- 《大好評》LTspice設計実務シリーズ
LTspiceで学ぶ電子部品の基本特性とSPICEの使いこなし(セミナー)
2025/4/2(水)10:00~17:00
お問い合わせ
03-6206-4966
様々な液体を扱い、高速回転するポンプを長期間運転していくうちには、何らかのトラブルが発生する可能性があります。重要なことは、トラブル発生時に迅速な対応を行い、原因を究明して対策を立てて、なるべく早期に復旧することです。
ポンプのトラブル原因と対策は多岐にわたり、複数の要因が重なって発生することも多く、早期に解決することは容易ではありませんが、一般に良く見られるトラブルとその原因・対策について知っておくことが、トラブル発生時の行動指針となります。
[※当連載の「ポンプ回転体のバランスと振動」のページもご参照ください。]
目次
ポンプに発生し得る主な不具合事象には次のようなものがあります。
ポンプのトラブル要因が何に関連するものなのかについて、概ね下記のように分類することができます。
上記の要因で(C6)以外は、ポンプ本体ではなく何らかの外的要因によるものです。(C1)~(C5)の要因について、具体的にどのようなものが考えられるのか、見ていきましょう。
ポンプは基本的に、液で満たされることではじめて機能を発揮する機械ですので、十分な空気抜き(水張り)が必要です。
またキャビテーションを発生させないようにNPSHAを確保することのできる吸込み配管計画が重要です。
(※「キャビテーションとは?発生原理やNPSHなどの基礎知識をやさしく解説」もご参照ください)
トラブルは、いくつかの要因が複合して発生することも多いので一つ一つ考えられる要因を調査していく必要があります。
調査作業を効率的に行うには、次のような手順で進めると良いと考えますので、参考指針としてください。
(P5)のポンプ分解を行うためには、ポンプ運転を停止してプラントの操業を中断する必要がありますので、まずは(P1)~(P4)の手順を踏んで調査します。
(P1)~(P4)の調査内容について、具体的にどのようなものが考えられるのか、見ていきましょう。
上記2.の(C1)~(C5)の要因を踏まえて、3.の(P1)~(P5)の手順に則ってトラブルシューティングを実施していく例を、性能不良の場合について見てみましょう。
本コラムの解説は、一般的に考えられるトラブルの原因を述べたもので、他の要因が影響する場合や、いくつかの原因が複合して発生することも多く、あくまで一つの指針としてトラブル対応の参考としてください。
トラブル発生の際には、紹介した調査項目を参考に、初動対応調査を進めると共に、速やかにポンプメーカに連絡を取って、指導員(スーパバイザ)の派遣を要請し、指導員と協力してトラブルの原因究明と対策、早期復旧を行うようにしてください。
独自で進めるべき項目とメーカ指導員を待つべき項目の区分目安は次のようになります。
【初動対応で先に調査を進めるべき要因】
配管系や基礎系、揚液の性質に関する項目、運転記録、計測値の収集
【メーカ指導員と協力して調査を進めるべき要因】
ポンプ回転体や、性能機能、軸受、軸封などのポンプ要素部品に関する項目
(必要に応じて、分解点検調査を実施)
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・Y)