3分でわかる技術の超キホン ピレスロイドとは

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ピレスロイドの用途(蚊取り線香)
 
ピレスロイド、なじみがない方もおられるでしょうが、もともとは蚊取り線香の原料である除虫菊の殺虫成分から始まりました。
ピレスロイド殺虫剤は、一般に多くの種類の害虫に効果的で、低薬量で効果があります。
化学構造がわかってから、類似物質が次々に作られて、家庭用殺虫剤から農薬にまで使われるようになり、より殺虫力が高く、化学的に安定で、安価なものが開発されてきました。
多くの類縁体があり、それらを総称して「ピレスロイド」と呼んでいます。

 

ピレスロイドとは?

由来

除虫菊有効成分の化学的研究は、1910年頃から始められ、その中に含まれる殺虫成分の6種類の化学構造が1958年に明らかにされました。その後合成ピレスロイドの開発の基礎となりました。

 

ピレスロイドの化学構造

ピレスロイドは,シクロプロパン骨格を有する酸成分(菊酸)とアルコール成分から成るエステル系化合物であり、多くのピレスロイドは部分的に共通の化学構造をもち、殺虫活性に関与していると考えられています。しかし中には、シクロプロパンを有さないもの(フェンバレレート)やエステルでないもの(エトフェンプロックス)も開発されています。

シクロプロパン骨格を有する酸成分 菊酸

 

ピレスロイドの特長は?

ピレスロイドは、昆虫に対して、即効性、忌避効果がある一方で、人には低毒性である、また、自然界で分解されやすく、環境に優しいなどの特長があげられます。
ピレスロイドの作用機作は、昆虫の神経系に作用する薬です。神経細胞に作用して、常に興奮状態が続くようにしてしまい、ついには死に至らしめます(神経膜(ナトリウムチャンネル)阻害)。しかし、哺乳類では、エステルの分解と酸化が速やかに行われるので低毒性となります。

 

ピレスロイドの種類

天然ピレスロイド

除虫菊に含まれるピレスロイドとしては、ピレトリン I、II、シネリン I、II、ジャスモリン I、II、の6種類です。
天然ピレスロイドのピレトリンは、光・酸素・アルカリに不安定で、環境中に揮発した後は速やかに分解・失活する短時間作用型の防虫剤です。

ピレトリン I

 

合成ピレスロイド

天然ピレスロイドの欠点を補うようなピレスロイドが次々と開発され、今では合成ピレスロイドが主流となっています。また、生理活性が天然物の数百倍から数千倍に達するピレスロイドが合成されたり、それぞれのピレスロイドの特長を生かした製剤が様々な形で開発されています。

例えば、フタルスリンはピレトリンよりも優れた速効性を持つ特徴があり、レスメトリンは卓越した致死効果を示します。この2剤は両社の特性を生かして油剤やエアゾール剤に混用されることが多いです。
また、低温で揮散するフラメトリン、プラレトリンは電気蚊取(マットや液剤)に用いられ、トランスフルトリンやメトフルトリンは、熱を加えず風だけで揮散するファン式蚊取に使用されています。

フタルスリン

 

ピレスロイドの用途

蚊取り線香

明治中頃に除虫菊の国内栽培が始まり、蚊取り線香が作られるようになりました。
しかし、昭和30年頃から、国産の除虫菊では採算が取れなくなり、合成ピレスロイド(アレスリン)を用いた蚊取り線香の実用化が始まりました。
このアレスリンはピレトリンに比べて熱に対する安定性が高いため蚊取線香に適しているといえます。

アレスリン

 

家庭用殺虫剤

ハエ、蚊、ゴキブリやダニの駆除に用いられる家庭用殺虫剤の有効成分として用いられる主なピレスロイドは、フタルスリン、アレスリン、d-T80-レスメトリン等であります。
上記のような種々の製剤品(エアゾール、電気蚊取、燻蒸剤など)として、開発商品化されています。
家庭用殺虫剤の分野では,衛生害虫対象にはピレスロイド剤が90%以上を占めているといわれています。
ちなみに、平成16年度の家庭用殺虫剤の日本における市場は約900億(小売価格)でしたので、ピレスロイドは800億円以上の市場を持っていることになります。

 

農薬

天然ピレスロイドは、環境中では光や空気等により短時間で分解してしまうため、また、除虫菊を原料とするのでは工業的に困難であることなどから、農薬には合成ピレスロイドが使用されています。

農作物につく害虫(農業害虫・ウンカ、カメムシ、アブラムシ等々)を駆除する農薬ピレスロイドとしては、アレスリン、エトフェンプロックス、シクロプロトリン、シハロトリン等々・・・十数種類が使用されています。速効性で、残効性があるものが主流となっています。中には農作物につくダニ類に効果を持つものもあります。

 

ピレスロイドに関する文献や特許

文献データベース「J-GLOBAL」で文献を調べてみると・・・

2018年6月時点で「ピレスロイド」というキーワードで検索すると、2100件以上の関連文献および800件以上の特許があることがわかります。

 

日本特許庁の特許データベース「J-PlatPat」で特許を調べてみると・・・

請求の範囲: ピレスロイド
⇒1300件
「被覆農薬粒剤」「害虫防除剤」「ピレスロイド系化合物の光安定化剤」「防虫シート」等が出てきます。

また、ピレスロイドに対応するFIは、「A01N53/00」になります。このFIで調査すると、380件ヒットしました。
「害虫防除用エアゾール」「加熱蒸散剤」「衣料害虫防除剤」といった特許が検出されました。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)

 

化学・農薬・バイオ関連の特許調査サービスは日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。

 

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