【半導体製造プロセス入門】熱処理装置の種類・方式を解説 (ホットウォール型/RTA/レーザアニール)

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半導体熱処理装置の種類と方式を解説

半導体製造では、さまざまな熱処理(アニール)を行います。
熱処理というと難しく聞こえますが、意図する効果を得るために、要は製造の過程で、シリコンウエハーに熱を加え、化学反応や物理的な現象を促進させることです。

今回は、熱処理装置の種類・方式について説明します。
熱処理装置にもバッチ式と枚葉式があります。

1.バッチ式の熱処理装置(ホットウォール型)

バッチ式の熱処理装置として代表的なものに「ホットウオール型」があります。

これは、石英製の大きな管(炉心管)の中に、「ボート」と呼ばれる治具の上に乗せたウエハーをまとめて入れて、炉心管の外から熱を加えて加熱する方式です。

ボートの両端にはダミーウエハーと呼ばれる使用しないウエハーを置き、ガスの流れや加熱の具合などを炉内で均一にしています。なお、ウエハーの枚数が所定の枚数に足りない場合は、ダミーウエハーを増やして処理を行います。
 

(1)縦型炉と横型炉

ホットウオール型には「縦型炉」と「横型炉」があります。
横型は炉心管が横になっているもの、縦型は炉心管が縦になっているものです。

図1に示す横型炉はウエハーの大きさが小さい場合によく使用されますが、近年の大型ウエハーでは、床面積が大きくなるためにあまり使用されません。大きなサイズのウエハーでは縦型炉が主流になっています。


【図1 横型熱処理装置】

 

図2に示す縦型炉では、大きなサイズのウエハーであっても床面積が小さくて済みますが、逆に高さが高くなってしまうので、高さのあるクリーンルームでないと設置することができません。


【図2 縦型熱処理装置】

 

もっとも、縦型炉はほかにもメリットがあり、ウエハーの出し入れ時に外気との接触が最小限に抑えることができます。また、炉の中でウエハーを回転させることができるので、処理の均一性が向上します。さらに、炉心管の内部との接触を抑えることができるので、パーティクルの発生を抑制することができます。
 

(2)ホットウォール型のデメリット

ホットウオール方式のデメリットとしては、加熱の際にウエハーからの不純物が炉心管の内壁に付着してしまうので、時々炉心管を洗浄する必要があり、メンテンナンスに手間がかかります。しかも、石英ガラスは割れやすく神経を使います。
また、加熱に時間がかかり、数時間かけてゆっくり過熱していく必要があります。
さらに、炉心管が石英ガラスで出来ているために、炉心管の価格が高いという問題もあります。
 

(3)ホットウォール型の呼び方には色々ある

ホットウオール型の熱処理装置は歴史が古く、さまざまな言い方をします。
石英ガラスを使用しているために「石英炉」、炉心管を使用しているために「炉心管方式」、加熱に電気ヒータを使用しているために「電気炉」、あるいは単に「加熱炉」、「」と呼ばれます。
混乱しないようにしましょう。
 

2.枚葉式の熱処理装置(RTA装置、レーザアニール装置)

(1)RTA装置

枚葉式の熱処理装置では「RTA方式」が代表的です。
RTARapid Thermal Annealラピッド・サーマル・アニール)は、ウエハーに赤外線を当てることで加熱を行う方法です。

シリコンの性質として、赤外線を吸収しやすく、吸収した赤外線はウエハー内部で熱に代わります。しかも、その加熱時間は10秒程度と非常に短いのも特徴です。昇降温を含めても一枚当たり1分程度で済みます。
そのため、ホットウオール型にとって代わりつつあります。
熱処理装置でも製造装置の枚葉化が進んでいるのです。

