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3分でわかる技術の超キホン 焦電素子とは?焦電効果などの前提知識と原理・使い方を解説

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人感センサと焦電素子

今回のコラムでは、電子回路部品のうち「焦電素子」について説明します。

1.身近なところで活躍する「焦電素子」

電子回路を構成する部品のうち、焦電素子という名前は、聞いたことがないかもしれませんが、実はいろいろなところに使われている部品のもとになっているものです。
多くは、「焦電型赤外線センサー」という部品となって使われています。

焦電型赤外線センサーは、人感センサーともいわれており、人が近づくと点灯する電球や自動ドアなどに用いられています。
人が触れなくても動作させることができるので、今後ますます利用が見込めます。

 

2.焦電素子の原理

上述のように、焦電素子は焦電効果を利用した素子です。

強誘電体が赤外線を受けるとその熱エネルギーによって電荷が生じます。
この現象を「焦電効果」(しょうでんこうか)、または「パイロ効果」といいます。
 

温度変化と焦電効果

電気石(トルマリン)などの特殊な結晶構造をもつ物質は、「分極」といって、電場を印加しない自然な状態でも正負の電荷が発生します。
平常時では、この正の電荷には空気中の負の浮遊電荷が吸着し、負の電荷には空気中の正の浮遊電荷が吸着して、電気的には中和されています。
しかしながら、熱が加わると中和が破れ、表面が帯電します。

これが温度変化により焦電効果が起こる理由です。
 

焦電素子の原理
【図1 温度変化による焦電効果のイメージ】

 

図1は、その様子を表した図です。
安定時は、正負の電荷が中和されていますが、赤外線が照射されて温度変化があると中和状態が崩れてしまい、正または負に帯電してしまいます。
これは、赤外線照射で温度が上昇すると分極が減少しますが、浮遊電荷は分極の変化ほど速く反応できないため、余分な浮遊電荷が残ってしまうことによるものです。
また、時間が経つと余剰な電荷は電極から離れていき、元の安定状態に戻ります。
 

なぜ焦電素子で人体を検出できるのか?

人間は熱エネルギーを放射していて、人体から放出される熱エネルギーは赤外線です(人体は約9~10μmにピークをもつ赤外線を放射)。
このような人体から発せられる僅かな赤外線を焦電素子で検出すれば、人体を検出するセンサーとして応用することが出来ます。
 

焦電素子の材料は?

焦電素子の材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの強誘電体セラミックスや、LiTaO3(タンタル酸リチウム)などの単結晶、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの有機材料があります。

 

3.焦電素子の使い方(焦電型赤外線センサーの内部回路の例)

焦電素子は焦電型赤外線センサーの形になって使われることが多いです。

焦電素子の使い方
【図2 焦電型赤外線センサーの内部回路の例】

 
図2は、焦電型赤外線センサーの内部回路を示しています。

図2のように焦電型赤外線センサーの内部は、焦電素子2個と負荷抵抗とFETで構成されています。
焦電素子は非常にインピーダンスが高いためインピーダンス変換用にFETを内蔵する場合が多いです。
[※FET(電解効果トランジスタ)の基礎知識についてはこちらをご参照ください。]
 

人間の動きを検知する際に、デュアルタイプにする理由は?

また、図2は、2つの焦電素子の電極が逆になるように接続されています。
この構成では、部屋の照明が点灯した場合など周りの赤外線量が変化した場合でも、発生する電圧が逆なので打ち消しあって出力には電圧が現れません。
しかし、人が焦電型赤外線センサーの前を横切った場合には、両素子に入る赤外線の量は均等ではなくなり、出力に電圧変化が現れます
したがって、人の動きを検出する場合には、図2のようなデュアルタイプがよく用いられます。

実際は、赤外線に対する感度を高めるために赤外線入射部にレンズやフィルターを配置したり、出力を増幅する増幅回路を設けたりして利用しやすい製品となって供給されています。
また、横切る動きだけでなく、上下左右の動きを検出するため焦電素子が4つ入ったクワッドタイプや、炎検知のように単純に温度を測るためのシングルタイプなどもあります。
 

以上のように、焦電素子は焦電型赤外線センサーとして様々な場面で使用される重要部品となっています。
 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)

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