- 機械製図「ドラトレ」シリーズ
【10月期】2024/10/21(月)10:00~17:00
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今回は、形状バリエーション表示の2回目として角度表示とテーパ・こう配表示について学びます。
角度を表示するための寸法線は円弧で描きます。
角度を構成する二辺から寸法補助線を出すか、二辺の間に直接角度寸法線を引いて、角度寸法を表示します。
角度寸法は、長さ寸法と同様、下側または右側から読みやすい向きとし、場合によっては、すべての角度寸法を下から読める上向きとすることもできます。
「テーパ」は、円柱の両端の直径が異なっているもので、正面図で見たとき中心線に対して両側が対称に傾斜した形状になります。テーパ形状にすると、軸側と穴側の芯を精度よく合わせることが容易になるので、工作機械への工具の取付け、回転機械の主軸と軸継手の嵌め合い、などに採用されます。
「こう配」は、片面が斜めになった形状です。
「テーパ」も「こう配」も、傾斜度合いは(角度ではなく)傾きで表示します。
テーパは、テーパ部の長さを、大きい側の直径と小さい側の直径の差で割った値の1に対する比で表示します。
例えばテーパ長さが100、大直径50、小直径40、であれば、 1:100/(50-40)=1:10 となります。
こう配は、こう配部の水平方向長さを、高低差で割った値の1に対する比で表示します。
例えば、こう配部の水平長さが500、高いほうの垂直長さが30、低いほうの垂直長さが25、であれば、1:500/(30-25)=1:100 となります。
傾斜する方向を明示する必要がある場合は図のように、テーパの場合は寸法線の両側に傾斜した記号を、こう配の場合は片側に傾斜した記号をつけて表示します。
記号の傾きを、テーパあるいはこう配の方向と一致させます。
【左図:テーパの表示、右図:こう配の表示】
では、簡単な例で演習してみましょう。
図のような、長さ80、大径45、小径40、のテーパ部と、軸端にM30細目ねじ(左ねじ)有効ねじ長さ22の軸ねじ部を有する軸部品の、テーパ部から先を製図して下さい。
例題演習に含めた軸ねじは、本連載(初級編)でとりあげた”「ねじ」の表示方法“の復習として、軸に切るおねじの製図練習を取り入れました。
“M30細目ねじ”の”ピッチは2″で”左ねじ”、ということで、ねじの表記は解答の図のようになります。
テーパ部との境界付け根部は「ネック部」という、ねじ切りバイトを逃がすための部分で、ねじの谷径よりも小径とします。
このように、軸ねじに隣接する部分の径がねじの呼び径より大きい場合は、必要長さ(例題の場合では22)まで、完全ねじ切りをおこなうための「逃げ」が必要となります。
【軸ねじの逃げ】
軸端形状にテーパ部と小径軸ねじ部がセットになる形状は多くあるので、併せて覚えておきましょう。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)