3分でわかる コンデンサの基礎知識(原理・種類・使い方・回路例など)

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電子回路とコンデンサ(キャパシタ)の解説

今回は、電子回路部品のうち「コンデンサ」について説明します。
電子回路を構成する部品のうち、コンデンサ(キャパシタとも言う)は、抵抗と並んで最も数多く使用されている部品の一つです。

スマートフォンの内部には、数百個もの表面実装タイプのコンデンサが使用されているようです。
このように、抵抗と同様、無くてはならない電子回路部品なのです。

コンデンサの適切な使い方は、デジタル・アナログを問わず、すべての回路設計者が身につけておかなければならない、回路設計の基本です。

1.コンデンサの原理

まず、コンデンサの原理を見ていきましょう。

 コンデンサの原理

多種多用途にわたるコンデンサも、原理は至って簡単です。

上図のように、真空中に一定間隔dを隔てて、面積Sの電極板A、Bを置き、電源から電圧Vをかけると、電極間には、
Q=CV(クーロン)
の電荷が蓄えられます。

ここで、Cは電極板A、Bよって構成されるコンデンサの容量で、次の式で表されます。
C=S×ε₀/d
[S:電極面積、d:電極間距離、ε₀:真空の誘電率]

実際のコンデンサは、電極板の間に、真空の代わりにマイカ、ガラス、セラミック、プラスチックフィルムなどの誘電体、あるいは電解質を入れた構造になっており、それぞれの媒質の名前をとって「セラミックコンデンサ」とか「電解コンデンサ」のように呼ばれています。

それぞれの媒質の真空に対する誘電率の比を比誘電率と呼びεr で表すと、その容量値Cは、
C=εr×S×ε₀/d  Cの単位はF(ファラッド)
と表されます。
 

2.コンデンサの種類

コンデンサは、大まかに言うと「有極性コンデンサ」と「無極性コンデンサ」に分類されます。

コンデンサには2つの端子があります。

有極性コンデンサ」は、2つの端子のうちプラス側が決まっているコンデンサです。
電解コンデンサなどが有極性コンデンサとなります。
有極性コンデンサはプラスとマイナスを間違えて接続すると、コンデンサが故障します。

一方、「無極性コンデンサ」は、プラス側とマイナスが決まっていないコンデンサです。
セラミックコンデンサなどがあります。
 

① アルミ電解コンデンサ

アルミ箔の表面に電気化学的に酸化アルミニウムの絶縁被膜を形成したコンデンサです。
比較的大容量のものを作ることができます。

誘電体(アルミ酸化皮膜)とアルミ箔との間に紙(セパレート紙)を挟んでお互いに接触しないようにしながらロール状に巻き、液体の電解質に浸して封じた構造となっています。

容量と耐圧の品種が豊富で安価です。形状が大きく、寿命が短いというマイナス面もあります。
 

② セラミックコンデンサ

絶縁体としてチタン酸バリウムなどの誘電率の大きいものを使い、小型の割に容量が大きいです。
近年は、薄膜積層構造により小形大容量化した積層セラミックコンデンサの出現や、欠点であった温度特性(温度による静電容量の変化率が大きい)を克服した温度補償用の出現によりその使用範囲が大きく拡大し、コンデンサの中で最も多く使用されるコンデンサとなりました。

無極性で長寿命、高耐熱です。
また、マイナス面としては、印可電圧によって容量が変化する特性があったり、高周波による振動で音鳴りが発生することがあります。
 

③ フィルムコンデンサ

フィルムコンデンサは、誘電体にプラスチックフィルムを用いたコンデンサです。

セラミックコンデンサと比較すると耐熱性は低いものの、優れた温度特性・静電容量の高精度対応が可能です。
また、セラミックコンデンサより、形状が大きく高価という短所があるため、セラミックコンデンサではカバーできない電圧・容量域や高性能/高精度用途で使用されます。
 

④ 電気二重層コンデンサ

電気二重層コンデンサは、アルミ電解コンデンサと二次電池(バッテリー)の中間の容量を持つ特殊なコンデンサであり、その容量密度はアルミ電解コンデンサの約1000倍以上で、二次電池の1/10程度です。

固体(活性炭電極)と液体(電解液)の界面に形成される電気二重層(Electrical Double Layer)を誘電体の代わりとして使用しています。

容量が極めて大きく、充放電回数に制限がないという特徴があります。
そのため、停電時のICメモリのデータ保護など、バックアップ用電源として利用されます。
 

 

3.コンデンサの機能と役割・使い方

コンデンサの基本的な機能としては、大きく分けると2つあります。
一つは、電荷を貯めることで、もう一つは、直流は通さないが交流は通すということです。

使い方を簡単な回路で見てみましょう。(回路は、大まかな部分を示し、詳細は省略しています。)

「放電回路」「平滑回路」は電荷をためる回路の例で、「デカップリング回路」「カップリング回路」は、直流は通さないが交流は通す回路の例です。
 

① 放電回路

放電回路

放電回路は、コンデンサに蓄えた電荷を放電させることで接続されている負荷を動作させる回路です。

この回路では、スイッチを電源側に接続するとコンデンサは充電され、電源電圧にまで電荷が蓄積すると充電は止まります。
スイッチを負荷(電球)側に接続するとコンデンサは放電を開始し、電球は点灯します。
大電流を瞬時に放電できることから、カメラのストロボなどに使用されます。
 

② 平滑回路

平滑回路

平滑回路は、交流電圧を整流した後の脈流を滑らかにし、直流に変換する回路です。

(a)の交流の入力電圧を整流素子で整流(回路例では全波整流)した電圧の波(b)を、コンデンサによって(c)のように平坦な電圧波形にします。
交流から直流を作る電源回路には、よく用いられます。
 

③ デカップリング回路

デカップリング回路
デカップリング回路は名称の通り、信号の結合を分離するためにコンデンサを利用する回路です。

この例では、(a)のように直流成分に周波数の高い交流成分(ノイズ)を含む信号経路に、図のようにコンデンサを入れることで、周波数の高いノイズ成分だけがコンデンサを通過して分離され(b)、以降にノイズが伝わらないようにしています(c)。ノイズを取り除く用途がこれにあたります。
 

④ カップリング回路

カップリング回路

カップリング回路は、直流成分は通さず交流成分のみを通過させる回路です。

(a)の波形は、直流成分に信号成分である交流部分が重畳された波形になっています。
(b)の波形は、コンデンサを通過することにより、信号成分のみを取り出した波形になっています。

例えば、オーディオ信号の増幅回路等で、直流成分による影響を排除したい場合に使用されています。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 


【関連コラム:機械装置設計者のための電子回路入門】


 

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