3分でわかる技術の超キホン 切削加工とは?
切削加工とは?
「切削加工」(せっさくかこう)とは、切削工具を使って、対象物を「切り削る」加工技術です。
金属加工を中心に、それ以外にも、木材の加工や、プラスチックの加工など、いろいろな用途に用いられる技術です。基本的には、工作機械と工具によって行われています。
切削加工の原理
切削加工の原理をみていきましょう。
切削加工の原理の模式図(出典:Wikipedia)
工具の先端は鋭利な刃になっています。
刃先が加工される材料に食い込み、押し込みながら削り取っていきます。
工具の刃先には、2つの面があります。
一つは、「すくい面」といって、削り取った材料をもち上げていく働きをします。
もう一つは「逃げ面」といって、削り取られて新しく生まれた母材の表面と接触することなく、その目の前を通り過ぎていきます。
それぞれの面の角度を、「すくい角」、「逃げ角」、と言います。
工具の面と角度以外に、切削加工の要素としては、工具の材質や表面状態、切込み量(元の母材表面から削り取った材料の厚み)、切削速度(葉が進む速度)、切削油の種類、加工中の温度、冷却機構などがあります。
これらと、母材の特徴との関係によって、さまざまな加工仕上がりとなります。
切りくず
工具が進むことによって一度に削り取られる材料は、すくい面によって、変形しながら母材表面から離れていきます。それを切りくずといいます。
切りくずはさまざまな形状となります。その形状と、切削加工後の仕上がりに、深い関係があります。そのため、切りくずをうまくコントロールすることが、よい切削加工であることを示すバロメータになります。
切りくずが、スムーズに連続して生じる「流れ型」が、もっとも加工面がきれいに仕上がるといわれています。「せん断型」という、切りくずがぶつぶつと細かく切れるような形であったり、「むしれ型」という、刃先の当たり方とは違った形で切りくずがむしり取られたようになる場合や、「亀裂型」という、加工面や切りくずの表面にひびが入るような形になると、加工がうまくいっていないということになります。
切削加工の技能と機械化
切削加工の原典は、大工や彫り師などが扱う「かんな」や「のみ」といえるでしょう。
腕のいい大工のかんなは、薄く長くきれいに伸びた切りくず(かんなくず)で、人々を驚かせます。精密な工具の調整と正確な加工の調整を、達人の技能によって実現しているということになります。
現代の機械加工で行われる切削加工でも、求められるポイントは同じといえるでしょう。技能そのもので加工するのではなく、機械調整や工具設計などの、技術の世界になります。
機械は、高力化、高速化、高精度化、自動化が進み、人間にはできない加工も実現しています。
それでも、切削工程を扱う人は、加工条件の最適化や、工具の選定、母材や工具のセッティングなどに、高度な技能が求められます。完全に自動化した加工機でも、そのメンテナンスや調整には、深い知識と経験が必要となります。
現代の切削加工の技術は、技能と技術が融合した、ものづくりの歴史の到達点といえるでしょう。
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