【品質保証塾・初級編】品質保証は転職に有利?転職市場の動向や学歴、おススメ業界などを紹介
かつては、大学や地元の繋がりで就職するというパターンも一般的でしたが、インターネットの発展により、就職市場も大きく変わってきました。誰もが、全国各地の企業を自由に受けることができるような時代となったのです。
また、ネットやSNSが発展したことで、企業内部の情報も知ることができるようになりました。今まで『普通』だと思っていた自社の制度や文化が『異常』だったと気付く人も少なくありません。
こうした背景から、より良い環境や待遇を求め転職をするのは当たり前のことになっています。
実は品質保証は『つぶしがきく職業』でもあります。求人も多く存在し、品質保証の転職市場は活発です。
今回は、そんな品質保証の転職事情についての記事になります。
目次
1.品質保証の仕事と業界動向
ここ最近よくニュースになっていますが、国内製造業の相次ぐ品質不正。負の連鎖は、収束する気配をみせません。品質不正は一企業のみの問題ではなく、サプライチェーン全体にわたる悪影響を引き起こしかねない重大問題です。このような問題が明るみに出ると、ビジネス的に大打撃を受け、最悪経営破綻まで追い込まれることもあります。
品質不正に走ってしまう要因は『品質保証部門の独立性が欠如』であったり『組織ぐるみの隠ぺい』が考えられるでしょう。これらは実際に製造に関わる部門のみでなく、全社的な「企業文化」「組織構造」「ルールや仕組み(マネジメントシステム)」に関わる問題となります。
このような背景から『従業員の循環』や『他組織の知見・ノウハウの習得』など、品質保証・品質管理部門は非常に注目を集めるポジションであることがわかります。
2.品質保証の役立つスキルや経験
特に転職活動で武器になるスキルを説明していきます。
(1)顧客折衝・レポーティングのスキル
品質保証・品質管理においては実際にお客様と対面し、業務を進めるケースもあります。
時には厳しい指摘をもらうこともあり、強い精神力・忍耐力が必要となります。
顧客からの問合せを受けると、製品のスペックから製造工程に関する質問を受けたり、様々な観点の問い合わせを受けることになります。幅広い知識と、臨機応変の対応力が求められるのです。顧客を説得する力は、大切なポータブルスキルといえるでしょう。
(2)国際規格の知識
有名な品質に関する国際規格のひとつにISO9001があります。ISO9001は製造業・サービス業に適用される規格であるため、業界や扱う製品を問わずに求められるスキルです。
また、基本的に企業では、ISO9001に準じて社内システム(QMS等)を作り上げていくため、培った知識を他社にも応用することができます。品質規格と社内システムに精通している人の需要は高いです。
(3)専門知識の習得
製造業では、他業種から品質保証・品質管理へ社内異動するケースも多く、必ずしも『品質保証一筋』である必要はありません。開発部門や生産技術で身に着けた専門知識を活かし、品質改善/改革に取り組めるスキルは、品質保証で重宝されます。
逆に、品質保証・品質管理から他業種へのジョブチェンジも可能です。品質部門では統計的にデータ分析を行う業務もあり、数字的事実から問題点を考察し改善策を見出していく活動も担います。このような経験やスキルは開発・生産技術等の職種でも需要があるのです。
特に、QC検定を持っている方は、品質部門だけではなく開発でも使えるスキルになるのでストロングポイントとなるでしょう。
3.品質保証における転職適正年齢
『転職は若手でないと需要がない』などと思われがちですが、実際のところ品質保証・品質管理においては適正年齢はそれほど関係ありません。
品質保証・品質管理に関する専門的な知識はもちろんですが、数々の修羅場を乗り越えてきた『経験』が重宝されます。経験はすぐ習得できず、時間をかけてじっくり積み重ねていくものですので40〜50代の方が採用されるケースもあります。
また顧客の偉い方と折衝するケースもあり、顧客の管理職と同世代が求められるケースも考えられます。人をなだめるような余裕も大切かもしれません。
4.品質保証の転職で求められる学歴
転職を検討するにあたって、学歴が心配になる方もいらっしゃるかと思います。
品質保証の転職における学歴について解説していきます。
(1)学歴はあまり関係ない?
結論から申し上げますと、品質保証の転職で学歴は、あまり関係ありません。
高卒入社で製造部門に配属した人が、今までの経験を買われ品質保証へ異動するケースも良く耳にします。
専門性より経験を持っている人が、品質保証で求められる傾向にあります。品質保証は学歴重視の職種ではなく、経験や人間性が重要視される場合が多いです。
(2)本社勤務や評価部門では学歴を求められることも
全体を統括するような本社の管理業務を行う品質保証であったり、専門知識が必要となる評価部門(信頼性検証、第三者検証など)では学歴が求められるケースもあります。
大学時代の専攻が必要となってきたりするため、ある程度の学歴と専門知識が求められる場合があります。
5.品質保証は転職がしやすい職種
品質保証は『転職がしやすい』職種だと言われています。その理由は、つぶしがきく職種であるためです。
製造業の品質保証の仕事は、営業・購買・設計・製造・検査・出荷・アフターサービスなどなど、数々の職種の集大成です。それぞれの職種について、何をどのように仕事をしているか知らないと、品質保証の仕事なんてできません。
なので、幅広く組織のノウハウを吸収することができるため、他社からするとノウハウを知っている人材は魅力的に見えます。
また、問題解決力や他部門との交渉力は、組織問わずどこでも活かせることのできるポータブルスキルです。品質保証の仕事は奥深く、案件によっては会社全体をマネジメントすることもできるので、非常に責任も重大です。前向きに仕事に取り組んでいると、毎日のように新しい発見もあり、日々スキルアップすることができる職業なのです。
一つのことを極めるのではなく、全体を俯瞰的に『広く浅く様々な』ことを学ぶ品質保証での経験は、比較的、どの業界でも通用するスキルが多いので、品質保証は『つぶしがきく』職業であり、転職にも有利です。
6.どの業界の品質保証がオススメか?
品質保証としてステップアップするためには『自動車業界』を経験することをオススメします。自動車は人命に関わる工業製品です。そんな工業製品を量産しているので、仕組みや品質保証体制も強固です。
更に、品質への意識が他業界とは桁違いなので、品質問題の深刻度は極めて高くなります。クレーム対応やお客様の要求もかなり厳しいため、自動車業界で品質保証をしている人はメンタルが強靭な方々が多いです。
自動車業界で品質保証を経験すれば、ある程度、どこの業界にいっても通用できるでしょう。『仕組みや品質保証体制が複雑』『品質への意識が他業界と桁違い』『メンタル、交渉力が鍛えられる』ため、自動車業界で品質保証を経験するとキャリアアップにも繋がりオススメです。
7.まとめ
今回は、品質保証の転職事情について書いてみました。
品質保証を経験すると、幅広く物事を知ることができ、転職の幅も広がる=市場価値向上にも繋がります。
- 昨今の重大な品質不正問題などにより、品質保証の強化が課題である企業も多い
- 品質保証の強化のため、品質保証の求人も増加傾向
- 顧客折衝、規格知識、専門知識の習得は品質保証の市場価値を高めるうえで必要
- 品質保証においては学歴よりも経験が重視されるケースも多い
- 品質保証は『つぶしがきく』職業なので、他業界への挑戦もしやすい
- 品質保証として市場価値を高めるなら、自動車業界がオススメ
(アイアール技術者教育研究所 Y・S)