ポリ乳酸の自己組織化が切り拓くバイオプラスチックの未来【提携セミナー】

ポリ乳酸の自己組織化が切り拓くバイオプラスチックの未来【提携セミナー】

開催日時 未定
担当講師

望月 政嗣 氏

開催場所 未定
定員 -
受講費 未定

ポリ乳酸の自己組織化が切り拓く

バイオプラスチックの未来

 

《生分解性からスマートプラスチックへ》

 

【提携セミナー】

主催:サイエンス&テクノロジー株式会社

 


 

石油系汎用プラに負けず劣らずの基本性能に加え、生分解性と耐久性の両立、生分解性と抗菌・防カビ性の両立、耐熱性と耐衝撃性の両立が可能な「スマート」な次世代のプラスチックポリ乳酸。これらのスマートさは、ポリ乳酸の単純な一次構造が「自己組織化」して高分子構造が形成される過程での賜物で、まさに奇跡的! 本セミナーでは、そんなポリ乳酸の奇跡に迫り、その特異的な生分解性機構や、機能性の制御・向上にういて専門的かつ科学的に詳細に解説します。

 

セミナー趣旨

科学・技術の世界における自己組織化とは、ランダムから秩序へ、ミクロからマクロへと自分自身で組み上がり形や構造を形成する過程で、そこに特定の有為な性能・機能を閉じ込めることを指す。近年、次世代バイオプラスチックとして注目されているポリ乳酸は何の変哲もない極めて単純な化学構造をしているが、人為的な操作なく自己組織化し高分子構造が形成される過程で、単なる生分解性バイオマスプラではなく、既に石油系汎用プラと同等以上の性能を有しながら、通常の生分解性プラにおいてはトレードオフの関係にある生分解性と耐久性の両立、生分解性と抗菌・防カビ性の両立、耐熱性と耐衝撃性の両立を可能にしている、正しく次世代スマートプラスチックとしての素養を内包している。

 

本講では、これらポリ乳酸に秘められた奇跡のパラドックス構造を解明するために、ポリ乳酸固有の特異的な生分解機構と分解(開始・速度)/耐久性制御機構、抗菌・防カビ性の発現機序、耐熱性と耐衝撃性の両立機構や最新技術・市場開発動向について詳述する。

 

得られる知識

  • 地球環境保全と源循環型社会に向けて、SDGsとしてのポリ乳酸
  • ポリ乳酸の生分解機構と分解制御技術、抗菌・防カビ性、高性能化材料設計技術
  • ポリ乳酸の成形加工と最新用途・製品・市場開発動向

 

担当講師

望月 政嗣 氏 (元京都工芸繊維大学特任教授、工学博士、高分子学会フェロー)

 

【専門】高分子材料科学、特にバイオプラスチックや生分解性高分子、
高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性
[紹介]
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。繊維学会功績賞、日経BP技術賞、その他を受賞。
[著書]
「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」(CMCリサーチ)「生分解性プラスチックの素材・技術開発―海洋プラスチック汚染問題を見据えて―」(NTS)、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」(シーエムシー出版)、「生分解性ポリマーのはなし」(日刊工業新聞社)、その他多数。

 

セミナープログラム(予定)

1.21世紀の持続可能な開発目標(SDGs)としてのスマートプラスチック
1.1 石油系合成高分子に係る地球環境・資源・廃棄物問題とその抜本的解決策
1) 原料の化石資源枯渇問題→バイオマスなどの再生可能資源への転換
2) 焼却による地球温暖化ガスの増大→カーボンニュートラルな再生可能資源への転換
3) 海洋プラスチック汚染などの廃棄物問題→生分解性プラスチックへの転換
1.2 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環(炭素循環)にリンク
→生分解性バイオマスプラ(植物由来生分解性プラスチック)への転換
1.3 スマートプラスチック
1) スマート(smart)とは、
「頭のいい」「利口な」「気のきいた」「無駄のない」「抜け目のない」「鋭い」という意味
2) 学術・技術の進歩の方向は、複雑化ではなく単純化の方向
3) 一見したところ、極めて単純な構造、枠組み、システム、原理の中に、
極めて高度な価値ある学術・技術体系が組み込まれている素材・技術を指す

 

2.ポリ乳酸の自己組織化とスマートプラスチックとしての潜在的可能性
2.1 生分解性バイオマスプラ…自然界の物質循環(炭素循環)にリンク
1) 生分解性 ①自然環境(土中、海水・淡水中)下での完全生分解性
②堆肥化(好気性下)又はバイオガス化(嫌気性下)可能
2) バイオマス原料…ライフサイクルアセスメントによる環境負荷低減
2.2生分解機構…非酵素分解(加水分解)型
1) 2段階2様式の特異的な生分解機構…生分解性と耐久性の両立/制御可能
2) ガラス転移温度Tg=58℃…分解開始トリガー(自動スイッチオン機構)内臓
3) 加水分解速度/製品寿命の制御…短期使用から長期耐久性構造材料まで
2.3 使用後の再資源化(リサイクル)
1) バイオリサイクル…堆肥化(好気性下)又は生ごみ発電(嫌気性下乾式メタン発酵)
2) ケミカルリサイクル…選択的解重合(熱分解)による原料ラクチドへの還元
3) マテリアルリサイクル…長期使用耐久性タイプは何回も可能
2.4 モノマーとしての乳酸/乳酸菌の基本特性
1) 安全性…天然有機酸である乳酸の安全衛生性、食品衛生性
2) 抗菌・防カビ性…天然有機酸である乳酸の抗微生物作用
2.5 ポリマーとしての物性(熱的・機械的特性)→既存石油系汎用プラと同等以上

