz、西日本地区は60Hzとなっています。
 

④ 定格電圧

「定格電圧」とは、モーターに使用する電源の電圧のことです。
 

⑤ 定格出力

「定格出力」とは、定格電圧・定格周波数および指定された時間定格での条件下において、モーターが安全な運転状態を維持できる最大出力のことです。
 

⑥ 定格電流

「定格電流」とは、モーターに定格電圧・定格周波数を印加し、定格出力での運転時にモーターへ流れる電流値のことです。
 

⑦ モーター効率

モーターの効率とは、入力電力に対する機械出力の比を百分率[%]で表したものです。

 モーター効率=出力/入力×100[%]

入力電力、出力(動力ともいう)および損失との間には、次のような関係があります。

 入力電力 = 機械出力 + 損失

これらの量を表す単位は、ワット[W]です。

また、入力電力と機械出力の定義は、以下の式で表されます。

 入力電力[W]=電圧[V]×電流[A]
 機械出力[W]=回転速度[rad/s]×回転力(トルク)[Nm]
(radはラジアン、Nmはニュートン・メートルと呼びます)

損失の中には摩擦のように機械的な原因によるものもありますが、大きな割合を占めるのは銅線内の損失と鉄心内の損失です(モーターの電磁石部分)。前者を「銅損」、後者を「鉄損」と呼びます。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 

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