【機械設計マスターへの道】機械要素:小ねじ(ビス)の種類と用途
今回は、六角頭付きボルトではない、小物ねじについてご紹介します。
小ねじを「ビス」と呼ぶことがあります。
ビスはフランス語でねじを指しますが、日本ではボルトのような六角形の頭部のない小ねじを、慣習的にビスと呼んでいるようです。
小ねじにはいくつか種類があります
1.すりわり付きと十字穴付き
頭部がマイナスのものをすりわり付き、プラスのものを十字穴付きと呼びます。
マイナス溝は切削加工で切り込むのに対して、十字穴はプレスで成形されます。
近年は、プレス技術の進歩と使い勝手の良さからプラスの方が普及しています。
すりわりは切り込み量が少ないことから強度上は十字穴より有利です。
「すりわり」と「十字穴」の使い分け
脱着が頻繁に行われる個所は十字穴、床面設置など清掃作業を考慮する場合はすりわり、という選択が一般的です。
頭部の形状によって、なべ小ねじ、皿小ねじ、丸小ねじ、丸皿小ねじ、チーズ小ねじ等の種類があります。
2.皿小ねじ
座面がテーパになっていて、部材側にテーパ状の皿座グリが必要になります。
ねじの頭部を部材表面から出ないようにできる利点がありますが、皿座グリで位置決めをするため、ねじ穴の形状や位置精度が重要になります。
3.止めねじ
大きな力が加わらない場合に機械部品を固定するために使われます。(軸スリーブなど)
頭部が無く、端面に六角穴やすりわりが設けられます。
4.タッピングねじ
締付部材が、薄鋼板や合成樹脂などのときに、下穴のみでめねじを加工せずに、ねじ込みながらねじ切りを行って部材を締め付ける場合があります。
この場合に用いる小ねじを「タッピングねじ」と呼びます。締付部材が木材の場合は木ねじと呼びます。
ねじの先端がドリルのように尖った形状になっています
小ねじにもいろいろ種類がありますので、用途に応じて適切なものを選択するようにしましょう。
次回のコラムは、機械材料「炭素鋼」の特徴と使い分けについてご説明します。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)