3分でわかる技術の超キホン ヒアリ毒とは?毒素の成分は何?

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ヒアリ

最近はあまり話題に挙がることが少なくなっていますが、日本でヒアリが発見されるとちゃんと環境省で発表されておりまして、平成31年2月にも愛知県で確認され、これで国内報告例は40件近くにもなっています。
今回は、ヒアリの毒についてご紹介してみます。

 

ヒアリとは?

和名は、「アカカミアリ」ですが、「アカヒアリ」を提唱する人もいます。
ヒアリの名前は、赤色であること、刺された時に火傷したような激しい痛みを感じることに由来します。
英名の”fire ants”は、この刺された時に火傷したような激しい痛みを感じるアリの総称になっています。

体長は、2.5~6mmで、トフシアリ属に分類されます。
ヒアリは特に触角の第3節が細長く、他のトフシアリと区別されます。
ヒアリは、原産は南米ブラジルで、基本的には蟻塚を作る定着型の種類なのです。

1930年代にアメリカに侵入し、1940年に拡大、アメリカでは毎年1400万人が被害に遭い、100名弱が死亡しているとされています。
日本では2017年5月に貨物船で発見されていますが、定着は確認されていないようです。

 

ヒアリ毒の概要

ヒアリの毒は、狩猟用の道具として進化したとの説が有力とされています。
ヒアリは敵に噛み付いて体を固定し、針を刺して毒を注入しますが、数回続けて刺すことで哺乳類などの損傷を大きくしています。

ヒアリは体内で毒を生合成しているのですが、若いうちに一生分の毒を合成し、その後は蓄積した毒を消費するだけになるとされています。
毒成分は、蛹期から合成が開始され、合成速度は成虫1~2周目で最大となり、3週目ではごく僅かとなります。

ヒアリ毒に対する生体反応は、ソレノプシンの直接的な毒作用タンパク質に対する免疫系の間接的なアレルギー反応とがあります。

 

ヒアリの主な毒成分「ソレノプシン」

ヒアリの毒成分の主体は、2,6-ジ置換ピペリジンアルカロイドで、毒液の95%を占めています。
ヒアリのアルカロイドは、他の動物ではほとんど見られないもので、他のヒアリ類のなかでも群を抜いています。

ヒアリが持つアルカロイドの総称はソレノプシンといい、2,6位がトランス体はソレノプシン、シス体はイソソレノプシンと呼ばれています。
トランス体の方が、含有率が高く、毒性も強いとされています。
中でも、ソレノプシンAは、肺機能の低下を引き起こします。ただし、人がヒアリに刺されてもごく微量の毒素しか体内に入らないため、直ちに重篤な症状にはならないとされています。

 

ヒアリの毒素のタンパク質

ヒアリの毒素には、46種類のタンパク質が微量に含まれています。

タンパク質は毒成分のわずか0.1%しか含まれていないのですが、この中の4つほどのタンパク質がいわゆるアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があるとされています
死亡するケースもあるため、上記のアルカロイドによる毒よリもこちらの方が、より深刻な症状を引き起こします

4つのタンパク質はSol i 1~4(学名がSolenopsis invictaから)と名付けられ、そのうち、Sol i 2は毒素中の全タンパク質の1/2から2/3を占めています。
このタンパク質の結晶構造も報告されており、ある種のフェロモン結合タンパク質に似ているそうです。

ヒアリはこれらのタンパク質を毒素として生産しているわけではなく、たまたま人の抗体が激しく反応してしまうということのようです。

 

その他の被害

人間以外にもヒアリは様々な害を及ぼします。

  • 鶏のヒナ、牛などの新生児が襲われることがあります。
  • 大豆の根やじゃがいもの塊茎、とうもろこしの発芽種子をかじるなどの農作物に直接被害を与えます。
  • 電線をかじりショートさせたりして、電気設備に被害を与えます。
  • 在来アリの生物多様性や密度の低下の恐れが出てきます。

日本とアメリカの過去数十年の貿易においても、これまで日本にヒアリが侵入してこなかったのは、注目すべき事実と言えます。しっかりと防除されていたのですね。

ヒアリは、大量の有翅雌が蔓延する前に根絶できれば定着を阻止できると言われていますので、今後も水際での侵入阻止に期待したいところです。

 

ヒアリに関する特許・文献を検索してみると?

(※いずれも2018年11月におけるヒット件数です)

J-PlatPatで特許を検索してみると・・・

特許請求範囲:アカカミアリ アカヒアリ  ヒアリ ・・・208件

ただし、ノイズとして「ヒアリング」が多数ヒットしてしまいました。

ヒアリに関係する特許(蟻忌避剤等)から、特許分類(FI)を抽出すると、

A01P 7/00 ・・・  殺節足動物剤
A01P 17/00 ・・・有害生物忌避剤

あたりが使えそうです。

特許請求範囲:アカカミアリ アカヒアリ  ヒアリ * FI: A01P7/00 A01P17/00・・・9件

この9件を見ると「アリ防除法」「アリ忌避組成物」などがヒットしました。
なお、キーワードとして「ソレノプシン」での検索は、1件しかヒットしませんでした。

ソレノプシン化学構造からFIとしては、A61K31/445が使えそうです。

FI: A61K31/445 * 特許請求範囲:アカカミアリ アカヒアリ ヒアリ ・・・2件

この2件をみると、ヒアリ(Solenopsis invicta)毒の抽出物を請求範囲に持つ特許がヒットしました。

 

J-globalで文献調査を行うと・・・

  • solenopsin A  ・・・67件
  • ソレノプシン ・・・64件

で検索してみたところ、いずれも合成関連の文献が多数ヒットしました。

  • ヒアリ    ・・・5765件
  • ヒアリ 毒  ・・・74件

で検索してみると、ヒアリの毒成分とその作用、結晶構造などの文献がヒットしました。

 

(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)

 


医薬・農薬関連の特許調査・文献調査サービスは日本アイアールまでお気軽にお問い合わせください。


 

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