【医薬品製剤入門】医薬品包装・容器の基礎知識

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医薬品包装・容器

医薬品は、錠剤であったり、液体であったり様々な形態がありますが、それぞれに合った包装・容器が用いられています。包装・容器は、医薬品を守るだけでなく、服用や投与にも考慮された形状にするなどの工夫がされています。

今回は、医薬品包装・容器についてまとめてみました。

1.医薬品包装・容器とは

日本薬局方では、通則で
「41 容器とは、医薬品を入れるもので、栓、蓋等も容器の一部である.容器は内容医薬品に規定された性状及び品質に対して影響を与える物理的、化学的作用を及ぼさない.」
とされています。

また、製剤総則の[2] 製剤包装通則には製剤包装の原則が記載されており、「製剤の保護(protection)、製剤と包装の適合性(compatibility)、包装に用いる資材の安全性(safety)及び投与時の付加的な機能(performance)」等の包装適格性を必要とされ、適切な試験を行うこととされています。
 

2.医薬品容器の種類

医薬品に用いられる容器の種類としては、下記のものがあります。
 

(1)密閉容器

「密閉容器」とは、固体の異物が混入することを防ぎ、内容医薬品の損失を防止する容器をいい、薬袋などの紙袋、箱などが挙げられます。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、ドライシロップ剤、トローチ剤,舌下錠等の口腔用錠剤、吸入粉末剤、点鼻粉末剤、坐剤、テープ剤などに用いられます。
製剤の品質に湿気が影響を与える場合は、防湿性の容器を用いるかまたは防湿性の包装を施します。
 

(2)気密容器

「気密容器」とは、固体または液状の異物が侵入せず、内容医薬品の損失、風解、潮解または蒸発を防ぐ容器をいい、PTP包装、SP包装、瓶、缶などが挙げられます。
経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤、吸入液剤、点眼剤、点鼻液剤、直腸用半固形剤、注腸剤、外用液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、パップ剤などに用いられます。微生物の混入を防ぐことができる気密容器は、注射剤、腹膜透析用剤、血液透析用剤、眼軟膏剤に用いられます。
また、製剤の品質に水分の蒸散が影響を与える場合は、低水蒸気透過性の容器を用いるか又は低水蒸気透過性の包装を施します。
 

(3)密封容器

「密閉容器」とは、気体の侵入を防ぐ容器をいい、バイアル、アンプルなどが挙げられます。
注射剤、腹膜透析用剤、吸入エアゾール剤などに用いられます。
 

3.医薬品包装の形態

医薬品は、使用(投与)されるまでの間の保護のために包装容器に入れられていますが、医薬品の形状、性状等によって包装形態が選ばれます。
 

(1)固形製剤の包装

  • PTP包装:錠剤等を個別に包装したもので、プラスチックの凸部に錠剤等を入れ、アルミでシールしたもので、プラスチック部分を押すことにより錠剤を取り出します。
  • SP包装(ストリップ包装):フィルム状の袋に錠剤等を入れ、ヒートシールで密閉したもの
  • ピロー包装:PTP放送やSP包装したものをアルミ等でさらに包装したもの
  • バラ包装:多数の錠剤やカプセルをガラスやプラスチック等の容器に直接入れた包装形態

 

(2)半固形製剤の包装

  • チューブ:軟膏やクリームを入れる容器で、アルミやラミネートチューブが良く用いられる

 

(3)液状製剤の包装

  • アンプル:注射液を入れる密封容器で、ガラスやプラスチックでできており、無菌状態を保持する
  • バイアル:薬剤を入れたガラス瓶で、ゴム栓と金属キャップで密閉したもの。ゴム栓に注射針を刺して薬液を吸入する。
  • プレフィルドシリンジ:あらかじめ薬剤がシリンジに充填されている注射器。2以上の医薬品を組み合わせたキット製品も多くなっている。薬液を入れたカートリッジを専用の注射器に装着して投与するカートリッジ剤もある。
  • 輸液容器:輸液を入れた容器で、ガラス、プラスチック容器の他ソフトバックが多く用いられている。

 

4.医薬品包装材料

包装材料の主なものとしては下記が挙げられます。

  • ガラス:主に注射剤のバイアル、アンプル等に用いられます。透明のため内容物の確認が容易、加熱殺菌ができ、微生物に対するバリア機能に優れています。ただし、容器としては重く、破損の危険もあります。
  • プラスチック(フィルム):ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの材料が用いられます。成形性、気密性等に優れており、安価で製造できる利点もあり、多くの医薬品包装に使われていますが、プラスチックの構成成分や不純物の製剤への溶出等に注意が必要です。
  • ラミネートフィルム:アルミ箔をポリエチレン等のプラスチックフィルムと張り合わせたもので、SP包装やPTP包装に用いられます。水分、光、酸素等を遮断する効果があります。

