3分でわかる技術の超キホン 「LEDと電子回路」の基礎知識

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電子回路におけるLEDの解説

電子回路を構成する部品のうち、LED(発光ダイオード)は、最近よく話題になる半導体部品です。

青色LEDが開発されてから、急速に用途が拡大してきました。
例えば、白熱電球や蛍光灯などの照明機器に代わって、LED照明が多く使用されるようになってきました。
また、赤色、緑色、青色の3色(光の3原色)が揃うことによりディスプレイとしても利用されるようになってきました。

ここでは、半導体部品としてのLEDについて基本的な部分をみていきましょう。

1.LEDの原理

まず、LEDの原理を見ていきましょう。

発光
 LEDの原理
【図1 LEDの原理のイメージ】

図1は、LEDの原理を示す簡単な図です。
P型はP型半導体、N型はN型半導体を示しています。
P型半導体には、+マークの正電荷があり、N型半導体には、-マークの負電荷があります。
正電荷は正孔、負電荷は電子となります。

LEDは、ダイオードと同じくP型半導体とN型半導体をPN接合させたものになります。

図1のようにアノード側電極に+の電位をかけ、カソード側電極に-の電位をかけると、正孔(+)は―の電位がかかるカソード側電極に引き寄せられ、電子(-)は+の電位がかかるアノード側電極に引き寄せられます。

ここで正孔と電子の移動の途中で衝突すると結合(再結合という)し、再結合された状態では、正孔と電子がもともと持っていたエネルギーよりも、小さなエネルギーになります。
その時に生じた余分なエネルギーが、光のエネルギーに変換され発光します。
 

一般のダイオードとLEDの違いとは?

では、一般のダイオードとどこが違うのか言うと、一般のダイオードはシリコンに1種類の元素が加えられたものが使われますが、LEDは2種類以上の元素が加えられたものが使用されます。

例えば、Ga(ガリウム)、N(窒素)、 In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)などが用いられ、それぞれ発光する光の波長が異なります

光の波長は、450nm前後が青色、520nm前後が緑色、660nm前後が赤色に見えます。
この波長の違いが、LEDの発光色の違いになります。

また、様々な材料を用いても、白色を発光できるものはありません。
そのため、LEDは、組み合わせによって白色を表現しています。

《青色LED+蛍光体》

青色LEDの光を黄色の蛍光体や赤・緑色蛍光体に通して白色を表現しています。
最も発光効率が高く値段も下がってきたので、主流になってきています。
 

《近紫外線LED+蛍光体》

近紫外線LEDの光を赤、緑、青の蛍光体に通して白色を表現しています。
まだ、強い発光を得られていないのが難点です。
 

《赤、緑、青のLED》

赤、緑、青の3個のLEDを発光させ合成して白色を作るものです。
値段は高くなりますが、強い白色光が得られます。
 

2.LEDの特徴

LEDの特徴としては、以下のようなものがあります。

  • 寿命が長い
  • 消費電力が少なく、白熱電球の10分の1程度
  • 電圧に対する応答性が速い
  • 衝撃に強く壊れにくい
  • 水銀、鉛といった有害物質を含まない
  • 構造が単純なので大量生産が可能

 

3.LEDの使い方

では、LEDの使い方について、見てみましょう。

LEDの使い方
【図2 LEDの順方向電流―順方向電圧特性】

図2は、LEDの順方向電流―順方向電圧特性を示したグラフです。

順方向電流」とは、LEDのアノード側に+、カソード側に-の電圧をかけたときにアノード側からカソード側へ流れる電流のことです。この時、LEDは発光します。

赤色の線が順方向電流と順方向電圧の関係を表します。
このグラフでは、順方向電圧を約2Vかけたときに順方向電流が急に上昇していることがわかります。
この電圧のことを順方向電圧Vfと呼んだりします。

LEDによって異なるので、使用するLEDのデータシートで確認することが重要です。
 

LEDの点灯回路

次に具体的な回路で見てみましょう。

図3は、LEDを点灯させるための回路です。

図2のグラフからLEDが点灯するためには、その両端に2Ⅴの電圧をかけ、電流は10mAであるとします。
また、電源電圧は5Vとします。

ここでは、LEDに電流が流れすぎないようにするため、抵抗(電流制限抵抗という)を電源とLEDの間に入れて、LEDにかかる電圧を 5V-2V=3V分だけ抵抗で消費するようにします。

この抵抗の抵抗値は、LEDを点灯させるのに必要な電流値を10mA(=0.01A)とすると、
オームの法則より、 R=Ⅴ/Iなので、 R=3/0.01=300
つまり抵抗値300Ωの抵抗が必要になります。

Simple circuit
【図3 LED点灯回路の例】

このように、簡単な回路でLEDを点灯させることはできますが、図2のグラフからも解るように順方向電圧が少し変化するだけなのに順方向電流は急激に変化し、LEDの輝度が変化してしまいます。

このため、LEDの輝度を一定に保ちたい場合には、抵抗の代わりに定電流電源(定電流回路)を用いて電流値を制御する場合が多いです。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)
 


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