- 《大好評》LTspice設計実務シリーズ
LTspiceを活用した熱設計・熱回路網の基礎と回路設計への応用(セミナー)
2024/12/26(木)10:00~17:00
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連載コラム「早わかりEMC」の最終回は、EMC試験の基礎知識を解説します。
EMC試験の測定方法、試験結果の合否判定基準等は、EMC規格に記載されており、それに基づいて試験が行われますが、国や地域によってEMC規格は若干異なっています。
海外で製品を販売する際には、当該国の規格に合格する必要があります。
また、EMC試験の項目や試験方法、合格基準は、対象機器によっても異なります。
そのためEMC試験を実行するためには相当な専門知識が必要となりますので、ここではごく基本的な内容の紹介にとどめます。
EMC試験は、外部からの電波の浸入がなく、試験で放出した電波が反射しないような環境で行う必要があるため、電波暗室かオープンサイト(OATS: Open Air Test Site)のいずれかで行われます。
【図1 電波暗室内部の例】
ここまで当連載で説明してきたように、EMCとは他の電子機器等に電磁的な妨害(EMI:エミッション)を与えず、他の物から電磁的な妨害を受けない(EMS:イミュニティ)ことで、妨害の経路は、空間(放射)と導体(伝導)の二つですから、図2に示す代表的なEMC試験の項目もこれに対応しています。
【図2 代表的なEMC試験項目】
これだけの試験を試験場で行うと、百万円単位の費用がかかります。
不合格になって試験を繰り返さないよう、事前にセルフチェックを行うなど、十分に対策しておくことが必要です。
[※関連記事:EMC試験・電気的試験の種類と概要 はこちら]
EMCは基本的には製品設計、製造段階で対応すべきものです。
しかし、あなたが設計エンジニアでなかったとしても、EMCと無縁とは限りません。
電子機器を使用する立場の方も、何の気なしに行った修理や、不適切な使用方法によって、他の機器にEMIを与えているかもしれませんし、自分の機器のEMSを悪くしているかもしれません。
ですから、電子機器に関わる仕事をされている方には、EMCについての基本的な知識は身に付けていただきたいと思います。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)