三端子レギュレータの原理・種類と使い方《電源回路の基礎》

三端子レギュレータは、簡単に定電圧電源を構成できる代表的なICです。
名前の通り3本の端子(IN、OUT、GND)を備えており、定電圧回路を容易に構成することが可能で、多くの電気製品の電源部に使用されています。
近年、電源はスイッチング電源が主流となっていますが、オーディオ回路などのノイズの影響を受けたくない回路や、少ない部品で定電圧電源を構成できる用途で広く利用されています。
1.三端子レギュレータの概要(原理と特徴)
図1は、当連載の「電源回路の基本を解説」の回で示した、電源回路の出力による分類です。

【図1 電源回路の分類(出力での分類)】
三端子レギュレータは図1の赤色部分で、リニアレギュレータの一種であり、DC-DCコンバータとして一般的なスイッチングレギュレータとは異なる方式です。
[※関連記事:DC-DCコンバータとは何か?動作原理・役割・応用をわかりやすく解説 ]

【図2 リニアレギュレータの動作原理】
図2はリニアレギュレータの基本動作を示したもので、三端子レギュレータも同様の原理で動作します。
図2において、出力検出部の2つの抵抗の接続部には、負荷にかかる電圧に比例した電圧が現れます。
その電圧を比較部に入力し基準電圧と比較します。
比較部(誤差増幅器)は基準電圧との差に応じた信号を出力し、調整用トランジスタの動作を制御することで、出力電圧を一定に保ちます。
三端子レギュレータの長所・短所
三端子レギュレータの長所(メリット)としては、
- ノイズの発生が少ない
- 設計が容易で安定した性能を得やすい
- 低価格である
- 品揃えが豊富、負極性レギュレータもある
- 過電流保護回路等を内蔵していて安心
などが挙げられます。
反対に短所(デメリット)としては、以下のような点があります。
- 発熱しやすいので、放熱板が必要なこともある
- 基本的に降圧用途に限られる
- ある程度の入出力間電圧差が必要(通常品で約2V以上)
2.三端子レギュレータの種類
三端子レギュレータは、多くのメーカーで互換性のあるシリーズとして提供されています。
“78”シリーズが一般的で、78の後の数字で出力電圧を表します。
また、78の後に付くアルファベットは、おおよその出力電流能力を示します。
例えば、7805ならば、出力電圧5Vで出力電流1A、78M12なら、出力電圧12Vで出力電流0.5A、78L05なら、出力電圧5Vで出力電流0.1Aなどです。
出力電圧としては、5V~24V程度までのバリエーションがあります。
また、“79”シリーズもあり、こちらは負極性(-電圧を出力)となります。また、可変電圧出力のものもあります。
さらに、入出力間電圧差を改善した、低飽和型のものも増えてきました。
「低飽和型(LDO:Low Dropout Regulator)」とは、入出力間電圧差が1V弱で動作するもので、最近のパソコンに使用されている3.3Vとか2.5Vなどの低電圧の回路に用いられます。
ICメーカーによって品揃えが違ってきますので、各メーカーの仕様を確認することが必要です。
3.三端子レギュレータの使い方
図3は、三端子レギュレータの使い方を示す回路図です。
三端子レギュレータには、IN、OUT、GNDの3つの端子があり、INを入力電圧に接続し、OUTを負荷回路に接続します。
基本的にはこれだけで動作しますが、実際の回路では出力側に発振する可能性があるので、発振防止用コンデンサを付加します。また、電圧安定化のために平滑用コンデンサも用います。
さらに、出力側が入力側の電圧より高くなると、入力電源が遮断された際に出力側コンデンサの電圧が逆流することで、三端子レギュレータが故障する可能性があるので、図3のように接続する保護用ダイオードを用いることもあります。

【図3 保護用ダイオードを使った構成】
三端子レギュレータは、リニア方式の降圧型レギュレータであり、高い電圧から低い電圧を作っています。この電圧の差は、熱となって放出されます。
例えば、入力電圧8Vで、負荷への出力が、5V、0.3Aの場合は、
電力損失は、 (8-5)×0.3=0.9 Wとなり、
0.9 Wが熱となって放出されます。
この損失電力が大きくなると、放熱器(ヒートシンク)が必要となるので、大きな出力電流の三端子レギュレータの回路を設計する場合は、このような熱量の計算が必須となります。
[※関連コラム:ヒートシンクの解説はこちらをご参照ください。]
4.おわりに
三端子レギュレータは、シンプルな構成で安定した電圧を得られる非常に扱いやすい電源ICです。スイッチング電源と比べて効率面では劣るものの、低ノイズ性や設計の容易さといった大きな利点があります。用途に応じて適切に使い分けることで、電源回路の設計をより確実で高品質なものにすることができます。まずは基本的な使い方を理解し、小規模な回路から活用してみるとよいでしょう。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)



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