 

5.医薬品の包装適格性

製剤包装の原則には、「製剤包装は,有効期間にわたって規定される製剤の品質規格を保証できるよう,その適格性を開発段階で十分に検討することが重要である」とされており、包装適格性には下記要素が含まれています。

  • 製剤の保護:防湿性、遮光性、気体及び微生物に対するバリア機能、並びに輸送時等の衝撃に対する保護性能をいいます。
  • 製剤と包装の適合性:包装は、製剤と物理的、化学的な相互作用を起こさない形状、材料から構成されることをいいます。
  • 包装に用いる資材の安全性:包装は、その構成成分及び不純物の製剤への溶出量、移行量が安全性の見地から十分に低い材料から構成されることをいいます。
  • 投与時の付加的な機能:患者の服薬遵守の向上、使いやすさや、誤飲防止等の患者の安全性確保、医療従事者の安全性向上の機能などを付与することができることをいいます。

 

6.包装・容器材料試験法

「包装適格性は、一般試験法収載の試験法、製剤の剤形及び特性に応じた適切な手法等に基づき検討する」とされており、以下のような試験法が定められています。
 

(1)注射用ガラス容器試験法(日本薬局方 一般試験法 7.01)

注射剤用ガラス容器は、医薬品の性状又は品質に影響を与えないものでなければならず、完全に融封できるか、または他の適当な方法によって微生物が侵入しないようにします。
日本薬局方 一般試験法 7.01に定められた試験法の規格に適合する必要があります。

(1) 容器は無色又は淡褐色透明で、注射剤の不溶性異物検査法〈6.06〉の試験に支障をきたす気泡があってはならない.
(2) 分割使用を目的とする容器は、ゴム栓又は他の適当な栓を用いて密封する.栓は内容医薬品と物理的又は化学的に作用しないもので、注射針を挿入したとき、栓の破片を混入することなく、また、注射針を抜きとったとき、直ちに外部からの汚染を防ぎうるものである.
(3) アルカリ溶出試験
 (ⅰ) 第1法:融封できる容器又は内容100 mL以上の輸液用容器以外の融封できない容器
 (ⅱ) 第2法:融封できない内容100 mL以上の輸液用容器
(4) 着色容器の鉄溶出試験
(5) 着色容器の遮光性試験

 

(2)プラスチック製医薬品容器試験法(日本薬局方 一般試験法 7.02)

プラスチック製医薬品容器の設計及び品質評価に用いることができる試験法ですが、日本薬局方一般試験法7.02に記載されている全ての試験を行うことが必要なわけではなく、また、必要に応じて他の試験を追加すべきさとれています。

1.1. 灰化試験 1.1.1. 強熱残分、1.1.2. 重金属 鉛、カドミウム、スズ
1.2. 溶出物試験
1.3. 微粒子試験
1.4. 透明性試験
1.5. 水蒸気透過性試験
1.6. 漏れ試験
1.7. 細胞毒性試験

また、プラスチック製水性注射剤容器については、
2.1. ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器
2.2. ポリ塩化ビニル製水性注射剤容器
2.3. その他の水性注射剤容器
の規格が一般試験法 7.02にそれぞれ記載されています。
 

(3)輸液用ゴム栓試験法 (日本薬局方 一般試験法 7.03)

輸液用ゴム栓は,輸液として用いる注射剤に使用する内容100mL以上の容器に用いるゴム栓をいいます。
7.03の規格に適合することが求められます。

1. カドミウム
2. 鉛
3. 溶出物試験 3.1. 性状、3.2. pH、3.3. 亜鉛、3.4. 過マンガン酸カリウム還元性物質、3.5. 蒸発残留物、3.6. 紫外吸収スペクトル
4. 細胞毒性試験
5. 急性毒性試験
 

7.医薬品包装・容器に関する特許・文献の調査

J-Platpatを用いての特許を調査してみました。(調査日:2021.11.1)

(1)包装・容器に関する特許検索

① キーワードによる検索
  • 包装/CL+容器/CL ⇒ 705266件
  • [包装/CL+容器/CL]*医薬/BI ⇒ 1756件

 

② 特許分類による検索

特許分類(FI)としては、「A61J」(医療または製剤目的のために特に適合させた容器;医薬品を特定の物理的形態または服用形態にするために特に適合させた装置または方法;・・・)がありますので、これを用いて検索してみます。

