【機械製図道場・入門編】断面の表し方① 全断面図と片側断面図、線種の使い分け
【機械製図道場・入門編】の連載では、第4回までに投影法および基本的な投影図とそのバリエーションについて学び、前回はその物体の形状や機能が最もわかりやすい方向の投影図であって、できるだけ寸法を集中的に記入すべき「正面図」(主投影図)についての解説と例題演習を行いました。
物体の形状を最も明瞭に示す投影図として、一般的には、物体を横長に置いた状態を正面図にとることが多くあります。
中空部がある品物で、中空内面側が、段差や横穴など形状変化要素に富んでいて示すべき情報が多い場合は、原則として中心線を通る面で切断した面(断面図)で表します。
断面で表示しないと、内面の線がすべて破線表示になり読みづらい図となるからです。
実際、世の中に存在する機械には、ケーシング、ハウジング、ボディ、など内部に様々な構成部品が組み込まれる形状変化に富む中空部を持つものが数多くあり、断面を正確に表す技術は必須です。
部品全体を断面で表したものを「全断面図」、中心線に対して対称なものを半分だけを断面で表し片方は外形で表したものを「片側断面図」といいます。
下図のような単純な中空円筒の場合、全断面で示すと内径線が上下実線に、片側断面で示すと、上の断面は内径線を実線で、下の外形図では内径線がかくれ線になるので破線で描きます。
単純形状であれば問題ありませんが、外形・内面とも形状変化要素が多くなると、すべて外形で表したのでは、実線と破線が錯綜してわかりづらい図面になります。
(左から、単純な中空円筒、全断面、片側断面)
少し形状変化要素の多い品物を、断面図を使って分かりやすく表す方法を例題で演習してみましょう。
【例題】断面の表し方(1)
《 問題 》
下図のように、基本的には円筒形状であって、外形と内面に形状変化や段差部があって、内径の大きい箇所には、上下対称に穴があいている物体があります。
この物体を、片側断面図で製図してください。
《 解答 》
《 例題の解説 》
製図に用いる「線種」についてチェックすべし!
図面は、様々な線の種類と太さで描かれます。
JIS機械製図(JIS Z8312)に、製図に用いる線種と太さ、使い分けについて規定しています。よく用いるものについて下表に示します。
なお、線の太さの比は、太線:細線=2:1となっています。
対象物の見える線を示す外形線には太い実線を用い、それ以外はすべて細線を用います。形状を示しているのか、そうでないのかを明確に区別できるようにするためです。
特に、外形線と寸法補助線を同じ線種で描くことがないように注意してください。
以上、今回は断面の表し方、関連して製図に使用する線種、太さとその使い分けについて学びました。
断面図については、次回さらにいろいろな断面図のバリエーション(対称図形でない場合の断面表示など)について学びます。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)