【機械製図道場・入門編】主投影図(正面図)の選び方
連載【機械製図道場・入門編】の第1回から4回まで、投影法と投影法を用いた三面図および部分投影図、補助投影図について例題演習を交えて学んできました。
今回は、各投影図の中で主役となるべき図面についての解説と演習です。
ものをつくるためには、その形状だけではなく、「寸法」を表示する必要があります。(寸法表示方法に関して、決まりごとや注意点がいろいろとありますが、これについて別の回に例題演習を行います)
JIS B0001は寸法記入の原則を規定している規格ですが、その中に「寸法はできるかぎり主投影図に記入する」というものがあります。
これは、その物体の形状を最も明瞭に表す図面になるべく集中して寸法を表示するべき、という考えに基づくものです。
機械製図は、第三角法による正面図・側面図・平面図の三面図展開を基本として、必要に応じて、部分投影図、局部投影図、補助投影図を併用します。
これら投影図の中で、できるだけ寸法を集中的に記入すべき「主投影図」とは、正面図のことをいいます。
つまり、その物体の形状や機能が最もわかりやすい方向の投影図を正面図に選ぶべきなのです。
言い換えると、形状や機能が最もわかりやすい投影面が正面図となるように物体を第三角に置いて、そこから側面図・平面図に展開する、ということになります。
では、正面図(主投影図)の選択の仕方を簡単な例で演習してみましょう。
【例題】正面図の選び方
《 問題 》
下図のような、円盤と形状変化する板部から構成される物体を、三面図に展開するとき、どの方向から見た投影図を正面図に選ぶのが良いでしょうか?正面図を図示してください。
《 解答 》
《 例題の解説 》
「向き」にも注意すべし!
正面図にする投影方向が決まったら、図に表す物体形状の向きにも注意を払います。
別コラム「機械設計マスターへの道(加工しやすさを考えよう)」の中で解説していますが、例えば加工方法を考えて旋盤加工するものであれば、旋盤のチャックに加工物(ワーク)を固定するときと同じ向きに図面中の物体を置きます。
例題の他にも、いろいろな形状を持った物体について、正面図と図の向きの選択の経験を積み重ねて、作り手にとってなるべく見やすい図面を描く力量を高めてください。
次回は、断面の表し方(全断面図、片側断面図)についての解説です。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)