【初心者向け解説】QCストーリーとは?絶対に押さえておくべき前提知識・まとめ
目次
1.QCストーリーとは?
「QCストーリー」とは、品質管理(Quality Control:QC)における問題を解決するための進め方のことです。
QCの問題を解決する活動を推進するための基本的な考え方として知れ渡っています。
名前の通り、品質管理に関する考え方ではありますが、品質管理以外の分野でも、問題解決の進め方として参考にすることができます。
(1)QCストーリーの骨子(構成要素)
一般的なストーリーとして、「テーマ」「現状把握」「目標設定」「活動計画」「原因解析」「対策立案」「対策実施」「効果確認」「歯止め」「反省と今後の方針」という構成要素となっています。
「目標設定」を外す場合や「テーマ選定理由」を入れる場合など、考え方の相違によってバリエーションが存在します。
QCストーリー
(2)QCストーリーの分類(種類)
QCストーリーには、使う場面に応じていくつかの分類があります。
- 問題解決型のQCストーリー:生じている問題を根本的に解決する
- 課題達成型のQCストーリー:クリアしたい課題の達成を実現する
- 施策実行型のQCストーリー:プロジェクトをタイムリーに完遂する
いずれにしても、テーマを設定して、そのゴールに到達するための一連の取り組みという点は共通します。
2.QCストーリーの特徴
(1)プロジェクタ型の小集団活動
テーマを設定してゴールに到達するための取り組みは、いわゆるプロジェクト型の活動といえます。継続して状態を維持するためのライン型の活動とは異なります。
QCそのものは状態を維持管理するためのライン型の業務ですが、そのQCを改善するためのプロジェクトということで、ラインスタッフがチームを結成して取り組むことになります。
製品開発や業務改革などのプロジェクトとは異なり、生産や品質管理のライン実務に携わるメンバーが兼任で進めるため大規模な活動とはなりません。
またトップダウンではなく現場からのボトムアップで活動を推進する点が特徴的です。このような活動を「小集団活動」といいます。
(2)QCストーリーのメリット
QCストーリーの特徴は、テーマがシンプルに説明できる単独のものであることと、追及して対策する原因についても(複雑に入り組んだ複合要因というよりは)根本的な1つの問題点であることが主眼となっています。
そのため、ストーリーが枝分かれせずに最初から終わりまで進行し、プレゼンテーションやレポートにする場合にも分かりやすいものとなります。
その点が、QCストーリーが好まれる理由ともなっています。
(3)QCストーリーのデメリット(課題)
実際に生じている課題や問題は、複雑に事象が絡み合っていたり、原因も対策も一つではなく多数が複合しているケースが多くあります。また、課題を進めるうちに新たな問題に直面することもあります。
そのような実務テーマの複雑な状況を、QCストーリーのテーマとしてシンプルに表現しようとすると、分かりやすくなるというメリットがある反面、現実の課題の構造における一部分だけを切り取ったような形になり、現実との乖離が起こってしまう恐れがあるため、テーマの選定の仕方には注意が必要です。
3.QCストーリーの発展
QCストーリーは、問題解決のストーリーとして分かりやすいため、品質管理以外のテーマでも活用することができます。
また、顧客満足を得るための活動、つまり全社的な品質保証活動という視点に立つと、製品の品質特性の安定化や改善という視点より広く、事業活動全体の品質レベルを維持向上させるための活動ととらえることも可能です。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)
◆併せて読みたいおススメコラム:QCストーリーの具体的な解説はこちら
- QCストーリー解説①:テーマ選定、現状把握/目標設定までの進め方と検討事例
- QCストーリー解説②:仮想事例で学ぶ!要因の解析から対策の検討・実施までの進め方
- QCストーリー解説③:効果確認、標準化と管理の定着、反省と今後の取組みを事例で解説