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インターロイキン-2(IL-2)は、インターロイキン-1と同様に免疫系などに重要な役割を担っています。
今回は、IL-2とIL-2に関連する医薬品を取り上げてみました。
目次
IL-2は、抗原刺激を受けたT細胞により産生され、T細胞の増殖・活性化、B細胞の増殖・抗体産生の促進、マクロファージの活性化、ナチュラルキラー細胞の増殖・活性化などの作用があるとされています。
IL-2およびその受容体は、抗原刺激によって新たに誘導されるもので、休止期のT細胞にはほとんど認められないとされています。
IL-2受容体は、p70(β鎖)とTac抗原(α鎖)の2種類のサブユニットからなるタンパクです。
ウィルスなどの抗原刺激を受けたT細胞によってIL-2が分泌され、IL-2受容体と結合するとT細胞の増殖・分化が開始・促進されます。
この際、可溶性IL-2受容体と呼ばれているα鎖の一部が乖離して末梢血中に放出されることにより、免疫防御機構の活性化に伴い血中濃度が上昇するのですが、病気によっては高い値を示すことから、病気の発見の指標になっています。
可溶性IL-2受容体の異常値を示す疾患としては、成人T細胞性白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病、膠原病、川崎病などがあるとされています。
臓器移植における拒絶反応の抑制、重症筋無力症、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎などに使用されます。
タクロリムスのインターロイキンに対する作用としては、T細胞におけるIL-2を抑制し、結果として免疫抑制作用を発現するとされています。
臓器移植における拒絶反応の抑制、ベーチェット病、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、再生不良性貧血などに使用されます。
作用機序としては、リンパ球に対し特異的かつ可逆的に作用し、強力な免疫抑制作用を示すとされており、T細胞においてシクロフィリンと複合体を形成し、カルシニューリンに結合し、カルシニューリンの活性化を阻害します。この結果、IL-2に代表されるサイトカインの産生が抑制されるとされています。
IL-2受容体モノクローナル抗体で、免疫抑制作用があるとされています。
ダクリズマブは、CD25(IL-2受容体のαサブユニット)に結合して、IL-2シグナル伝達を調整します。
IL-2シグナル伝達の異常は、多発性硬化症やその他の自己免疫疾患の原因との関連が示唆されています。
なお、ダクリズマブは、2016年に欧米で承認されていましたが、脳の炎症などの副作用がヨーロッパで報告されたことから、2018年に販売が中止されています。
ヒト脾臓由来のリンパ球から得られたIL-2 mRNAを原料として、大腸菌内で産生されたアミノ酸134個からなるペプチドです。
血管肉腫、腎がんを効能とする、主に点滴静注で投与される薬です。
作用機序としては、抗原特異的キラーT細胞、ナチュラルキラー細胞などの活性化や増殖増進によって抗腫瘍細胞を示すと考えられています。
がんの転移に対して抑制効果を示すとされています。テセロイキンは、慢性GVHD(移植片対宿主病)に対しての検討がされているようです。
ステロイド系抗炎症薬は、COX-2や多くのサイトカイン(IL-1、IL-2、IL-5、IL-6など)、ケモカインなどの産生を抑制し、抗炎症作用を発現するとされています。
ということで今回のコラムでは、「インターロイキン-2」と関連する医薬品について簡単にご紹介しました。
次回は「インターロイキン-4」(IL-4)をとり上げます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)