RTA方式には片面加熱両面加熱があります。
片面加熱はウエハーの片面だけを加熱する方式、両面加熱はウエハーの両面を加熱する方式です。
 

① 両面加熱

両面加熱は昇降温が早く行え、スループットを上げることができますが、温度センサ(パイロメータ)をチャンバーの外に設けなければならず、温度制御の点で不利になります。
加熱の際にウエハー上の温度変化にばらつきがあると、温度の高いところから低いところへ原子の移動が起き、「スリップ」と呼ばれる結晶欠陥が生じます。

これは、ばらつきが数℃であったとしても発生します。そのため、温度管理が大変重要となります。
 

② 片面加熱

一方、図3に示す片面加熱では、温度センサをチャンバーの中に設けることができます。
具体的には、チャンバー内のウエハーを設置するステージに光ファイバーを複数設けておき、光ファイバーの長さが熱によって微妙に変化することをとらえて、温度の検出を行います。そして検出した温度が極力一定となるように赤外線ランプの出力を調整します。この方法により微妙な温度制御を行うことができます

片面加熱ではチャンバーを水平方向にゆっくり回転させることもできます。こうすると、赤外線がウエハーに均等に照射されるために、温度の均一性が向上するというメリットもあります。
 

③ RTA装置とランプ

RTA装置に使用されるランプはハロゲンランプや、キセノンのフラッシュランプを使用します。
特にフラッシュランプを使用したものは「フラッシュランプアニール装置」といいます。

フラッシュランプアニールは近年の微細化に対応したものです。前述したようにで、微細化が進むに従ってウエハーの表面に浅くトランジスタを形成するのが近年のトレンドになっています(極浅接合)。フラッシュランプを使用すると瞬時に加熱が行われるために、この極浅接合が可能になります。

RTA装置のデメリットとしては、ランプの消費電力が大きいことが挙げられます。
もともとランプ自体の消費電力が高く、そのランプを多数用意して一気に加熱するので、ますます消費電力が高くなってしまいます。場合によっては、ウエハー1枚当たりのコストがホットウオール方式よりも高くなってしまうといわれています。


【図3 片面加熱型RTA装置】

 

(2)レーザアニール装置

「レーザアニール装置」は枚葉式となります。
レーザを用いてウエハーの表面に熱を発生させ熱処理を行うのがレーザアニール装置の原理となります。

レーザアニールには「エキシマレーザ」と呼ばれる光源を使用します。
エキシマレーザとは、簡単に言ってしまうと、希ガスやハロゲンと呼ばれる気体に電気を通したとき(ガス中を放電させたとき)に発生する紫外線を、レーザ発振させた強力な紫外線レーザの一種です。
なお、エキシマレーザはリソグラフィー装置でも使用しますが、レーザの強さ(出力強度)は熱処理装置の方がはるかに強力です。

レーザアニールはウエハー表面のみに対して加熱を行うので、極浅接合に対して有効です。
また、RTA装置に比べると消費電力が少なくて済むメリットがあります。

一方、レーザ光の出力密度を上げるためにビーム径をレンズで絞ります。そのため、イオン注入装置と同様のビームスキャン機構が必要になります。したがって、スループットではRTA装置に対して不利となります。

なお、エキシマレーザの発振部は従来大型になりがちで、メンテナンスも面倒なことから、半導体を使用したエキシマレーザの発振装置(半導体レーザ)が実用化されています。半導体レーザは小型化が容易で、メンテナンスもしやすいことから、今後ますます使用されていくと考えられています。

 

3.温度の精密制御がカギ

半導体製造プロセスの中で熱処理は様々な場面で使用されますが、装置自体は地味で単純な構造です。
ただ、温度制御を精密・正確に行う必要があり、この温度の精密制御技術が熱処理プロセスの成否のカギを握るといっても過言ではありません。
数100℃~1000℃に達する高温のなかで、1℃単位の制御を行うことは大変難しいことなのです。

熱処理装置メーカーの長年のノウハウの蓄積がこれを可能にしています。

 

次回は、リソグラフィー工程・リソグラフィー装置群について解説します。
 
(アイアール技術者教育研究所 F・S)

 

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