  • A61J1/00/FI  医療または製剤目的のため特に適合させた容器 ⇒ 13739件
  • A61J1/03/FI  ・丸薬または錠剤のためのもの ⇒ 1400件
  • A61J1/06/FI  ・・アンプルまたはカートリッジ ⇒ 851件
  • A61J1/10/FI  ・・袋状容器 ⇒ 3075件

なお、調査対象によっては、医薬品用に限らない容器・包装に関する一般的な分類である「B65D」(物品または材料の貯蔵または輸送用の容器,例.袋,樽,びん,箱,缶,カートン,クレート,ドラム缶,広口びん,タンク,ホッパー,運送コンテナ;付属品,閉鎖具,または閉鎖具のための付属品;包装要素;包装体)についても確認するようにしましょう。
 

③ Fタームによる検索

医薬品包装・容器に関するFタームとしては、「4C047」(医療品保存・内服装置)があります。
容器・包装体の種類、材質、内容物、部品、製造法や使用目的など細部にわたって分類されており、調査には有力なツールといえます。

  • 4C047 AA00/FT (容器・包装体の種類) ⇒ 13661件
  • 4C047 AA01/FT (アンプル) ⇒ 1247件
  • 4C047 AA05/FT (バイアル) ⇒ 5178件
  • 4C047 AA11/FT (バッグ) ⇒ 4302件
  • 4C047 AA21/FT (チューブ状) ⇒ 518件
  • 4C047 AA22/FT (シート状) ⇒ 573件
  • 4C047 AA25/FT (PTP) ⇒ 641件
  • 4C047 AA27/FT (注射器・シリンジ) ⇒ 1310件
  • 4C047 BB00/FT (容器・包装体の材質) ⇒ 10744件
  • 4C047 BB01/FT (ガラス) ⇒ 1616件
  • 4C047 BB03/FT (金属・無機物) ⇒ 2753件
  • 4C047 BB11/FT (高分子化合物) ⇒ 9656件
  • 4C047 BB13/FT (ポリエチレン) ⇒ 4403件
  • 4C047 CC00/FT (内容物) ⇒ 13230件
  • 4C047 CC03/FT (医薬品) ⇒ 11818件
  • 4C047 CC05/FT (輸液) ⇒ 2630件
  • 4C047 CC07/FT (透析液) ⇒ 382件
  • 4C047 DD00/FT (容器・包装体の細部) ⇒ 9341件
  • 4C047 DD01/FT (蓋・栓) ⇒ 4722件
  • 4C047 EE00/FT (容器・包装体の附属品・補助具) ⇒ 2526件
  • 4C047 FF00/FT (容器・包装体の製造・加工) ⇒ 3034件
  • 4C047 FF01/FT (ブロー成形) ⇒ 565件
  • 4C047 FF02/FT (押出成形) ⇒ 349件
  • 4C047 GG00/FT (容器・包装体の目的・機能) ⇒ 7435件
  • 4C047 GG02/FT (遮光) ⇒ 334件
  • 4C047 JJ00/FT (薬剤保管庫・分包装置) ⇒ 3672件

これらの調査結果の中には、「医療用容器」「アンプル容器、およびアンプル容器の製造方法」「容器用包装体及びその製造方法」「医療用多層容器」「医薬品用包装袋」「アンプルセット」「凍結保存容器」等々多数の特許が検出されました。

調査漏れ防止のため、4C047だけでなく、上述のFI「B65D」に対応する各種Fタームについてもチェックすることをお奨めします。
 

(2)包装・容器に関する文献調査

J-STAGEを用いて文献調査を行ってみました。(調査日:2021.11.1)

  • 全文検索: 包装 + 容器 →184473件
  • 抄録検索: 包装 + 容器 →5991件
  • 全文検索: (包装 + 容器) * 医薬 →10510件
  • 抄録検索: (包装 + 容器) * 医薬 →53件

 

これらの調査結果の中には、「服薬コンプライアンス向上を目的とした医薬品包装の取り組み」「医薬品包装開封に関する基礎的研究」「医薬品の防湿包装(スコープ)」「透明バリアフィルムと医療医薬品包装材」「高齢者の誤飲事故への早期対応と医薬品包装」「医薬品包装に求められる使命」などの文献が見られました。
 

 

ということで今回は、医薬品の容器・包装に関する基礎知識をご紹介しました。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)

 
 

 


各種容器・包装に関する特許調査/意匠調査は日本アイアールへお気軽にご相談ください。


 

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