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プロセス技術の問題解決の基礎《問題解決型QCストーリー・なぜなぜ分析等による問題解決ワーク》
【LIVE配信】2024/9/6(金)10:00~16:00
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日本のものづくりは、現場の改善活動で支えられています。
この改善活動を理論的に進める道具がQCストーリーですが、特に製造現場の改善活動で活発に実践されているのが問題解決型QCストーリーです。
今回は、「テーマの選定」と「現状の把握と目標の設定」の各ステップの進め方について説明します。
目次
問題解決型のQCストーリーは以下の8つのステップで構成されます。
このコラムでは、ステップ1、ステップ2の具体的な進め方について事例を紹介しながら説明します。
「テーマの選定」の主な実施手順は以下の通りです。
以下に、自動車部品のロータ&プーリの製造ラインのチームの活動に基づいた事例で説明します。
まず、現在の問題点はなにか洗い出しからはじめましょう。
この生産ラインの当初の目標について、QCサークルメンバー全員で現状の実績をまとめてみました。
残念ながら、上記の①、②、③、④全て目標に達していないことがわかりました。
それでは、このチームとしてどのテーマに絞り込むか次に話し合いましょう。
問題点の洗い出しが終わった後に、問題点を評価し、絞り込みを行いましょう。
テーマ名決定は、重要性、緊急性、費用、効果の総合的な観点から絞り込み、一人の意見ではなく改善チーム全員で評価することが大事です。
全員で意見を出し合い意見を総合しました。
◎5点、○3点、△2点、×0点として、総合評価点を算出しました。
以上の結果、最高点の「ロータ&プーリラインの不良率削減」をテーマ名として今後の改善活動に取り上げることにしました。
テーマの選定が終わりましたが、選定理由をメンバーで再度確認しましょう。
その結果を以下にまとめました。
以上の結果、「ロータ&プーリラインの不良率削減」のテーマは会社方針にも一致しており、品質管理部の要請にも対応でき、新人の育成にもつながる為、活動の方向としては合っていることを確認できました。
次のステップは、「現状の把握と目標の設定」です。
現状の把握では、“悪さ”を明確にすることが肝心です。
「現状の把握」ができましたら、具体的な活動の「目標の設定」を設定しましょう。
「現状の把握と目標の設定」の主な実施手順は以下のとおりです。
まず、現状の把握には工程の全体像を明らかにすることが必要です。
そこで、工程フロー図を作り、現場でどこの不良が多いか確認することにしました。机の上での検討でなく、現地、現物で事実をつかむことが大切です。
以下の「内製工程」のどこで不良が発生しているか検討することになりました。
それでは、各工程で発生している直近の半年の不良個数のデータを現場で集めましょう。
工程全体でどこの工程での不良が多いか優先付けをしましょう。
半年の月平均のライン全体の不良件数をパレート図に書いてみました。
この結果、不良のワースト1は、全体の56%を占める溶接不良であることがわかりました。
この傾向は毎月ほぼ同じなため、溶接不良削減を中心に検討を進めることにします。
ここで、溶接不良の種類について知っておきましょう。
レーザ溶接について、ここでは4種類の不良に着目しました。
溶接不良の中でどのような不良が多いか不良の中身を掘り下げ、絞り込みましょう。
溶接不良の種類によって、不良データを層別します。
この結果、以下の外観的な不良で84%を占めていることがわかりました。
① アンダーカット不良がNo.1(両端部が溶接されていない)
② ポロシティ不良がNO.2(泡のようなものが発生)
現状の溶接不良の中身が絞り込まれたので、具体的な目標を設定します。
不良率目標を会社目標の1%としたいところですが、ハードルが高いため、今回は第1回目の活動として目標を3%とします。
ここで、ワースト2のアンダーカット&ポロシティ不良を1/5以下にすれば、計算上、全体不良率は4.9%⇒3%に削減することから以下のように目標を設定しました。
① 何を:ロータ&プーリラインの不良率
② どれだけ:不良率を3%以下(現状は4.9%)
③ いつまでに:3か月後
以上、QCストーリーにおける「テーマの選定」と「現状の把握と目標の設定」の各ステップの手順について、簡単な事例で紹介しました。
この続きのステップは、次回のコラム「活動計画の作成、要因解析、対策の検討・実施までの進め方」で解説します。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)