【機械製図道場・中級編】JIS B0001の規定による寸法表示の原則を学ぶ

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JIS-B0001による寸法表示の解説

機械製図道場のこれまでの連載では、基本形状から様々なバリエーションまで、寸法補助記号の使い方、穴・ねじの表示を含めて、寸法表示法について学んできました。

JIS B0001「機械製図」の中には、寸法記入に関する規定があります。
これは、設計意図を、図面の読み手(作る人)にわかりやすく誤解されることなく明確に伝達するためのルールです。
例題を交えて学んで行きましょう。

※寸法記入原則のうちの一部については、既に別のコラム連載である”機械設計マスターへの道”シリーズの 「手書き図面はこれからも必要」 の中で解説していますので、こちらのページも併せてご参照ください。
 

(1)主投影図に集中した寸法記入

三面図のうち物体の形状を最も明瞭に表している投影図を「主投影図」といいます。
通常は、正面図が主投影図になります。

寸法数字は、できるだけ主投影図に集中して表示し、主投影図に表すことができない寸法のみを、側面図や平面図あるいは必要に応じて適用する補助投影図、に表示するようにします。

正面図と側面図というように2つの図面に寸法を記入する場合は、関連寸法の対照がしやすいように、2つの図面の間に寸法を表示します。

下図の例では、高さ方向寸法を正面図と側面図の間に表示しています。

主投影図に集中した寸法記入
 

(2)関連する寸法は(できるだけ)1か所に記入

上記(1)の考え方を原則としつつ、ある形状を加工するために関係する寸法を1か所に集める配慮も行います。

下図は、上記(1)の高さ寸法のうち、溝高さを側面図に移して溝深さと一緒に見やすく表示しました。
また切り穴に関係する高さ寸法をキリに関する寸法線の側に移して、対照をしやすくしました。

関連する寸法
 

(3)(できるだけ)工程ごとに、配列を分けて寸法を表示する

目的は(2)と同じことで、1つの工程における作業に必要となる寸法を1か所に集めることにより、必要情報を読み取りやすくするための配慮です。

上記の別コラム機械設計マスターへの道「手書き図面はこれからも必要」の中で、旋盤加工と穴加工の工程別に、寸法表示する投影図を分けた例を解説していますのでご参照ください。
 

(4)物体の形状・大きさを表す、必要にして十分な寸法を記入する

 

(5)加工寸法を計算して求める必要がないようにする

 

(4),(5)についても、上記参照コラムの中で、良い記入例と良くない記入例について紹介しています。
(1)と(2),(3)の間には互いに矛盾する点もあるように受け止める方もおられるかもしれません。
要は、図面を見て物を作る人にいかにわかりやすく伝えられるか、ということです。

少しコツを覚えるために例題で演習してみましょう。
 

【例題】工程別の寸法表示

《 問題 》

 下図のような形状の部品を、工程と関連寸法に注意して、製図してください。

加工寸法

 

《 解答 》

解答例はここをクリック

加工寸法解答

 

《 例題の解説 》

解説はここをクリック

正面図(半断面)の右側に機械加工する直径と長さをまとめて表示し、左側に材料段階(鋳物)寸法をまとめて表示しました。
側面図(片側省略)には、ねじ穴加工に関する情報を集中表示しました。

正面図にできるだけ多くの寸法を入れつつ、鋳物、機械加工、ねじ穴加工、という3つの工程別に寸法を配列して、わかりやすくしています。

 

【関連知識】知っておきたい「寸法表示方法」

① 過不足ない寸法表示と、計算させない寸法表示

どこまでが必要十分で、どの寸法を必ず表示すべきか? 重要寸法は何か? その加工の基準はどこか?などについて十分に検討したうえで選択することが重要です。

上記参照コラムの中で、良い例・良くない例を例示していますが、実は押えるべき寸法、あるいは加工基準位置が異なれば、良い例・良くない例が逆になることがあります。

過不足ない寸法表示
 

② 参考寸法の表示

下図のように、各分割部寸法をそれぞれ押さえたい場合、全長は重複寸法となります。
板取りのためなど表示したい場合は、カッコ付として参考寸法であることを明示します。
参考寸法は、要求寸法ではないので、検査対象としません。

参考寸法の表示
 

次回も続きとして、寸法表示・寸法記入について知っておきたいルールをさらに学びたいと思います。

 
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)

 

 

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