3分でわかる 「レーザ」とは?なぜレーザ光を光ファイバ通信の光源に使うのか?

光通信では、伝送媒体として光ファイバを用い、光信号によって情報を伝送しています。その光信号を発生させる光源として、主にレーザが使われています。
本記事では、自然光との違いを確認しながら、レーザ光の特徴と、光ファイバ通信の光源にレーザが適している理由を解説します。
目次
1.そもそも「光」とは何か?(光の定義)
光は、波としての性質と粒子としての性質を併せ持っています。これを「波動と粒子の二重性」といいます。
光の波動性が現れる現象として、反射、屈折、干渉、回折などがあります。一方、粒子性を示す現象として、光電効果などが挙げられます。
まず光が波動性を持つことに着目します。
光は電磁波の一種です。電磁波は、電界と磁界の変化を伝える波です。
電磁波は波長により、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などに分類されます。
波長がおおむね380~780 nmの電磁波は「可視光線」と呼ばれ、人の目で見ることができます。
可視光線は、波長の違いによって、長波長側の赤から短波長側の紫まで、連続的に変化する色として認識されます。

なお、本記事では、可視光に加え、光ファイバ通信で用いられる近赤外光も含めて「光」と表記します。
2.自然光とレーザ光
太陽光は代表的な自然光であり、可視光だけでなく、赤外線や紫外線など、幅広い波長成分を含んでいます。また、それぞれの波の位相関係も一定ではなく、いわば多様な光が集まった状態です。
「位相」とは、周期的に変化する現象においてその位置を示す量のことです。
波の位相関係が一定でない場合、波の山と谷の位置関係が時間とともに不規則に変化します。そのため、安定した干渉縞を生じにくくなります。
光に含まれる波長成分の分布は、光源によって異なります。
例えば、白熱電球の光には赤外線成分が多く含まれ、蛍光灯やLEDの光も太陽光とは異なる分光特性を持っています。
物質の屈折率は光の波長によって異なるため、光をプリズムに通すと、波長ごとに異なる方向へ分かれます。これにより、光の分光スペクトルを得ることができます。
分光器を使うことで、特定の狭い波長範囲の光を取り出すことができます。このように、含まれる波長範囲が狭い光を「単色光」といいます。
分光器によって波長範囲を狭めた光であっても、レーザ光のように位相関係が長時間・広い範囲にわたってそろっているとは限りません。位相関係が保たれにくく、安定した干渉を起こしにくい光を「インコヒーレント光」といいます。(※位相の揃い具合を表す「コヒーレンス」という言葉については、後ほど説明します。)
一方、レーザ光は単色性が高く、光の位相関係がそろったコヒーレンスの高い光です。
3.レーザとは?
レーザ(LASER:Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)とは、誘導放出による光増幅を意味します。共振器を含むレーザ発振器そのものをレーザと呼ぶこともあります。
レーザは、単色性や指向性、コヒーレンスに優れた光を発生させることができます。
「レーザ光」とは、レーザ発振器から出力される光です。
レーザ光は、次に挙げる4つの特徴を有します。
- (1)単色性
- (2)指向性
- (3)コヒーレンス(可干渉性)
- (4)高いエネルギー密度を得やすい
(1)単色性
「単色性」とは、光に含まれる波長の範囲が狭い性質です。
レーザの発振波長は、使用する発光材料や共振器の構造、動作条件などによって決まります。
レーザ光は単色性に優れているため、スペクトル幅が非常に狭くなります。
(2)指向性
「指向性」とは、光源からの方向によって波の強さが異なる性質です。
レーザ光は、共振器によって特定の方向へ進む光が選択・増幅されるため、光源から離れても広がりの小さいビームになります。このため、「指向性が高い」といわれます。
一方、ランプなどの光源から出る光は、レーザ光よりも広い方向に広がります。
(3)コヒーレンス(可干渉性)
「干渉」とは、複数の波が重なり合って強め合ったり、弱め合ったりする現象です。
「コヒーレンス」とは、光の位相関係が時間的・空間的にどの程度保たれているかを示す性質です。コヒーレンスが高い光は、波同士の位相関係が安定しており、明瞭な干渉を起こしやすくなります。
レーザ光は、一般的な自然光と比べてコヒーレンスが高い光です。一方、自然光は位相関係が保たれにくいため、一般にインコヒーレント光として扱われます。
レーザでは、誘導放出によって生じた光が共振器内で選択・増幅されるため、位相関係のそろったコヒーレンスの高い光が得られます。
(4)高いエネルギー密度を得やすい
一般的な虫眼鏡を使って太陽光を集光すると紙を焦がすことはできますが、通常、金属を切断するほど高いパワー密度は得られません。
一方、レーザ光は指向性や集光性に優れているため、レンズを用いて小さな領域に集光できます。ただし、実際の集光径は、回折限界に加えて、レーザ光のビーム品質やレンズの収差などの影響を受けます。
ビーム品質の高いレーザ光では、適切な光学系を用いることで、回折限界に近い小さなスポットへ集光し、高いエネルギー密度を得ることができます。
十分な出力のレーザ光を小さな領域に集光すると、照射部分へ高密度のエネルギーを与えて高温にできます。この性質を利用して、金属の切断や溶接などが行われています。
[※関連記事:レーザー溶接の基礎知識・まとめ解説]
4.なぜ光ファイバ通信の光源にレーザが使われるのか?
長距離・大容量の光ファイバ通信では、光源として主に半導体レーザが使われています。
レーザ光は指向性が高く、光の広がりが小さいため、光ファイバの細いコアへ効率よく入射させることができます。
また、レーザ光はスペクトル幅が狭いため、異なる波長成分が異なる速度で伝わることによって生じる「波長分散」の影響を抑えやすいという特徴があります。これにより、伝送中の光パルスの広がりを抑え、高速・大容量の通信を行いやすくなります。
さらに、半導体レーザは高速変調に適しており、十分な光出力を得られることも、光通信の光源に適している理由です。
光ファイバ通信では、光ファイバの損失が小さい波長帯を選んで光を伝送します。ただし、レーザ光であっても伝送中には徐々に減衰するため、長距離通信では必要に応じて光増幅器などが用いられます。
なお、一部の短距離・低速の光通信では、LEDが光源として使用される場合もあります。
5.まとめ
レーザ光は、単色性や指向性、コヒーレンスに優れ、小さな領域へ効率よく集光できるという特徴を持っています。こうした性質により、光ファイバの細いコアへ光を入射しやすく、波長分散による信号波形の広がりも抑えやすいため、高速・大容量の光通信に適しています。
光ファイバ通信では、これらの特性に加えて、高速変調が可能で十分な光出力を得られる半導体レーザが、主な光源として使われています。
半導体レーザがどのような構造を持ち、どのような仕組みでレーザ光を発生させるのかについては、関連記事「3分でわかる 半導体レーザ(LD)の構造と発光原理」もご参照ください。
(日本アイアール株式会社 N・S)



](https://engineer-education.com/wp/wp-content/uploads/2021/10/Circuit-element0-150x150.png)



























