【機械設計マスターへの道】バルブの種類・特徴・使い方をスッキリ整理!流量特性などの前提知識もチェック

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配管系統で使用されるバルブの解説

以前に当サイトで掲載されたコラムに「設計者が知っておくべきバルブの分類(方式・形状による区別)」という記事があります。この記事は、バルブのシート・シール構造や弁体の作動方向などを中心に、バルブを自分で設計する際の参考になる知識を解説したものです。

今回のコラムでは、プラント等の配管系統に一般的に使用されている代表的なバルブについて、種類と特徴や使用上の注意点をわかりやすく整理していきます。

1.主なバルブ(弁)の種類と特徴

(1)仕切弁(ゲートバルブ)

仕切弁は、弁体を流路に対して直角に移動して開閉する構造で、流体が直線状に流れるので全開時の圧力損失を少なくできる特長があります。

最も汎用的に使用されているのが「ウエッジタイプ」と呼ばれる構造のもので、弁体がくさび状で、締めることにより弁体が弁座に密着して流体を封止し気密性に優れます。

仕切弁

 

(2)玉形弁(グローブバルブ)

玉形弁は、弁内部で流れの向きが変わるため、仕切弁に比較して圧力損失が大きく、弁体の動きが流れに向かうため締めるのに要する力が大きくなります。
部分開度における流量調整機能が高い特長があります。

弁箱の入口と出口の中心線が一直線上にある「ストレートタイプ」と、弁箱の入口と出口の中心線が直角をなす「アングルタイプ」があります。
後者は、前者よりも圧力損失が小さく、配管コーナー部に設置するため、取り付けに場所をとらない利点があります。
両者の中間形状のY形(斜角タイプ)もあります。

弁体が細く先端がテーパ状になっているものを「ニードル弁」といいます。
通常の玉型弁よりも流量の微調整が可能になります。

玉形弁

 

(3)ボール弁

ハンドルを回すゲート弁やグローブ弁に比較してレバーを90度回すだけなので開閉操作が容易で、急速な遮断を必要とする場合に適します
ボール弁は全開か全閉のどちらかで使用され、流量制御には適していません。

樹脂製のシートを用いるソフトシートは気密性に優れますが、温度・圧力の制限があります。
一方、金属製のシートを用いるメタルシートは、高温に使用できますがシール機能には劣ります。

ボール弁

 

(4)バタフライ弁

バタフライ弁の弁体は、薄い円盤状になっているので、他のバルブよりも面間寸法を小さくすることができ、軽量です。

ボール弁と異なり、中間開度で使用しての流量調整も可能です。
ただし、圧力差が大きい場合にはキャビテーション発生に注意する必要があります。

シール構造には、ボール弁と同様にソフトシートとメタルシートとがあります。

バタフライ弁 

 

(5)逆止弁

逆止弁(チェッキバルブ、チャッキバルブ)は、正規方向の流れは妨げずに弁体がスムースに開き、背圧がかかったときに弁体が閉じて逆流を防止します。

使用例として、他のポンプ運転による配管圧力により、停止中のポンプが逆流逆回転するのを防止する目的で、ポンプの吐出し配管に設置します。

弁体がヒンジ(蝶番)で弁箱に取付けられて開閉動作する構造の「スイング逆止弁」と、弁体が弁箱または弁蓋に設けられたガイドに沿って、弁座に対して垂直方向に作動する「リフト逆止弁」があります。リフト式逆止弁は水平配管にのみ用いることができます。リフト式逆止弁を垂直配管に設置すると、正しく機能しなくなるので注意が必要です。

 
逆止弁

 

2.弁(バルブ)の開度‐流量特性

弁上下流の差圧を一定としたときの、弁開度(ストローク)割合と流量割合の関係を、弁の固有流量特性といいます。

代表的な固有流量特性には、「クイックオープン」「リニア」「イコールパーセント」の3種類があります。
下図を参照ください。

弁を全開にしたときに流れる流量を「バルブ容量」といいます。
基準の流体に対するバルブの基準差圧と流量の関係を数値で表しておくと、様々な種類の弁を選定する際に便利です。この数値のことをバルブの「容量係数」といいます。

