- 人気セミナー
【1日でマスター】設備の投資採算性《WACCとペイバック法・NPV法・IRR法》(セミナー)
2025/2/27(木)10:00~16:00
お問い合わせ
03-6206-4966
目次
標準3票(標準作業3票)とは、トヨタが確立した現場改善の手法のことで、以下の3つの道具のことです。
標準作業3票の作成にあたっては、「タクトタイム、作業順序、標準手持ち」の三要素を最初に決定する必要があります。
「タクトタイム」とは、1個(台)を何秒でつくらなければいけないかという時間のことです。
わかりやすく言い換えると、タクトタイムを決めることとは、つくり過ぎず、かといって不足しない作業スピードを定めることです。
・8:00~17:00を定時とすると、稼働時間は休憩時間(昼休み、午前と午後休憩)を除く7時間30分(27,000秒)
・1日(1直分)の必要数が平均500個(販売計画より1日分の平均の売れる台数)
とした場合のタクトタイムは、(1日の稼働時間÷日当たり平均必要数)で求められます。
27,000秒÷500個=54秒/個
となり、1個あたり54秒でつくる必要があります。
作業者が無理なく、効率的に良品の生産ができる「人の作業の順序」のことです。
具体的には、作業者が物(ワーク)を運び、加工設備へのワーク取り付け・取り外し、部品組立、検査などを実施する最適な順序のことです。
同じ手順で繰り返し作業ができるために、必要な最小限のワークの手持ちのことです。
「標準手持ち」以外の仕掛り品を持たないのが原則です。
それでは、標準手持ちがないと、どのようなムダが発生するのでしょうか?
自動送り加工の設備を使用した工程の事例(図1、図2)で説明します。
作業者が加工前ワークを運搬(歩行)し、加工設備の前に立った段階で、図1の①に示すように、既に加工済みのワークが1個払い出されています。
そのため、「②ワーク取り付け~④ワーク取り出し」作業が完了すれば、作業者が待ちの発生無し(ムダ発生無し)で次工程へ加工完了ワークを運搬できます。(図1の⑤)
ただし、加工設備を使用する場合に以下の条件が必要です。
作業者が加工前ワークを運搬(歩行)し、加工設備の前に立った段階で設備は停止しており、加工済みのワークが払い出されていない状態です。(図2の①)
作業者は、ワークの取り付け後、加工完了まで何もしないで待つことになり、大きなムダが発生してしまいます。(図2の④)
ただし、加工設備が自動送りではなく手動送りの場合は、標準手持ちは不要になります。
以上説明したように、標準作業3票を作成するためには
を最初に決定することが必要となります。
「工程別能力表」は、バラツキのある各工程の加工能力を把握し、その中でボトルネックとなるネック工程を見つけるための道具です。次に説明する標準作業組合せ票をつくる際の元データにもなります。
以下に項目毎の記入方法を説明します。
工程No.(加工工程の順序番号)、工程名称(部品が加工されていく工程の概要)、機番(各工程で使用されている設備の機械番号)を記入。
作業者が各工程で行う1個あたりの手作業の時間。ただし、ここでは歩行時間は含みません。
設備がワークを1個加工するのに要する時間。
(起動ボタンを押す~加工完了~ワーク払出し~設備が停止するまでの時間)
「手作業時間①+自動送り時間②」、各工程でワーク1個完成させる必要な時間。
旋盤など切削工程はバイト(又は先端のチップ)などの刃具寿命。研削盤は砥石寿命。
バイト(又は先端のチップ)、砥石の交換に要する時間。
「刃具交換時間⑤/刃具交換個数④」
まずは、各工程の加工能力を以下の式で計算します。(単位:個/直)
1直の稼働時間/(1個あたりの完成時間③ + 1個あたりの刃具交換時間⑥)
1直の稼働時間=7時間30分(27,000秒)での計算例を図3に示します。
各工程の加工能力に対して、一番小さい加工能力の工程を見つけます。
この工程は「ネック工程」と呼ばれ、ボトルネックになる工程です。
さらに、ライン全体の加工能力になります。(単位:個/直)
図3の例では、No.1のLath-01の加工設備を使用した工程の加工能力(549個/直)が一番小さいため、No.1の工程をネック工程と呼び、ライン全体の加工能力は549個/直になります。
手作業は実線、自動送りは破線で描き、線の上に数値を記入します。
こうすることで、ネック工程が長くなり、結果を可視化できます。
当サイトでは「工程別能力表」のテンプレートをダウンロードできます。
(テンプレート中の、青色のセルは自動計算部分です。)
図3 工程別能力表の記入事例
「作業者」と「設備」の組合せを改善して標準化していく道具のため、「標準作業組合せ票」という呼び名がついています。作業者の歩行も含めた動きのムダを「見える化」するための道具です。
標準作業組合せ票は、売れるスピードのタクトタイムが基準となります。
作業者1人の作業範囲を検討し、作業者1人分の「標準作業組合せ票」を作成します。(図4参照)
今回の事例は、54秒/個で検討しています。
27,000秒÷500個(1日の定時稼働時間÷日当たり平均必要数)=54秒/個
「材料を取る」、「完成品を置き、並べる」といった実際の生産に沿った手作業を追加します。
なお、「標準作業組合せ票」のテンプレートにおいて、青色のセルは自動計算部分です。
「標準作業票」は、工程全体の作業改善を検討するための道具です。
作業者1人分の作業範囲、標準作業の3要素(タクトタイム、作業順序、標準手持ち)を、材料置場、設備、などのレイアウトに近い図で示したものです。品質確認、安全等の記号も記入していきます。
主に、作業動線の問題点を見つける道具です。
上段の欄に、「標準作業組合せ票」の最初の作業と最後の作業を記入する。
設備のレイアウト図(イメージ図に近い図)に、「標準作業組合せ票」に示された作業No.に従い、番号付けを行い実線で結び、最後の作業から、最初の作業への戻りは破線で示す。
どこが変わったのかを赤で示します。
図6に示すように、材料置場と工程②までの作業者の動線が長いため、歩行時間が長くなっていることが分かりました。そこで材料置場の位置を最適な場所に移動した結果、材料置場と工程②の歩行時間が3秒→2秒に短縮することができました。
その結果、図7に示すようにサイクルタイムが55秒→54秒になり、タクトタイムと同じになりました。
今回ご紹介した標準作業の3票「工程別能力表」「標準作業組合せ票」「標準作業票」を活用して、現場改善を目指してください。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)
※当研究所が提供している資料や各種フォーマット等につきましては「資料ダウンロードページ」をご参照ください。 【標準3票を活用したい方へ】(ダウンロードはこちら)当研究所では、このページでご説明した「標準3票(工程別能力表、標準作業組合せ票、標準作業票)」のフォーマットを無料提供しております。(記載内容は一部であって、全体を網羅したものではありません)
「標準3票」の運用を成功に導くポイントが満載!おすすめのセミナー・研修トヨタ生産方式に関連するeラーニング講座はこちら