【技術者のための法律講座】化学物質の管理・規制に関する法律入門

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化学物質の管理

今回のコラムでは、化学物質の管理・規制にかかわる法制度について、我が国の法律、特に化審法を中心にご紹介します。

化学物質規制と関連法の背景と歴史

有史以前から人類は天然に存在する化学物質を活用してきましたが、産業革命以降、化学産業の発展により極めて多種類の膨大な量の化学物質が活用されるようになりました。

人類が知りうる化学物質の総数は億単位の数(アメリカ化学会[American Chemical Society, ACS]が発行するChemical Abstracts誌のCAS登録番号が付与された化学物質は2億1000万種以上[2018年12月現在] )で、工業的に生産されている化学物質ものだけでも約10万種と言われており、現代社会は化学物質がなければ成り立たないといっても過言ではないでしょう。

一方で、化学物質によって環境汚染や健康被害が生じたことも皆さんよくご存じのことです。

我が国では、1955年に主に西日本を中心として、粉ミルクを飲用した乳幼児に多数の死者・中毒患者を出した森永ヒ素ミルク中毒事件が発生し、その後1968年に北九州市の会社が製造した食用油「カネミライスオイル」を摂取した人々に重篤な中毒症状が出るというカネミ油症事件が起こり、被害者は、1万4000人超、認定された患者数は約1,900人という大変な健康被害が広がりました。

カネミ油症事件の原因は当初、混入した脱臭工程で熱媒体として使われていたポリ塩化ビフェニル(PCB)とされていましたが、その後の研究で、PCB が加熱されて変化したダイオキシン類(PCDF及びCo-PCB)による複合汚染であったことが判明しました。
 

化審法の制定

このような事件を契機として、1973年10月に有害な化学物質による環境・人体汚染を未然に防止する目的で「化審法」(通称。正式名称は「化学物質の審査及び製造に関する法律」)が制定されました。

カネミ油症事件が起こるまで、人への健康被害の防止は、直接、化学物質と接触して被害を及ぼすような毒劇物の製造・使用等の規制や排出ガス・排出水等の規制だけでしたが、PCBのような難分解性・高濃縮性の化学物質に対して、その安全性を確認し、人の健康を損なうおそれのある化学物質の製造・輸入の規制が求められるようになったことが、化審法制定の背景にあります。

化審法はその後、数回の改正(下記参照)を経て現在に至っています。
 

化審法の主な改正事項

1986年

トリクロロエチレン等による地下水汚染など化学物質による環境汚染を防止するための改正
高濃縮性ではないが難分解性、長期毒性のある化学物質を第二種特定化学物質に新たに指定し、規制。
また、高濃縮性ではないが難分解性、長期毒性のおそれの疑いのある化学物質も指定化学物質(現:第二種監視化学物質)に指定。
 

2003年

動植物への影響に着目した審査規制制度の導入(第三種監視化学物質の指定・措置)や環境中の放出可能性に着目した事前審査制度の見直しなどの改正。
 

2009年

「2020年までにすべての化学物質による人及び環境への影響を最小化する」という国際合意の達成に向けて、包括的な管理制度の導入等抜本的な見直しの改正。
企業に対して、すべての化学物質の製造・輸入量、用途を年1回報告することの義務付け(2011年4月1日から)。
 

2017年

少量新規・低生産量審査特例制度、一般化学物質等製造数量等届出の導入。
 

化管法とは?

「化審法」以外の主要な関連法に、「化管法」があります。

「化管法」(通称。正式名称は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」。PRTR法、化学物質排出把握管理促進法)は1999年7月13日に公布された法律であり、有害性のある様々な化学物質の環境への排出量を把握することなどにより、化学物質を取り扱う事業者の自主的な化学物質の管理の改善を促進し、化学物質による環境の保全上の支障が生ずることを未然に防止することを目的として制定されました。
 

化学物質の管理・規制に関する法体系

化学物質の管理・規制にかかわる我が国の法律は、多岐にわたっており、簡単に把握することは容易ではありません。
環境省の資料から、これらの法律関係をまとめた以下の図1を参照してください。

化学物質関連法のまとめ(環境省)
【図1 化学物質関連法】

[出典:環境省 化学物質情報検索支援システム「ケミココ」より]
(※URL: http://www.chemicoco.go.jp/laws.html )

この図から、「化審法」、「化管法」、「労働安全衛生法」、「毒劇法」などの法律の位置付けが把握できるかと思います。

 
「化審法」と「化管法」については、次回以降の連載コラムでもう少し詳しく解説します。

 
(日本アイアール株式会社 A・A)
 
 

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