IC(集積回路)の種類について総整理!代表的な14種類をまとめて解説

電子回路を構成する部品のうち、IC(集積回路)は、無くてはならない電子部品です。
私たちが普段持ち歩いているスマートフォンはもちろんのこと、現在の多くの電化製品にICが使われています。
今回は、私たちの身のまわりでよく使われている主なICの種類について紹介します。
1.IC(集積回路)とは?
「IC(集積回路)」とは、トランジスタや抵抗、コンデンサなどの多数の素子を、一つの半導体チップ上に集積したものです。一般的には、こうして作られた半導体チップを外部端子のあるパッケージに収め、電子部品として使用します。
電化製品や複雑な装置でも、回路構成が共通のものは少なくありません。構成が決まっていて、しかも複雑なものをいちいち製造するのは効率が悪く、時間もお金もかかってしまいます。
集積回路は、そんな面倒な手順を省くために、あらかじめチップ上に必要な回路を実装していてくれる便利な電子部品なのです。
2.主なIC(集積回路)の種類と概要
ここでは、ICを機能別に分けた種類について説明していきます。
(1)アナログIC
アナログICには、信号の増幅などを行うオペアンプ(演算増幅器)や、2つの電圧を比較するコンパレータ(比較器)などがあります。また、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(Analog-to-Digital Converter)や。その逆の変換を行うD/Aコンバータ(Digital-to-Analog Converter)なども、アナログ信号を扱うICとして広く使われています。
また、アナログ信号を切り替えることができる「アナログスイッチIC」や、CR(抵抗やコンデンサ)を用いた「タイマIC」があります。
(2)ドライバーIC
ドライバーIC(Driver Integrated Circuit)とは、液晶パネルやモーターなどを駆動する目的で電気信号を送るための集積回路(IC)です。
液晶パネルやモーターなどを駆動するには、制御回路からの信号だけでは電圧や電流が不足する場合があります。ドライバーICは、こうした負荷を適切に駆動するために必要な電圧や電流を供給する役割を担います。
ドライバーICは、「LCDドライバー」「モータードライバー」「LEDドライバー」などがあります。
液晶ディスプレイ用のドライバーICは、LCD(Liquid Crystal Display)ドライバーICと呼ばれ、パソコンや携帯電話のディスプレイに使用されます。
モーター用ドライバーICを使用する製品は、家電製品・自動販売機・ロボットアームなど、モーターを使用する幅広い製品です。
LEDライト用のドライバーICは車載LED・照明LED・LEDディスプレイなど、LEDを使用する製品に使用され、電力の効率化に役立っています。
[※関連記事:LEDドライバーICの要点解説]
(3)電源IC
安定した5Vや3.3V、あるいは1.2Vなどを作り出すための安定化電源用ICです。
AC/DCコンバータ用ICやDC/DCコンバータ用ICなどがあります。
以前は、5V単一や3.3V単一などICに加える電源電圧は一定だったのですが、例えばスマートフォンなどでは、一つのバッテリー電圧から、回路ごとに必要となる複数の電源電圧を作り出す必要があり、DC/DCコンバータの需要は増えてきています。
(4)通信モデムIC
携帯電話やスマートフォンに使われる無線通信用のICを示します。
無線通信では、デジタルデータを電波に乗せて送信するための「変調」や、受信した信号からデータを取り出すための「復調」が行われます。通信モデムICは、こうした変調・復調などの信号処理を行うために使われるICです。
(5)標準ロジックIC
「標準ロジックIC」とは、業界で標準になっている論理回路で、各社でファンクション(機能)とピン配置に互換性を持たせた製品群となります。
小型パッケージでは一部例外もありますが、パッケージについても互換性を持たせたパッケージを各社が揃えています。
標準ロジックICは、同じファンクション番号を持つ製品では、基本的に同一の論理機能やピン配置を持つものが多く、メーカー間で互換性を持たせた製品もあります。
CPU、メモリ等のシステム間を繋ぐインターフェースの役割で標準ロジックIC が使用されています。
用途として、信号の駆動能力向上(バッファー)、波形整形、信号出力のタイミング調整などに使われます。
また、システムIC の信号仕様が変更されてシステムの小修正が必要となった場合、標準ロジックIC を使用することで簡単に回路の修正ができます。
なお、ここでの「ファンクション」とは、ANDゲートとかフリップフロップとかのデジタル回路の機能のことをいいます。
[※関連記事:ロジックICの基本|標準ロジックICの種類・使い方など要点解説]
(6)MPU(Microprocessor Unit:マイクロプロセッサ)
ソフトウエアプログラムで演算や制御を行うICで、仕組みはコンピュータと同じです。命令セットも演算命令と制御命令などを使います。
高性能なMPUでは64ビットアーキテクチャが広く採用されており、頻繁に使用するデータや命令を高速に読み出すため、SRAMを用いたキャッシュメモリも搭載されています。
(7)DRAM(Dynamic Random Access Memory)
DRAMは、1個のトランジスタと1個のコンデンサで1ビットの情報を保持する、集積度の高いメモリです。
パソコンやスマートフォンなどの主記憶として広く使われ、CPUが処理するプログラムやデータを一時的に保持します。
DRAMは、コンデンサに蓄えた電荷によってデータを記憶しますが、電荷は時間とともに失われます。そのため、電源が入っている間も定期的にデータを書き直す「リフレッシュ」という動作が必要です。
[※関連記事:3分でわかる DRAMの構造と仕組み、動作原理]
(8)NAND型フラッシュメモリ
NAND型フラッシュメモリは、電源を切ってもデータを保持できる不揮発性メモリです。
SSDやUSBメモリ、スマートフォンの内蔵ストレージなどで、写真や動画、アプリケーションなどのデータを保存するために広く使われています。
メモリセルがある程度集まったブロックごとに一括消去するため、一瞬でブロック全部を消すことから「フラッシュ」と名付けられました。
[※関連記事:フラッシュメモリの構造と原理(仕組み)をわかりやすく解説]
(9)マイクロコントローラ(マイコン)
「マイクロコントローラ」(Microcontroller、マイコン)は、CPUに加えて、メモリやタイマ、入出力回路、通信インターフェースなどを一つのICに集積したものです。
家電製品や自動車、産業機器などの組み込みシステムで、センサから情報を読み取ったり、モーターや各種機器を制御したりする用途に広く使われています。
[※関連記事:マイコンとは何か?仕組みと構成、選び方を初心者向けに解説!]
