【機械製図道場・初級編】寸法補助記号① 絶対に知っておくべき代表的な記号・7選
前回の連載まで2回にわたって、寸法数字の表示方法に関する解説と例題演習を行いました。
この2回の学習を通じて、長さ、幅、高さ、など直線で表される形状の寸法数字の表示方法については、要領をつかむことができたと思います。
実際の機械部品には、丸みを持った箇所、角の面を取った箇所、など様々な形状があります。
図面は、寸法数字だけではなく、形状に関する情報も正しく作り手に伝わるように描く必要があります。
寸法数字の前につけることで、その寸法数字で作る部位がどのような形状であるのか示す記号を「寸法補助記号」といいます。
目次
必ず押さえておきたい寸法補助記号(7選)
では、代表的な寸法補助記号について見ていきましょう。
(1) 直径 φ(まる、または、ふぁい)
丸棒や、円筒など、円形状部の直径であることを示します。
明らかに円であることがわかる投影図に記入する場合にはφをつける必要はありません。
投影図からは形状が円形であるか不明な場合にφをつけます。
(2) 半径 R(あーる)
円弧の半径を示します。溝底の角部などに丸みをつける場合、丸みの半径を示す数字の前につけます。
記号Rと片矢印寸法線を使って表示します。
(3) 正方形の辺 □(かく)
正方形の辺を持つ部位の寸法数字にこの記号をつけることで、当該部が正方形の辺を持つことを示すので、タテヨコ2方向寸法数字を記入する必要がありません。
面が平面であることを示すために、細線を使って対角線を引きます。
(4) 球の直径 Sφ(えすまる、または、えすふぁい)
球形状の直径であることを表示します。
(5) 球の半径 SR (えすあーる)
球面形状の半径であることを表示します。
(6) 角の45度面取り C(しー)
機械部品の角が尖った状態では取り扱い上危険なので、斜め45度に切り落とす加工を行います。
これを「面取り加工」とよびます。
他にも、R加工した相方の部品との組立を考慮して面取りする場合があります。
角度45°の面取り加工は、記号Cと片矢印寸法線を使って表示します。
(※面取り加工については、別コラム機械設計マスターへの道:組み立てやすさを考えるもご参照下さい。)
(7) 板厚 t(てぃー)
薄板などは、記号tをつけて板厚を示すことで、他の投影図を省略できます。
では、寸法補助記号を用いた形状寸法表示について演習しましょう。
【例題】代表的な寸法補助記号を使って製図する
《 問題 》
下図形状の物体を、寸法補助記号を用いて、最小の投影図数で製図してください。
ただし、長手方向の寸法は記入不要とします。
《 解答 》
《 例題の解説 》
【関連知識】面取り記号のCについて
面取り記号のCは、Chamferの頭文字です。
Cの後に表示する数値で、角度45度で2辺均等に角を落とす場合に適用します。
45度以外の角度で、面を落とす場合は、下図の例のように、1辺の長さと角度を表示し、記号Cは用いません。
次回は、円弧の半径寸法表示について解説します。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)