容量係数で一般によく用いられるのがCv値です。
Cv値は、1psi(pound per square inch)の差圧において、バルブを流れる華氏60度の清水の、USGPM(米国ガロン毎分)で表した流量の数値(無次元数)と定義されています。つまり、Cv値の大きいバルブは、同じ差圧に対して通過流量が大きくなることを表します。

流体の種類が異なれば比重が異なるので、同一Cv値、同一差圧の条件に対して、通過流量が異なってきます。あるCv値のバルブで、ある流体を流すときの、流量と差圧の関係を知ることもできます。

図の縦軸流量(%)は、Cv値で表すこともできます。
流量特性

弁により流量調節を行うとき、弁を含む配管系統全体の流量特性がリニアになることが望ましいです。

しかし、弁以外の配管損失が大きいとき、あるいは弁の開度変化により弁の差圧が大きく変動するときは、リニア特性の弁を使うと、配管系全体の特性はクイックオープンに近づき、イコールパーセント特性の弁を使うと、配管系全体の特性はリニアに近づきます。

玉型弁やバタフライ弁は、イコールパーセント特性を有するので、流量調節を行うのに有利となります。
一方、ゲート弁やボール弁は、リニアに近い特性を有しています。そのため、配管系全体としてはクイックオープンに近づき、流量調節には適しませんが、小さい開度のうちから比較的大きな流量が得られるので、全閉か全開のどちらかで用いるオンオフ弁に適しています。
 

3.安全弁・逃し弁(リリーフ弁)

安全弁とは、通常は閉じていて、何らかの原因で配管系の圧力が設定された上限値に達したときに開き、流体を放出することによって圧力を下げる弁です。

最も多く使用されているのが、「ばね式安全弁」です。
ばね力により弁体を弁座に押し付け、配管圧力が設定値に達すると、弁体に内側から働く圧力による力(圧力x弁体の受圧面積)が、ばね力に打ち勝って弁体を押し上げて流体を逃がす構造です。ばねの圧縮量を変えることで設定圧力を調整することが可能です。

 
ばね式安全弁の図
 

容積形ポンプ(プランジャポンプ、ベーンポンプ、歯車ポンプなど)は、吐出し側を締め切って運転すると圧力が限りなく上昇します。したがって、容積形ポンプには必ず安全弁の設置が必要となります。

[※ 容積形ポンプの解説はこちらの記事をご参照ください。]

 

4.調節弁と調整弁

(1)調節弁とは?

上記2.で述べたような流量調節を行う場合、手動で弁開度を調整するということは少ないでしょう。
多くの場合は、外部入力としてプラントから制御信号を受けて、空気圧などの動力源を用いて弁開度を自動調節する方式が採用されます。
このような他力の信号と動力による自動制御に用いる弁を「調節弁」(Control Valve)といいます。
 

(2)調整弁とは?

3.で解説した「逃し弁」の一種に、配管系統から分岐設置して、配管系統の圧力を検知することで弁を若干開いて、系外へ流体を逃がして、系統へ供給する圧力を調整する目的で使用できる構造のものもあります。
また、配管系統に設置して、弁下流の圧力を検知することで弁開度を小さくして抵抗をつけ、弁下流の圧力を調整する目的で使用される弁(減圧弁)もあります。
前者を「一次圧調整弁」、後者を「二次圧調整弁」といいます。

このように、外部信号を受けて、(外部動力で駆動するのではなく)自力で直接弁開度を変える構造の弁を「調整弁」(Regulating Valve)といいます。

調整弁

 

5.弁(バルブ)の規格と、圧力・温度の使用範囲

国内では、JISあるいはJPIが代表的な規格ですが、他にも多数の基準・規格が制定されています。国際的にはISO、ANSI、ASMEをはじめとして多数の基準・規格があります。
プラントに適用される法規・規格・基準を確認して、適切にバルブを選定する必要があります。

JPIやASMEなどでは、弁箱や弁蓋など耐圧部材に使用する材料別にP-T rating (圧力‐温度基準)として、使用範囲が定められています。また、JISでは材料別の規格があって、それぞれ流体の種類ごとに、温度と圧力の関係が規定されています。

 

ということで今回は、主要なバルブの種類と特徴・使い方のポイントを解説しました。

 
(日本アイアール 特許調査部 S・Y)
 

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