ワークショップとファシリテータ
“workshop“には作業場という意味もありますが、ここでは(ビジネス)ワークショップと呼ばれる討議方式について説明します。
ワークショップにおいては、「ファシリテーション」(facilitation)という機能があり、これを行う人を「ファシリテータ」(facilitator、討議促進者)と呼びます。通常の結論を出すための会議と自由議論をメインにしたブレインストーミング(brainstorming)との中間的な会議形式です。
以下にワークショップの考え方、進め方の事例について説明します。
ワークショップの特徴と狙い
ある課題について、参加者全員が、対等の立場でオープンな議論を行います。
全員が、思うことを語るということが重要です。
もちろん具体的な対応策まで決定できればベストですが、考え方の違いを認識したり、今後の方向性を議論することに重点が置かれます。
ファシリテータの役目
ワークショップの典型的な例では、グループ分けをして、グループ討議、討議結果発表、質疑応答&全体討議というサイクルを何サイクルか繰り返します。ワークショップでは、全体のリーダーや権限のある議長はおきません。
一方、進行を案内したり、議論を活性化する役目をおき、これを行う人を「ファシリテータ」と呼びます。
ファシリテータは、参加者のグループ外で、できればファシリテーションの知識・経験を有する人が担うことが望ましいです。少なくても、決められている手順と時間割の進行・促進を第三者的にできることが求められます。
ファシリテータは、グループ討議には参加しませんが、事前にワークショップの企画者と話をし、ワークショップの課題に対する背景や狙いを理解し、手順の計画と当日の進行に生かさなければなりません。
ワークショップの基本ルールの例
ワークショップの趣旨に基づき、以下のようなルールが設定されます。
- 他人の発言を傾聴する
- 相手の発言に対して、批判的な発言をしない
- 演説的な長い発言をしない
- 遠慮なくオープンな議論を行う
ワークショップの手順(進め方)の例
- 討議テーマ、手順&時間割、基本ルールの確認
- テーマ関連項目①に対してグループ討議、結果発表&質疑応答
-各自自己紹介、ワークショップへの期待
-項目①に対する各自の考えを、カードに書く
(カードに書くことにより、似たような考えに思われることに差が有るのが分かります)
-カードの内容を紹介、説明し、他者のカードの不明点は質問、理解する
-グループ全体の議論を整理(分類)、討議を行う
-他グループに対して討議内容の発表&質疑応答 - テーマ関連項目②に対してグループ討議、結果発表&質疑応答
- 同様に、テーマ関連項目③、④、・・・に対してグループ討議、結果発表&質疑応答
- ワークショップで出た提案などに対して、今後のフォローアップ項目、担当者、日程などを討議、決定する
- 参加者の感想
その他、適時の休憩や「アイスブレーク」と呼ばれるミニゲームを差しはさんだり、お茶菓子&飲み物を置いたりなどして、普段の会議よりリラックスしてコミュニケーションができるような雰囲気作りを行います。
(アイアール技術者教育研究所 H・N)