3分でわかる技術の超キホン 「薄膜」とは?

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薄膜の解説(用途、作成方法・プロセス、技術の習得法)
 

薄膜とは?

薄膜は「はくまく」と呼びます。文字通り、薄い膜のことです。

膜そのものとして独立したもの(フィルターなどで使う膜や、薄~く延ばされた金箔など)のことをいう場合もあります。ただし、薄膜という言葉は、どちらかというとガラスやシリコン基板などの上に、ごく薄く平滑に堆積した膜の事をいうようです。

そのような薄膜は、それ自体で存在できず、必ず基板の上にあるという事になります。

薄膜は、狭い意味では、「真空成膜技術などで作った膜」のことをいいます。広い意味では、めっきや塗装でつくった薄い膜も、薄膜といいます。・・薄いものほど、「薄膜」という言葉がしっくりくるようです。

なお、「うすまく」と呼ぶこともあるようです。それは、薄膜を通常よりもさらに薄くする場合に、そのことを「薄膜化」=「うすまくか」といったりするケースです。「はくまくか」では、薄くしたいという意図が通じないのでしょうね。

 

薄膜って、どのくらい薄い?

厳密な定義ではありませんが、厚みが1ミクロン以上ある場合は、「薄膜」という言い方はあまりしません。ナノレベルの膜、とても薄い膜が、薄膜という事になります。そのため、めっきでも薄くつければ薄膜の一種ですし、厚くなると薄膜とはいいにくいです。(めっき膜といったり、厚くして基板から剥がすと電鋳といったりします)

塗装では、1ミクロンより薄い膜は普通はつけにくいので、薄膜という言い方はあまりしませんが、薄くすることができるウェットコーティング技術(スピンコート、カーテンコート、マイクログラビアなど)では、薄膜らしい薄い膜になります。

 

薄膜の用途は?

薄膜は、主には電子部品などで使用されます。例えば、ハードディスクの記録面は磁性の薄膜です。液晶ディスプレイの画面も、いろいろな薄膜を重ねて作られています。半導体のとても細かい回路は、薄膜をパターン形状に加工して、それを積層させています。半導体も、液晶テレビも、薄膜でできているんです。

電子部品以外にも、薄膜は様々な用途で使われています。

例えば、物体の表面の強化や保護といった目的です。製造業でよく使用する金型や工具は、その表面を固い薄膜で保護することがよくあります。

また、薄膜は光の制御のためにも使用します。金属製品の表面を薄膜によってさまざまに色付けしたりします。むかしは塗装を用いることがほとんどでしたが、長期間その品質が安定する薄膜を使うことが、だんだんと多くなっています。他の例では、自動車のヘッドライトの光源の周りにも光をよく反射する薄膜が使用されています。

 

薄膜をつくる方法は?

薄膜を作る方法は色々にあります。代表的な方法は、真空成膜です。真空中で、膜の材料を基板の表面に堆積させます。

真空成膜もその方法によっていくつかに分かれます。
材料を熱で蒸発させて、基板の上で冷やして固体にする方法を「真空蒸着」といいます。
材料にイオンをぶつけて材料を基板に向かって飛ばす方法を「スパッタリング」といいます。
真空蒸着やスパッタリングのことを合わせて「PVD(Phiysical Vapor Deposition:物理的気相成長法)」といいます。
気体状の材料を基板の表面で反応・分解させて固体にする方法を「CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長法)」といいます。

言葉から分かるように、PVDとCVDは対になるキーワードです。
合わせて「VD(Vacuum Deposition:真空成膜)」となります。

真空成膜以外の薄膜技術には、電解めっき、無電解めっき、ウェットコーティングなどがあります。

それ以外にも、溶射(熱で軟化させた金属粉を飛ばして固める)、塗装スプレー法などもありますが、これらの多くは通常はミクロンレベル以上に厚くなりますので、薄膜というよりは、塗膜とか皮膜という言い方の方がしっくりきます。

 

ナノレベルまで薄いことにこだわるのはなぜ?

薄膜は、とっても薄い膜で、それも1ミクロンより薄い膜のことだ、といっても、そんな事をだれが決めたのでしょうか。1ミリだって、十分薄いといえば薄いじゃないか・・。ここまでの話から、そんなギモンが浮かぶように思われます。

薄膜をナノレベルの膜としているのは特に公式な理由があるわけではないのですが、どうやら、その用途や機能の面から、言葉が定着しているようです。

現在、薄膜と呼ばれているナノレベルの膜は、主には電子部品に用いられます。電子部品のなかで薄膜は、電気を通したり、絶縁したり、光を通したり、光を遮ったりといった機能を発揮します。さらに、微細な回路を作って、計算機能や情報記録の機能を持ちます。

そのような用途で用いられる膜は、非常に薄く、平滑で、均一でなくてはなりません。膜がない部分がちょっとでもあると精密機器はうまく作動しません。また膜が厚すぎても、うまく回路をつくれません。

そのような、精密な部品のための素材として使用されるとても精密な薄い膜、それを薄膜と呼ぶというのが、電子部品や半導体の業界からの慣例ということのようです。

 

薄膜は誰がどうやって作っている?

主には電子部品で使われる薄膜ですので、薄膜を作っているのは、主には電子部品メーカーという事になります。薄膜を作るには、基板と、膜にする材料と、成膜を行う装置が必要となります。

成膜装置は、例えば真空成膜装置であれば、真空チャンバー(成膜を行う釜)や真空ポンプが必要になります。
精密な用途で用いられる膜はゴミやほこりが大の苦手ですので、膜をつける前に基板の表面をきれいに洗浄する装置も必要になります。
また一連の加工を、ゴミやほこりがつかないようにするためには、クリーンルームが必要になります。

どのような膜にするのかについては、成膜装置の制御がキモになります。ボタン一つでできるわけではなく、成膜条件を決める様々なパラメータを制御して、適切な膜厚、膜の状態を実現する必要があります。

このように考えると、薄膜をつくるには、多くの設備を必要として、また技術ノウハウが大切になることが分かります。

 

薄膜を学ぶには

家電や携帯、パソコン、自動車など、世の中で使われる様々な製品に電子部品は使用されています。多くの製造業が、何らかの形で薄膜に関わっているといえそうです。技術者が薄膜に関わる機会は、意外と多いのかもしれません。

しかし、薄膜について学ぶ機会は、技術者にとっては、ほとんどないといってよいと思います。薄膜について学ぶ機会も、薄膜のことが分かる本も、あまり多くないですし、世の中にはほとんど情報が出回っていません。そのため、薄膜って、ああ、あれね・・。と、なんとなくの認識でいることが多いようです。

しかし、薄膜は精密な機器・部品には必ず使用されていて、しかもその機能の中核となる要素技術です。薄膜を学ぶことは、多くの技術者にとって、大変有益な事だといえるでしょう。

薄膜については、図書館で専門書を見つけることができます。学会論文も多数あります。ただし、技術者の実務にあったものがあまりないようです。

技術者教育研究所では、製造業の実務に合った形で薄膜について学べる講座やコンテンツをご用意していますので、ぜひご利用ください。

 

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