 

3.ポリ乳酸の生分解性/耐久性の制御機構
3.1 ポリ乳酸の分解開始の支配的因子と制御機構
1) 2段階2様式の特異的な生分解機構…生分解性と耐久性の両立
・第一ステップ…化学的加水分解(分子量、強度低下による形状崩壊)
・第二ステップ…加水分解産物を微生物が資化・代謝(生分解)
2) Tg:58℃≒堆肥化温度…分解開始トリガー/自動スイッチオン機構
3.2 ポリ乳酸の分解速度の制御…残留ラクチド、COOH末端基濃度と製品寿命
1) タイプS(残留ラクチド多)…分解速度速い/製品寿命短い
2) タイプM(残留ラクチド少)…中程度
3) タイプL(残留ラクチド少、COOH末端基封鎖)…分解速度遅い/製品寿命長い

 

4.ポリ乳酸の生分解性/抗菌・防カビ性の発現機構
4.1 ポリ乳酸の耐食害性と抗菌・防カビ性試験
1) ネズミ食害試験
2) プラスチックのカビ抵抗性試験…JIS Z-2911
3) 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
4) 繊維の抗菌・防カビ性試験…繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工基準
5) 消費者から届けられた声
・ボディタオル…長期間使用しても嫌な臭いや着色がなく清潔で気持ち良い
・生ごみ水切りネット…長期間使用してもヌメリ(バイオフィルム)形成による目詰まりなし
4.2 ポリ乳酸の生分解性/抗菌・防カビ性の両立・発現機構

 

5.ポリ乳酸の高性能化材料設計技術・・・既存石油系汎用プラと同等以上
5.1 耐熱性…荷重たわみ温度(DTUL)、熱変形温度(HDT)又は熱収縮率
1) 結晶性高分子の耐熱性支配因子…結晶化速度
・主剤…高L組成ポリ乳酸(High %L PLA)
・添加剤…造核剤(分散型、溶解型)、結晶化促進剤、マルチ機能改質剤
2) 結晶化促進剤の成形加工分野別選択指針…溶融張力との関係
3) 耐熱性、透明耐熱性の現状到達レベル
・電気・電子機器筐体、部品…150 ℃/低荷重下(0.45MPa)
・食品容器…120~130℃ x 5分/電子レンジ加熱
・ティバッグ、飲用カップ…95~100℃/熱湯注入
・透明耐熱性(ヘイズ<5%)…130℃
5.2 耐衝撃性
1) 添加剤の選択・配合設計と作用機序

タイプ 具体例 相溶性 Tg, Tmへの影響
A 可塑剤 低下
B ブロック共重合体、高分子界面活性剤 なし

2) 耐衝撃性の現状到達レベル
・電気・電子機器筐体、部品…9.6 kJ/cm2(シャルピー衝撃強度)
・シート成形品…落球法(100gの重りを50㎝の高さから)
5.3 耐熱性と耐衝撃性の同時付与…マルチ機能改質剤とその発現機構

 

6.ポリ乳酸の成形加工と製品・市場開発動向
6.1 成形加工…繊維・不織布・モノフィラメント、フィルム・シート、真空成形、射出成形、発泡成形、ブロー成形
6.2 用途・製品・市場開発動向<多数の製品写真で説明>
1) 自然環境下で使用…農林・園芸・土木・水産資材
2) 短期間(~1年)使用…使い捨て食品容器・包装材、食器具、生活・衛生資材
3) 中期間(3~5年)使用…衣料、生活雑貨、産業資材
4) 長期間(5~10年以上)使用…電気・電子機器筐体・部品、リターナブル食器、自動車内装部品、産業資材

 

□質疑応答□

 

公開セミナーの次回開催予定

開催日

未定

 

開催場所

未定

 

受講料

未定

 

配布資料

製本テキスト(開催日の4、5日前に発送予定)
※開催まで4営業日~前日にお申込みの場合、セミナー資料の到着が、
開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
Zoom上ではスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。

 

オンライン配信のご案内

※【Live配信(zoom使用)対応セミナー】についてはこちらをご参照ください

※【WEBセミナー:アーカイブ受講対応セミナー】についてはこちらをご参照ください

 

備考

※講義中の録音・撮影はご遠慮ください。
※開催日の概ね1週間前を目安に、最少催行人数に達していない場合、セミナーを中止することがございます。

 

お申し込み方法

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