(10)GPU(Graphics Processing Unit)
「GPU」とは、グラフィックス、すなわち絵を描くためのプロセッサです。
絵は、まずデッサンを描くのと同様に小さな三角形のポリゴンをつなぎ合わせておおよその輪郭を作ります。
3Dグラフィックスでは、多数の頂点や画素に対して同じような計算を大量に行う必要があります。このためGPUには、多数の演算を並列に実行できる演算回路が搭載されています。
この並列演算能力は、AIで多用される行列演算などにも適しているため、現在ではAIの学習や推論にもGPUが広く使われています。
(11)DSP(Digital Signal Processor)
「DSP」とは、音声や画像、通信信号などのデジタル信号処理を高速に行うことに適したプロセッサです。
デジタル信号処理で多用される「掛け算をして足し合わせる」という積和演算(MAC)を高速に実行できるように設計されています。
例えば、音声・画像処理、デジタルフィルタ、通信における変復調や各種の信号処理などに使われています。
(12)FPGA(Field-Programmable Gate Array)
「FPGA」は、ユーザーが自分専用のロジック回路を自由に組むことができます。
いろいろなロジックテーブルと、ロジックをつなぐスイッチやメモリなどを集積しています。
最近では、C/C++などで記述した処理からFPGA用の回路を生成するHLS(高位合成)ツールも利用されています。また、クラウド上でFPGAの開発環境を利用できるサービスもあります。
[※関連記事:FPGAの基本がこれでわかる!内部構造・仕組み・特徴・用途をやさしく解説]
(13)ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
「ASIC」とは、電子機器などのメーカーが自社の機器に搭載するために自社で、あるいは半導体メーカーなどに依頼して、特別に設計するオリジナルのICチップを指します。
ASICは、必要な機能を論理回路の形で一つのチップにまとめて作り込むため、汎用ICの組み合わせやプログラマブルIC(FPGAなど)を使う場合に比べ高速に動作し、実装面積や消費電力、大量生産時の製造単価などでも有利となります。
一方、回路設計などのために多数の人員、高いコスト、長い期間が必要で、また、半導体製造工程上の固定的なコストが高額なため、不具合や仕様の見直しによる設計変更が難しく、また、少数しか製造しない場合には単価が高くついてしまいます。
(14)システムLSI
マイクロプロセッサやメモリ、アナログ回路ブロックなどを1個のLSIの中に混載し、ワンチップで高いシステム機能を有するものです。
半導体加工技術の微細化に伴い、一片のシリコン上へ数億素子の集積が可能になり、従来は基板上に多数のLSIを実装・結線して作っていたシステムが、ワンチップで実現できるようになってきました。
3.IC(集積回路)の進化のポイント
IC(集積回路)には様々な種類がありますが、電子回路は個別のトランジスタなどを組み合わせる構成から、多数のトランジスタやその他の素子を一つのチップ上に集積する方向へと発展してきました。
進化のポイントを見てみると、下記の点が挙げられると思います。
- 小型化、軽量化: プリント基板数十枚分の電子回路がわずか数ミリ角の1個のシリコンチップになりました。
- 高性能化: 半導体素子の微細化や回路設計技術の進歩により、より高速で高性能な処理が可能になりました。
- 高機能化: 膨大な数のトランジスタなどを1個のICに搭載できるようになり、従来の寸法や消費電力を維持しつつも、複数の機能を一つにまとめることができるようになりました。
- 低消費電力化: 半導体素子の微細化や低電圧化、回路設計技術の進歩などにより、電子機器の消費電力低減が進んできました。
- 低コスト化: 多数のICをシリコンウエハー上にまとめて形成し、大量生産できるようになったことで、ICの低コスト化が進みました。
このように、ICは小型化・高性能化・高機能化・低消費電力化・低コスト化を進めながら発展してきました。今後も半導体技術の進歩とともに、さらに幅広い分野で重要な役割を担っていくと考えられます。
4.まとめ
今回は、アナログICやドライバーIC、電源IC、MPU、DRAM、フラッシュメモリ、GPU、DSP、FPGA、ASICなど、代表的なICの種類とそれぞれの役割について紹介しました。
ICは、電子機器の中で演算・制御・記憶・通信・電源管理など、さまざまな機能を担う重要な電子部品です。用途に応じて多くの種類があり、それぞれの特徴を理解することで、電子機器がどのような構成で動作しているのかを把握しやすくなります。
また、半導体技術の進歩によって、ICはこれまで以上に高集積化・高性能化・低消費電力化が進んでいます。AI、自動車、通信機器、産業機器など幅広い分野で半導体の重要性が高まる中、ICの役割は今後さらに大きくなっていくと考えられます。
まずは本記事で紹介した代表的なICの種類と役割を押さえ、電子回路や半導体について理解を深めるための基礎知識として役立ててください。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)



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