【QC検定3級対策】管理の方法|管理のサイクル、問題解決型と課題解決型QCストーリーの違いなど

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管理の方法

QC検定は、JSA日本規格協会グループが主催する品質管理の知識を問う筆記試験です。
内容は品質管理とは何か?から始まり、改善活動の基礎知識、統計的なプロセス管理など多岐にわたります。
受験者数は年々増加しており、毎年の受験者数が10万人を超える製造業ではメジャーな試験です。
[※関連記事:【技術系資格ナビ】QC検定(1〜4級の難易度/合格率/勉強方法/メリット)はこちら]

この連載では、各級の頻出範囲について例題を交えて解説を行います。この連載を通じて、QC検定の受験準備をしてみましょう。

3級の試験範囲は日本規格協会のHP(品質管理検定レベル表)をご確認ください。

【3級解説:第10回】管理の方法

今回は3級の試験範囲(実践分野)から「管理の方法」を解説します。
実践分野で最も出題される範囲ですので要チェックです。

 

(1)維持管理と改善活動、管理のサイクル

日々の品質管理では「維持管理」と「改善活動」が重要です。

維持管理」とは、目標とする品質水準を維持し、外れてしまった場合には迅速に修正できるようにする活動のことです。
一方「改善活動」は目標をより高い水準に設定し、その水準をクリアしていくように活動していきます。

管理のサイクルとして下記の3種類を覚えておきましょう。

 

PDCAサイクル

品質管理に限らず、企業活動ではこの「PDCAサイクル」を回すことが重要です。

  • P(Plan):目的を決め計画を立てる
  • D(Do):計画通りに実行する
  • C(Check):実施した結果を評価する
  • A(Action) :評価の結果に応じて必要な処置をとる

 

SDCAサイクル

日常の業務に重点を置いたサイクルの場合は、Pの代わりにSを置き換えた「SDCAサイクル」という場合もあります。

  • S(Standard) :作業方法を決める(標準化する)
  • D(Do):標準通りに作業を実行する
  • C(Check):作業が正しく実施できたか判断する
  • A(Action) :判断の結果に応じて必要な処置をとる

 

PDCASサイクル

PDCAを実行した後にSを行う場合は「PDCASサイクル」と呼ぶ場合もあります。

PDCASサイクル等

 

(2)継続的改善

品質改善活動に終わりはありません。
現状問題が発生していなくても、より高い品質水準を目指して改善活動を行ったり、問題が起こる前に未然防止活動を進めていく必要があります。
このような改善活動を「継続的改善」といいます。

 

(3)問題と課題

「問題」、「課題」という言葉は日常生活ではほぼ同じ意味で使用されますが、品質管理においては下記の定義がなされています。

  • 問題設定済の目標と現実との間にあるギャップ。解決しなければならない原因がある
  • 課題これから設定しようとする目標と現実との間にあるギャップ。原因は存在しない

 

(4)問題解決型QCストーリーと課題達成型QCストーリー

上記の問題と課題に対して、解決する手順をそれぞれ「問題解決型QCストーリー」と「課題達成型QCストーリー」といいます。

2つともありたい姿と現実とのギャップを埋めていく作業ですが、問題を解決するのか課題を達成するのかでアプローチが若干異なります。
下記の図で違いを確認しましょう。

問題解決型QCストーリーと課題達成型QCストーリー

「問題解決型QCストーリー」は問題の原因となっている要因を解決する必要がありますので、要因の解析とそれに対する対策の検討と実施が入ります。

一方、「課題達成型QCストーリー」は原因がある訳ではありません。課題を解説するために効果的と思われる部分を探し出し(攻めどころの設定)、それに対する方策を立てていきます。

 
それでは例題にチャレンジしてみましょう。

 

《例題1》

( )内に入るもっとも適切なものを下欄の選択肢からひとつ選べ。なお、各選択肢を複数回用いてもよい。

品質を向上させるため下記の2種類のサイクルを回していくことが重要である。
・(①)サイクル;より高い水準を目指すサイクル
 (②);目的を決め計画を立てる
 D(Do);計画通りに実行する
 C(Check);実施した結果を評価する
 A(Action) ;評価の結果に応じて必要な処置をとる

・(③)サイクル;安定した水準を維持するサイクル
 (④) ;作業方法を決める(標準化する)
 D(Do);標準通りに作業を実行する
 C(Check);作業が正しく実施できたか判断する
 A(Action) ;判断の結果に応じて必要な処置をとる

選択肢
[ア.SDCA イ.PDCA ウ.P(Plan) エ.P(Problem) オ.S(Start)  カ.S(Standard)]

 
《例題1》[解答と解説]

解答と解説はここをクリック

[解答]

①イ.PDCA ②ウ.P(Plan) ③ア.SDCA ④カ.S(Standard)

 
[解説]

PDCAサイクルはより高い水準を目指す管理のサイクル、SDCAは日常的な業務を維持するためのサイクルです。

 

《例題2》

( )内に入るもっとも適切なものを下欄の選択肢からひとつ選べ。なお、各選択肢を複数回用いてもよい。

問題や課題を解決する手順として2種類のQCストーリーがあります。
 
《問題解決型QCストーリー》

  • ステップ1. (①)の選定
  • ステップ2. (②)の把握と(③)の設定
  • ステップ3. 活動計画の作成
  • ステップ4. (④)の解析
  • ステップ5. (⑤)の検討と実施
  • ステップ6. (⑥)の確認
  • ステップ7. (⑦)と管理の定着
  • ステップ8. 反省と今後の計画

 
《課題達成型QCストーリー》

  • ステップ1. テーマの選定
  • ステップ2. (⑧)と(⑨)の設定
  • ステップ3. 活動計画の作成
  • ステップ4. (⑩)の立案
  • ステップ5. (⑪)の追究と実施
  • ステップ6. 効果の確認
  • ステップ7. (⑫)と管理の定着
  • ステップ8. 反省と今後の計画

選択肢
[ア.結果 イ.方策 ウ.成功シナリオ エ.要因 オ.計画 カ.現状 キ.攻め所 
 ク.標準化 ケ.テーマ コ.目標 サ.効果 シ.標準化(歯止め) ス.対策]

 
《例題2》[解答と解説]

解答と解説はここをクリック

[解答]

①ケ.テーマ ②カ.現状 ③コ.目標 ④エ.要因 ⑤ス.対策 ⑥サ.効果 ⑦シ.標準化(歯止め) 
⑧⑨(順不同)キ.攻め所、コ.目標 ⑩イ.方策 ⑪ウ.成功シナリオ ⑫シ.標準化(歯止め)

 
[解説]

問題解決型QCストーリーは問題の原因を取り除き解決に導くストーリー、課題達成型QCストーリーは現状問題がある訳ではないがより高い目標を達成するためのストーリーです。
「要因の解析」「攻めどころ」「成功シナリオ」といった特徴的な言葉がどちらのストーリーのステップに含まれるかを覚えておきましょう。

 

まとめ

今回は実践分野の3回目「管理の方法」について解説しました。
問題解決型、課題達成型QCストーリーは頻出問題ですので確実に理解しておきましょう。

次回は「方針管理・日常管理」について解説します。

 
(アイアール技術者教育研究所 A・K)

 

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