【QC検定3級対策】QC的ものの見方・考え方|必ず押さえておきたい10選
QC検定は、JSA日本規格協会グループが主催する品質管理の知識を問う筆記試験です。
内容は品質管理とは何か?から始まり、改善活動の基礎知識、統計的なプロセス管理など多岐にわたります。
受験者数は年々増加しており、毎年の受験者数が10万人を超える製造業ではメジャーな試験です。
[※関連記事:【技術系資格ナビ】QC検定(1〜4級の難易度/合格率/勉強方法/メリット)はこちら]
この連載では、各級の頻出範囲について例題を交えて解説を行います。この連載を通じて、QC検定の受験準備をしてみましょう。
3級の試験範囲は日本規格協会のHP(品質管理検定レベル表)をご確認ください。
目次
【3級解説:第9回】QC的ものの見方・考え方
今回は3級の試験範囲(実践分野)から「QC的ものの見方・考え方」に関して解説します。
品質を向上させるには様々な考え方や手法があり、それらの考え方を「QC的ものの見方・考え方」といいます。
3級の試験範囲では品質向上に欠かせない基本的な考え方が出題範囲になります。
(1)マーケットイン
「マーケットイン」とは、市場における消費者のニーズをくみ上げ商品を提供していく「初めに顧客あり」という考え方です。頻繁に移り変わる消費者のニーズに適応する必要があります。
(2)プロダクトアウト
「プロダクトアウト」とは、企業が自社の販売・生産計画に基づいて製品を市場に投入することをいいます。
プロダクトアウトは「作れば売れた」というひと昔前の考え方といわれる場合もあります。
(3)QCD+PSME
「QCD」は、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の需要3要素として「広義の品質」と呼ぶ場合があります。
さらに、ここに生産性(Productivity)、安全性(Safety)、モラル(Morale)、環境(Environment)の”PSME“を加えて、「QCD+PSME」を品質の管理項目として挙げる場合もあります。
(4)品質第一主義、品質至上主義
QCDのうち、特に品質を最優先に考えて顧客重視で活動していくと不良品やトラブルが減りますので、コストの低減、納期の遵守に結びつきます。
この品質最優先の考えを「品質第一主義」、または「品質至上主義」と呼びます。
(5)後工程はお客様
「後工程はお客さま」とは、自社内であっても自分が担当する後の工程を顧客と考え、後工程の人に満足してもらえるよう仕事をする考え方をいいます。後工程がお客さまという意志で全員が仕事をすれば、よい結果に結びつきます。
(6)重点指向
品質管理活動を行う際に、全ての問題に対して改善対策を同様にとっていくのは効率的ではありません。
効果が大きそうな分野を選択し、限られた人的、資金的資源を集中的に投入する必要があります。
これを「重点志向」といいます。
(7)見える化
「見える化」とは、問題点を把握したり解決方法を考えたりするのに、様々な情報を図・表・グラフなどに示して可視化することです。
また問題点が顕在化していない場合でも、潜在トラブルを発見するために見える化を行う場合もあります。
(8)是正処置
品質不具合が発生した場合、一般的に下記のような対応をとります。
- 不具合(社内外からの指摘や、顧客からの苦情など)の内容確認
- 不具合の波及範囲の特定と処置
- 不具合を再発させないための応急処置(暫定処置ともいう)
- 不具合の原因の調査、特定
- 原因に対し必要な是正処置の決定と実施(再発防止)
- 実施した是正処置と結果の記録
- 実施した是正処置の有効性のレビュー
不具合の原因に対策を実施することを「是正処置」、または「再発防止」ともいいます。
次に是正処置を行う上で重要な考え方を解説します。
- 事実に基づく活動: 品質管理ではデータなど客観的事実に基づき判断を行うのが重要です。また改善の効果確認や維持管理もデータで状況を把握する必要があります。これを「事実に基づく活動」といいます。
- 三現主義: 三現主義とは「現場・現物・現実」の頭文字をとったものです。問題などが発生した際に机上ではなく現場に足を運び、現物を確認し、起きている現実を知ることが重要であるという考え方です。
