3分でわかる フォトカプラの原理・役割・使い方と回路図
今回のコラムでは、電子回路部品「フォトカプラ」の基本を初心者向けに解説します。
1.フォトカプラとは?
「フォトカプラ」は、発光ダイオードなどの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子とを組み合わせた部品です。
フォトカプラは、外部からの光を遮断するパッケージに封じ込められた構造になっています。
動作としては、入力された電気信号を発光素子によって光に変換し、その光を受光素子に送る事により信号を伝達することができます。主に回路を絶縁したいときに使用されます。
2.フォトカプラの原理(仕組み)
図1は、フォトカプラの動作原理を示した図です。
【図1 フォトカプラの動作原理】
図1のように、入力される電気信号を発光素子(LED)でいったん光信号に変えて伝達し、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力します。入力側と出力側は、GNDも含めて電気的に分離されています。
回路図は、図2のようになります。図2は、発光素子にLED、受光素子にフォトトランジスタを使用した素子の回路例です。受光素子には、フォトダイオードを使用したもの等もあります。
【図2 フォトカプラの回路図】
3.フォトカプラの役割
フォトカプラの役割としては、入力側と出力側を絶縁するという点が挙げられます。
絶縁するということは、ノイズの影響を受けづらいことに加え、隣り合う回路間で予期せぬ電流が流れ込むことを防ぎ、安全面でも有効です。
例えば医療用電子機器やノイズが大敵の音響機器・通信機器などに使用されています。
また、モーターの駆動システムでも利用されています。
モーターは、駆動の際にインバータで回転速度を制御しているのですが、高出力なためノイズが発生します。このノイズは、モーター自体の誤作動のみならず、周辺機器に影響を及ぼす場合があります。
とりわけ配線の長い機器類は、この高出力ノイズを拾いやすいため、工場などで発生すると大きな損失となったり、時には重大な事故を引き起こしたりしてしまいます。
このような場合に、絶縁できるフォトカプラをスイッチングに使用することで、他の機器への影響を最小限に抑えることが可能となります。
4.フォトカプラの使い方
フォトカプラの使い方としては、次のような使い方があります。
- 基準電位(GND)の異なる機器(または回路)間の信号伝送
- 回路間を絶縁したい場合
- 異電圧間の信号伝送
- データ通信などでの信号伝送
アナログ動作もありますが、基本的にはスイッチング動作が主になりますので、ここでは基本的なスイッチング動作について説明します。
フォトカプラを使った回路と入出力の例
図3は、フォトカプラの使い方を示した簡単な回路の図です。
電源が5Vの回路のパルスを、電源が10Vの回路に伝達するためのインターフェース回路の例になります。
【図3 フォトカプラを使った回路のイメージ】
図3のように入力電圧5Vのパルスをフォトカプラに入力して、電源10Vの回路に出力すれば、抵抗を組み合わせて10Vのパルスを作ることができます。
図3では、パルスの極性が反転して出力されているので、正のパルスが必要な場合には、反転回路を使って反転出力することになります。
必要な出力電流に応じた電圧印加が必要!
注意点としては、必要とする出力電流に応じた電圧を入力側から印加することが求められることがあります。
LEDの光の強さに応じてフォトトランジスタのコレクタ電流は変わってくるので、必要な出力電流に応じた電圧を印加することが必要となります。仕様書などを確認して使用することが必要です。
また、低電圧回路と高電圧回路との間の絶縁回路として使用する場合には、安全性が考慮された(絶縁のための空間距離を保った)、絶縁に適したフォトカプラを選択することが必要です。
このように、フォトカプラを使用すれば、異なる電圧の回路の間でも、簡単にパルスを伝送することが可能となります。今後、IoT(Internet of Things)の機器が増えてくると、高電圧で動作する機器もインターネットで制御することになるので、フォトカプラは、ますます利用されることになるでしょう。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)