3分でわかる技術の超キホン 設計者が知っておくべきバルブの分類(方式・形状による区別)

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いわゆる機械要素の一つとしてのバルブ(弁)に関する技術には、その用途により、様々な種類があります。
単純に開閉を行うものから、2000気圧を越える流体の流量を、1000μs(0.001秒)以下のレベルの短時間に制御するものまであります。

本コラムでは、バルブの開発技術に関する設計変数の事例を説明します。

通常、製品は各分野で実績のある形状をベースにするため、同じような形状・方式を継続して用いがちですが、コンセプト段階から設計する場合の参考として、別の形状・方式に対する理解を深めていただければと思います。
 

シートでシールするものとクリアランスでシールするもの

バルブでは、開いているときに対して、閉じているときは流れを止める、すなわち「シーリング」を行わなければなりません。この閉弁時のシール方式に、「シートシール方式」と「クリアランスシール方式」があります。

下図(a)と(b)の構成のようにシート部でシールするものがシートシール方式です。

一方、(c)のようにバルブとシリンダ間のクリアランス(間隙、例えば50μm)で、完全ではありませんが、流れを止めるものをクリアランスシール方式と呼びます。

シートシール方式においても、流体の圧力やシートの微細な形状・精度の影響により、漏れをともないますので、そのシール性についての定義・設計規格化が必要となります。

クリアランスでシールする

外開き弁と内開き弁

上図(a)のように、シリンダに対してバルブが外側にリフトして開弁するものを「外開き弁」、 上図(b)のように内側にリフトして開弁するものを「内開き弁」と呼びます。
形状から、それぞれ「ポペット弁(ポペットバルブ)」、「ニードル弁(ニードルバルブ)」とも呼ばれます。あるいは、シールするための力の方向から、外開き弁を「プルタイプ」(引っ張ることによりシール)、内開き弁を「プッシュタイプ」(押えつけることによりシール)と呼ぶ場合もあります。

流体の流れとの関係を考えると、外開き弁では流れが弁の開弁を補助する側に作用するのに対して、内開き弁では、流れが弁のリフトの抵抗になります。
外開き弁では、シートの外側に付着物などが堆積しやすい場合、流れによる洗浄効果が得られます。

図から分かるように、バルブの構造作動として、図でバルブとしているものが固定側で、シリンダとしているものの方がストロークするという構成も可能です。この場合の部品名称は、上図シリンダが「筒形バルブ」あるいは「バケット形バルブ」と呼ばれ、上図バルブの方は「シャフト」などと呼ばれます。

(c)のスプール弁(スライダー弁、摺動弁)では、シート弁のような方向的な設計特性は有りません。
 

摺動弁と回転弁

スプール弁の場合には、設計において、図(c1)や(c2)のように、リフト方向の動きと回転方向の動きを用いることができます。

開弁時に流体が流出するための穴や溝を、「スピルポート」あるいは「スピルグルーブ」と呼びますが、バルブの表面に螺旋溝を設定し内部のポートと連結することにより、リフト方向と回転方向の両方を用いて、流れの制御をすることも可能になります。
摺動弁と回転弁
 

シート弁のシート形状(線接触と面接触)

シート弁におけるシール方法では、シート部が線接触でシールするものと面接触でシールするものがあります。

線接触シールでは、円推部または球部の形状精度とともに、バルブとシリンダの位置を合わせる精度の向上も必要です。

面接触の場合には、この位置合わせ精度を軽減できる代わりに、バルブ部品とシート部品のシート面の平坦度や粗さ精度の向上が必要になります。

一方、面シール方式においては、シール面の形状に関して、単純なリング形状以外の形状を設定することもできます。

シート弁のシート形状

このコラムで説明したバルブ設計の変数は一部のものですが、今回得た知識をベースにして、色々なバルブの構造を眺めてみると、同様の機能を目指して設計されているにもかかわらず、構成や形状は様々で興味深いと思います。

ご自身の設計するバルブに他のバルブのアイデアを取り入れることで、基本構造から変更することも可能となるかもしれませんね。

 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)
 

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