- 源流管理: 問題が起きた場合にその問題が発生した工程だけではなく、前工程にさかのぼって真の原因がどこにあるかを突き止めることを川の流れに例えて源流管理といいます。
(9)予防処置
「予防処置」とは、不具合が発生する前にあらかじめ原因を取り除くなどの処置を行う活動です。
処置の流れとしては下記の通りです。
- 起こり得る不具合およびその原因の特定
- 不具合の発生を予防する処置の必要性の評価
- 必要な予防処置の決定と実施
- 実施した予防処置と結果の記録
- 実施した予防処置の有効性のレビュー
予防処置に関連する用語として下記もチェックしましょう。
- 未然防止: 未然防止と予防処置とほぼ同義です。計画段階で発生する可能性のある不具合をあらかじめ洗い出し対策を講じることをいいます。
- ポカヨケ(フールプルーフ): 工場などの製造ラインに設置される人為的な作業ミスを防止するための仕組みです。例えば、部品の凹凸による誤挿入防止や、治具に通信機能を持たせて誤った使い方をするとアラームが鳴るようにするなどの仕組みがあります。
- フェールセーフ: 故障や操作ミスが起こった際に被害を最小限にとどめるような工夫のことです。例えば石油ストーブや電気ポットは転倒すると自動的に消火や電源が切れたりするように設計されています。
(10)プロセス重視
「プロセス重視」とは、できあがった製品の品質だけに着目するのではなく、プロセス(仕組み)に着目するという考え方です。
製品の品質不良には、その原因となっているプロセスがあるはずです。設計、部品・原材料、製造工程などのプロセスで、原因を特定し改善を行います。
特性と要因
寸法、形状、耐久性などの結果の項目を「特性」といいます。
一方、この結果をもたらす原因系を「要因」といいます。
特性と要因には因果関係があり、この因果関係を示した図を「特性要因図」といいます。
[※関連コラム: 特性要因図の解説は QC七つ道具の基本④ 特性要因図とは? のページをご参照ください。]
ばらつき
発生した問題の原因がばらつきによるものだと分かった際に、そのばらつきが異常原因によるものか偶然原因によるものかで対応は大きく変わります。
異常原因によるものであれば異常の原因を取り除かねばならず、偶然原因によるものであれば工程能力自体の改善が必要です。
[※関連コラム: ばらつきの解説は QC七つ道具の基本⑤ 管理図とは? のページをご参照ください。]
それでは例題にチャレンジしてみましょう。
《例題》
品質に関する文章において、( )内に入るもっとも適切なものを選択肢からひとつ選べ。
(1) 工程で問題が発生した際には(①)に基づき、(②)を集めて判断を行う。このとき問題が発生した(③)に着目するのが重要であるという考え方を(④)という。
(2) 部品の形状を非対称にして反対向きに取り付けができなくする工夫などを(⑤)という。またこの工夫が過去に不具合品を生産してしまったために行った処置である場合は(⑥)にあたる。
(3) 使用限度を超えて使用すると自動的に停止するような機構を(⑦)という。またこれは実際に問題が起こったのではなく、設計段階で問題が発生する可能性があったため取り入れた機構の場合には(⑧)にあたる。
(4) 「品質を工程で作り込む」という考え方は品質管理を行う上で非常に重要である。品質を向上させるには、品質(結果)のみを追い求めるのでなく、その結果を生み出すための(⑨)を管理する必要があります。この考え方を(⑩)という。
選択肢
[ア.ポカヨケ(フールプルーフ) イ.フェールセーフ ウ.データ エ.源流管理 オ.三現主義
カ.要因 キ.工程のみ ク.是正処置 ケ.予防処置 コ.プロセス重視
サ.前工程 シ.KKD ス.結果 セ.経験 ソ.経験者]
《例題》[解答と解説]
まとめ
今回は実践分野の2回目「QC的ものの見方・考え方」について解説しました。
品質改善活動には色々な切り口があります。
どれも品質改善活動にあたり基本的な考え方ですので覚えておきましょう。
次回は「方針管理」について解説します。
(アイアール技術者教育研究所 A・K)