【初心者向け】「板金」とは?板金材料の種類・特徴と主な加工方法はこれを読めばOK!

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板金の解説

板金」(ばんきん)とは、板状の金属のことです。

飛行機、電車、車、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、パソコン、エアコン、テレビ、ごみ箱、郵便受け、自動改札などなど、私たちの日常生活に関わる様々な製品や場所に板金が使われています。

本コラムでは、あらゆる場面で使われている板金の素材や加工方法等の基礎知識について解説します。

1.板金の材料・材質(種類と特徴)

板金によく使う材料は大きく鉄鋼非鉄金属非金属の3つに分けられます(図1)。

板金の材質
【図1 板金材料の分類】

 

(1)軟鋼板

代表的なものとして、熱間圧延鋼板(SPHC)冷間圧延鋼板(SPCC)があります。
加工しやすくて低コストというメリットがあるので、板金加工材料の中で最も多く用いられています。
 

(2)表面処理鋼板

軟鋼材を母材として表面にめっきしたもの、あるいはめっきして更に塗装したものなどです。
耐食性・耐久性など、様々な付加価値をつけることができます。
 

(3)ステンレス鋼板

低炭素鋼にクロムまたはクロムとニッケルを含み、錆びにくいのが特徴です。
ステンレス鋼板は軟鋼に比べて硬度、引っ張り強さが強く、熱伝導性はよくありません。
略して”SUS”(サス)と呼ばれています。

 

(4)アルミニウム

アルミニウムは非常に加工性が良い軽い材料で、伝熱性、導電性も優れています。
純アルミニウム板に加え、強度・耐食性などの向上を目的とした各種アルミ合金板など、様々な種類があります。
 

(5)銅

銅は機械的性質、耐食性、伝熱性、導電性にも優れていますが、高コストです。
銅合金も種類が多く、色々な部品に使われています。
 

(6)合成樹脂板

種類豊富で、それぞれ耐久性・耐候性・透過性などの特徴があり、用途や加工によって正しく選ぶ必要があります。
 

板厚について

板金で用いられる材料の板厚は、規格で決まっており、一般的には3mm程度までのものが標準的なものとして流通しています。
板厚は「t3.0」のように表現されます。tは厚みを示し、単位はmmとなります。
材料によって流通する厚みが異なるので、設計段階から事前に調査する必要があります。

よく使う材料と板厚を表1に示します。

ステンレス アルミ
t1.0 t0.3 t0.5 t0.3
t1.2 t0.5 t1.0 t0.8
t1.6 t0.8 t1.2 t1.0
t3.2 t1.0 t1.5 t1.2
t4.5 t1.2 t2.0
t6.0 t2.0 t2.5
t2.5 t3.0
t3.0 t4.0
t4.0 t6.0
t5.0
t6.0

【表1 材料と板厚】

 

2.板金の加工方法

板金加工」とは、金属の板を切ったり、曲げたり、溶接することで製品をつくる加工方法です。
主な加工方法として、「切断」「曲げ」「絞り」「溶接」の4つが挙げられます。

 

(1)切断加工

「切断加工」は、金属を切断する加工方法で、一般的には「シャーリング加工」(せん断加工)が多く用いられます。その他、レーザーカット、ウォータージェットでのカット等があります。

「シャーリング加工」には、「せん断機」と呼ばれる板金素材を切断する機械を使います。
上刃と下刃が付いており、原理は日用品のハサミと同じです。

「レーザーカット」とはレーザーのエネルギーを利用して溶融、切断する加工のことです。
シャーリングと比べると、直線だけでなく複雑な形状も加工することができます。
切断面にバリも発生しないため、面取りといった工程を短縮できます。

ウォータージェットによるカットとは、専用の高圧ポンプで加圧された水を小径ノズルから噴射することで、対象物を切断する加工方法のことです。
 

(2)曲げ加工

「曲げ加工」は、板金を様々な角度で曲げたり丸めたりして、形状を作っていく作業です。
ダイの上に、部品を乗せてベンダーなどの専用の機械を使って上からパンチで圧力を加えます。
直角曲げ、R曲げ、ヘミング曲げなどさまざまな形に曲げることができます。

 

(3)絞り加工

「絞り加工」は、一枚の板金に圧力をかけ、円錐、円筒、角筒など底のある凹形の容器を作る加工方法です。
継ぎ目がないことが特徴です。
普段の生活でよく見る絞り加工製品には、ボトル容器、アルミ缶、鍋、フライパン等があります。

 

(4)溶接加工

「溶接」は板金同士、あるいは板金と他の金属材料をつなぐ加工で、接合部分に熱あるいは圧力、または両方を加えて接合します。
現在主流となっているのはアーク溶接とスポット溶接の2種類です。

 
以上、今回は「板金」の材料と、主な板金加工の種類について整理してみました。
より詳しい説明は、各リンクから個別の解説記事をご参照ください。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 Y・X)
 

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