【機械製図道場・初級編】「ねじ」の表示方法、基本はこれでOK!

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ねじの製図方法を学ぶ

【機械製図道場・初級編】の前回の連載では、「穴の表示方法」について学びました。

機械部品にあける穴は、ねじ部品を通すためのものであることが多く、ねじの表示方法も穴の表示方法と似ている部分があります。
そこで、前回の穴寸法表示に続けて、今回はねじの製図方法について学んで行きたいと思います。

ねじは、基本的な機械要素のひとつであって、別の連載コラム「機械設計マスターへの道」シリーズの中で、「ねじ」について数回にわたって解説していますので、併せてご参照ください。

1.めねじの図示

ねじは、おねじとめねじが、互いにかみ合ってねじ込み締め付けることにより機械部品を締結するものです。

機械部品側に、めねじ穴を加工して、そこにボルトのようなおねじ部品をねじ込む構造とする場合には、機械部品の図面に、めねじ加工に関する必要な情報を、正しい方法で表示する必要があります。

ねじを軸線方向から見れば円形状となります。
ねじには山と谷があります。軸線方向から見た場合、ねじの谷は山にかくれて見えません。

軸線方向から見た図は下図のように、山に相当する円を太い実線で、谷に相当する円は、円周の4分の3の長さの(4分の1は描かない) 細線で書きます。
同様に、断面表示するときも、山を太い実線、谷を細線で書きます。

ねじ加工すると、ねじ切りの最後の部分には不完全ねじ部ができます。
ねじ穴を断面表示するとき、下図のように不完全ねじ部は斜めの細線で表します。

めねじの図示
 

2.ねじの寸法数字の表示方法

(1)ねじサイズ

「メートルねじ」は、記号Mに続けて呼び径(ミリメータ)の表示が基本です。
「細目ねじ」を指定する場合には 呼び径xピッチ で表示します。
また、「左ねじ」を指定する場合は、記号Mの前に「左」の文字をつけます。

(例)左M10 x1 ⇒ 左ねじM10細目ねじ
 

※関連コラム
「メートルねじ」や「細目ねじ」については、「機械設計マスターへの道」シリーズの[機械要素「ねじ」の基本をチェック!必ず知っておくべき前提知識のまとめ]のページもご参照ください。
 

(2)ねじ長さ

完全ねじ部の長さで表示します。
機械部品に、加工するとき、下穴を貫通させない(止まり穴)場合は下キリ深さも表示します。下図に表示方法を示します。

また、引出し線を用いて表示するとき、断面の場合は中心線から、軸線方向から見た図の場合、めねじに対しては、谷を表す4分の3細線の円から引き出します。

ねじ長さ
 

では、簡単な例で「ねじ」の表示方法について演習してみましょう。
 

【例題】ねじとねじ穴の表示方法

《 問題 》

下図のような中空円筒があって、長さ200、外径220、内径120、です。
片側の端面には、直径160の円周上にM20ねじ穴を深さ24で12個均等に加工し、ねじの下穴は径17.5,深さ30とします。
正面図と側面図の2面を用いて、製図してください。
また、切断線表示を使って、ねじ穴の1か所を断面図に表示してください

ねじの製図例題

 

《 解答 》

解答例はここをクリック

ねじの製図解答

 

《 例題の解説 》

解説はここをクリック

正面図は切断線を使った断面表示(本連載シリーズ「断面の表し方②」を参照)とし、側面図にねじ加工する端面を選びました。穴加工表示と同様、ねじ穴も縦中心線振り分けとします。
ねじ穴の詳細形状を断面表示させる必要がある場合、このように切断線を使います。

正面図に円筒の外形寸法を、側面図にねじ穴加工に関する情報を集中表示しました。
このように、製作工程別に寸法表示を行うことも大切です。

 

【関連知識】おねじ、ユニファイねじ、管用ねじの表示

① おねじの製図方法は?

おねじは、ボルトなどの規格ねじを使用することが多く、あらためて製図する機会は少ないですが、製図方法は覚えておく必要があります。

おねじは外径側の山を太い実線、内径側の谷を細線で表します。
おねじは断面表示せず、引出し線で寸法表示するときは、外径線から引き出します。

おねじの表示
 

② ユニファイねじを使う場合の表示

日本ではメートルねじが基本ですが、インチ系列のユニファイねじを使用する場合もあります。
ユニファイねじは、呼び径(インチ)‐インチ当たりのねじ山数記号UNCまたはUNFという寸法数字表示を行います。(ピッチではなくインチ当たりのねじ山数で表す)
UNCは並目、UNFは細目であることを示します。

(例)1/2-20UNF ⇒ 0.5インチ、インチ当たり20山、ユニファイ細目ねじ
 

③ 管用ねじの表示

管用ねじは、配管継手や配管部品の締結に使用されますが、機械部品にもプラグの取付等で管用めねじの図示が必要となる場合があります。
ねじのサイズはインチで表し、密封性に重点をおいた管用テーパおねじと組み合せる管用めねじは、テーパめねじとする場合は記号Rp平行めねじとする場合は記号Rc をそれぞれ用います。参考までに旧JIS規格では前者をPT、後者をPSと呼んでいました。

めねじ深さはJIS B0203で規定されており、ねじ深さを記入する必要はありません。旧JIS規格では長ねじと短ねじが規定されていましたが、新JIS規格では一つに統一されました。
構造用鋼管や密封性を要求しない配管部品取付けなど、単に機械的接合を行うための平行ねじは記号G を用います。こちらの場合は規格でねじ深さの規定がありませんので、取付部品に応じてねじ深さの表示が必要となります。下図は1/2インチの管用平行めねじとする場合の図示例です。

管用平行めねじの表示例

 

機械部品には、ねじ部品が数多く使われます。
特に、機械部品側にめねじを切る構造が多いので、めねじ穴の正しい製図を行えるようにしましょう。

 
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)

 

 

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