「成熟・衰退期」の研究開発体制と現場《変われない会社は滅亡へ?》

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成熟期・衰退期の研究開発

「成熟・衰退期」における研究開発体制

日本の製造業が手掛けてきた多くの事業は衰退期にあります。
それは「筋のいいコンセプト」を生み出すことが出来なかったからです。
いま進行中の研究開発のテーマも、筋の悪いものばかりになっている可能性が高いです。

筋の良いコンセプトを創り出すには、それだけの時間も努力も必要です。
何も投資をせず、筋の良い研究テーマが生まれるなどという、そんなうまい話はありません!
アイディア/コンセプトは情報分析から
困るのは多くの人が、アイディアやコンセプトは、準備や努力もなく生み出されるものと誤解していることです。

先ずは、グループが担当しているテーマを十分に吟味し、筋の悪いテーマを継続するのにどれだけの無駄な投資をしているか検証する必要があります。そのテーマが筋の良いものであれば幸運です。これまでの投資は無駄にならずに利益を生み、しかも投資はずっと少なくて済むのです。

それが筋の悪いテーマであれば、打ち切る勇気が必要です。
いまこそ、筋の良いコンセプトを生み出す「知的基盤」の構築へ投資をすべきです!
 

会社が危険な同質化集団になっている?

会社は目指す目的が統一されて、はじめて成り立ちます。
それは基本的に価値観を同じにする者の集団、即ち「同質化された者の集団」です。

同質化された集団では、異質の問題を嫌う傾向があります。
「そんなことはできるはずがない」といった結論になるのです。
しかし、実際は同質化されたテーマよりも異質なテーマに価値があることが多いのです。

一方では、同質の問題を「そんなのは当たり前」という傾向もあります。
当たり前と思っていたことに、意外と良いテーマが潜んでいるということも多いです。
 

「成熟・衰退期」の研究開発現場

ドングリの背比べの、筋の悪いテーマをたくさん抱える「成熟・衰退期」には、今あるテーマにどう優先順位をつけるかなどを論じても「ムダ」でしかありません。
差がないものに優先順位はつけられません。いま必要なのは、筋の良いテーマを作り出すことなのです。

当初、筋がよいと判断したテーマでも、実行に移してみると、実は筋が悪いものであるケースは少なくありません。グループリーダーは、テーマの筋が悪いと判断したら、その時点で中止あるいは中断する責任と権限を持つ必要があります。
それは、新しく別の「筋の良いコンセプト」を生み出す責任を持つということを意味します。中断するためには、会社の支持が得られる代わりのテーマが必要だからです。そうしなければ、そのグループのメンバーは、仕事を失うことになってしまいます。

新しい筋の良いコンセプトを生み出す責任は、グループリーダーがそれを生み出すことによっても果たすことができるし、メンバーたちがそれを生み出すことによっても果たすことができるのです。
 

技術部門のグループリーダーはつらいよ?

技術リーダーの悩み筋の悪いテーマを誰が見つけて誰に与えたのか?
もしそのテーマを与えたのがグループリーダーなら、グループリーダーにもメンバーにも、筋の良いコンセプトを生み出す力がなかったということになります。
グループリーダーが与えたものでないならば、筋の良いコンセプトを生み出して、それを与える努力を率先してしなかったグループリーダーの怠慢でもあります。
つまり、グループリーダーは、自身とメンバーが新しいテーマを生み出すことができるためのチャンスと環境を作り出す責任と、現在のテーマを成功させる責任を同時に負うことになるのです。
チャンスと環境を作り出す責任とは、そのために必要な情報をグループメンバーと一緒になって収集し、それを常に構造化して、自身がそれを活用すると同時に、グループメンバーがそれを活用できる状態に保ち、グループの創造力を最大限に引き出して活かすことです。
研究開発者としては、自分が生み出したテーマで研究開発を行い、そして成功を収めることほど幸せなことはありません。

しかし、「本邦初製品」で成長してきた企業の中で、そのような立場におかれた場合は、かえって不幸になることさえあります。なぜ不幸かというと、プロジェクトが成功した時に予想される売上・利益が大きくないと、プロジェクトとして許されることがないからです。

グループリーダー達は「どうしたら筋の良い研究テーマを生み出すことができるか?」といった難問な課題を抱えています。良き時代を生き抜いた彼等の先輩たちと違って、いまのグループリーダー達は大変な苦労を強いられています。そのような状況の中、メンバーのアイディア、提案等に対して頭から否定することもできません。

だからこそ、メンバー(新入社員も含め)が、自分の考えやアイディアを積極的に発信しながら「面白いネタ探し」をすべきです。そのような柔軟な組織(社内文化)が作れないなら、会社の将来は暗くなる一方です。

根性論と優先順位

 

変われない会社は、倒産を待つしかない!

繰り返しになりますが、「成熟・衰退期」では、「美味しいネタ」はころがっていません、
それを自分たちで生み出さなければならない時代なのです。
それができなければ、人減らしというリストラをやらざるを得なくなってしまいます。
事業の「再編・統合」は進み、それさえ叶わぬ企業は倒産するのを待つしかありません。

変化に対応できない会社は倒産する

 

お互いが責任を擦りあっても、会社の業績は上がらない

経営陣は、研究開発技術者がサラリーマン化していることを指摘し、技術者たちは、経営陣の技術戦略・ビジョンがないことを指摘します。
たとえ研究成果が良くても、事業化に結び付けられる人材が不足しているのも問題です。
技術者は専門性が高く、特定技術分野の知識は豊富ですが、「タコ壺」に嵌まる危険性があります。

タコつぼにはまった技術者・経営者

新しい技術を生み出すだけが技術者たちの役目ではありません。市場の探索力も必要です。
つまり技術者でありながら、ビジネスとの関わりを持ち続けておくことが求められます。
どんな画期的な技術を使った商品でも、市場や消費者が喜ばなければ「ダメ」なのです。

「成熟・衰退期」は、「じっと」していたのではニーズは飛び込んできません。
こんな状態で新しい商品開発をするには、情報を戦略的に活用することが絶対に不可欠です。

発想を変え、いろんな視点から見ることで、新しい発見に出会う努力をするしかないのです。

 
(日本アイアール 知的財産活用研究所 N・Y)

 

 

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