【センサのお話】タッチセンサ/人感センサの方式と原理・初心者向けミニマム解説
センサというと力(振動や加速度など)を検出するものや、温度/湿度のセンサ、光や煙のセンサ、電界/磁界のセンサなどいろいろなものを検出するものが存在します。
今回は、日頃から身近に使用されている「タッチセンサ」と「人感センサ」にスポットをあてて、それぞれの主な実現方式について整理します。
目次
1.タッチセンサの主な方式と原理
タッチセンサを具備したパネルを「タッチパネル」と言います。
(「タッチスクリーン」などとも呼ばれます。)
タッチパネルは、スマートフォン、タブレットPC、ゲーム機など主に家庭内で使用され、街中では銀行ATM端末、コンビニ端末などでも見かけられます。
タッチパネルの原理については、50年以上前に考案されていますが、特に普及・発展してきたのは2000年以降になってからです。
これらのタッチパネルに利用されるタッチセンサの原理として、主に以下の方式が用いられます。
① 抵抗膜方式
対抗する2枚の透明な電極シートを設けており、片方の電極に電圧をかけて指やペンなどで押下することで対抗のシートが接触して電気が流れ、電圧の変化を検出してその位置を検知します。
② 投影型静電容量方式
規則的に並べられた透明電極のシートを設けており、表面には保護カバーとしてガラスなどを配置した構造で、指の押下でいくつかの電極間での静電容量の変化を検出し、この電流量の比率を測定して位置の検知を行います。
③ 表面型静電容量方式
ガラス基板上に透明電極膜を配置してその上に保護カバーで覆った構造で、ガラス基板上の4隅より透明電極膜に電圧をかけています。
指の押下による静電容量の変化を4隅で検知して位置を検出します。
④ 赤外線光学方式
パネルの周囲に光源である赤外線LEDと、受光素子であるフォトトランジスタを対で配置して、指やペンの押下時に光の遮断によって位置検出を行います。
⑤ 超音波表面弾性波方式
パネルの隅に配置した複数の圧電素子よりパネル表面に超音波弾性波を発して、指などにぶつかり吸収され減衰するこの状態を受信側で検知して位置を検出します。
タッチセンサの方式のまとめ表
上記タッチセンサの各方式の特徴と用途を整理すると、以下のようになります。
【タッチセンサ 方式別の特徴・用途の整理】
2.人感センサの主な方式と原理
次に人や動物などを検知する「人感センサ」について説明したいと思います。
人感センサで身近に見当たるものとして、例えば、オフィスにおいて複合機などに近づくと低電力モードやスリープ状態から自動的に復帰する、といったようなものがあります。
また家庭では、玄関に立つとチャイムが自動で鳴ったり、玄関付近を照明したりするものがあります。
また入室時に部屋の照明が点灯、その他として自動開栓やトイレ蓋の自動開閉などでもよく知られています。
屋外では店頭などの自動ドアなどが最もよく見られる光景かと思います。
このように今では普段の生活に人感センサの利用が溢れています。
人感センサの仕組みとして主なものとして以下の3種類があります。
① 赤外線方式
最初に、赤外線を感知する方式です。
人体からは熱の放射が発生します。動物なども同様ですが、赤外線方式はこの熱の放射を感知することで人などの物体の検出を行います。
また二つの赤外線センサを用いることで動きの方向を伴う検知も可能となります。
② 超音波方式
次に超音波トランスデューサーを用いて検出を行う方法です。
超音波は30KHz~10MHzの帯域を利用して送信側と受信側がセットとなり、音声パルスが通常の障害物がない状態から、人が遮ることによる跳ね返りの変化を検出することで人の検出を行います。
③ 静電方式
これは、センサと人体との距離で変化する静電容量を検知する方法です。
先ほどの2項タッチセンサでも取り上げましたが、静電容量の変化を検出して人の検出を行います。
静電容量の値により近距離での人の手の近づきや遠ざかりを検出します。
人感センサの方式のまとめ表
人感センサの各方式の特徴と用途について以下にまとめました。
【人感センサ 方式別の特徴・用途の整理】
3.タッチセンサと人感センサの今後は?
ということで、タッチセンサや人感センサの主な方式について説明を行ってきました。
これらは両者とも人が扱う、人を検出するという観点から、人体に影響を与えない安全性の高い手法が採用されています。
タッチセンサは、スマートフォンをはじめモバイル端末・ATM端末・コンビニ端末の近年の目覚ましい普及拡大により利用される市場を広げています。
これに伴い低価格化の要求は強く、また使用性能や検出精度の向上もさらに進んでいます。
人感センサについては、今回主な3種類の方式を記載しましたが、その他として音感センサ、感圧センサなどの方式もあります。
人感センサの利用では、機器の節電効果の高さという観点も重要です。
また、今後求められていることの一つに、防犯上での利用では死角のない検出、監視が望まれます。
その他の利用時では、ターゲットに対して人が向かってきているのか、単にその近くを通り過ぎて行くだけなのかの判断なども重要な要素となります。
このための対策として、センサのハイブリッドでの使用及びソフトウェア処理との分業による解決策など今後急速に開発が進むと思われます。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 T・T)
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