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2024/12/3(火)9:30~16:30
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製造業(メーカー)における購買・調達業務は技術系社員が活躍できる仕事でもあります。
このコラムでは、製造業で「購買・調達」業務を行う上で、知っておきたい基礎知識を解説します。
目次
製品やサービスを社会に提供するために、外部に対価を出費するものはすべて購買業務と言えますが、製造業の購買・調達部門が扱うものは、通常は自社の製品・サービスに直接関係する原材料、部品、付属品、防錆材・塗料、梱包材などです。
本コラムでも、このような品物を対象として考えることとして、消耗品、水光熱費、業務委託・請負費、などは対象外とします。
一般的には下記のような定義づけがされることが多いです。
イメージとしては、
といったところでしょうか。
ある製品を作るために必要となる原材料や部品の中には、もちろん上記定義中の「購買」に属する性質のものも存在します。
会社によっては、部門名が購買となっていたり、あるいは資材と呼んだりする場合もあるでしょうが、ここでは個々の部門名にはこだわらず、あくまでも戦略的な購買業務(=調達)の基礎について考えることとして、本コラムでは以下「購買」に名前を統一してご説明します。
ものづくりに要する費用(原価)の内、外部へ支払う金額の占める割合は6~7割と言われています。
そのため、購買の巧拙が原価(C)低減に及ぼす影響は大です。
また、購入品に要求される技術仕様を確実に満足する品質(Q)のものを、タイムリーに(納期に)納入する(D)ことが必要です。
従って購買部門は、工場(ものづくり)の使命とされるQCDのいずれにも重要なカギを握っているのです。
そんな購買部門で働く人々には、次のような力量が求められます。
購買部門の大きな役割は次の3つです。
社内各部門及び取引先との購買業務の流れは図1のようになります。
見積評価とは価格交渉のことであると考える方も多いと思いますが、それ以外にも重要な点が多々あります。
取引先の見積仕様書が、当方の要求仕様を確実に満足しているか。
確認チェックシートを用意して、取引先に記入埋めしてもらうのも一法です。
納期、保証期間、などは適用除外事項記載があればよく読んで、取引上問題がないかよく確認することが重要です。
仕様書には当方固有の技術情報が含まれるため、受注有無に関わらず、見積依頼前に締結しておくべきです。
[※秘密保持契約(NDA)に関する詳しい説明はこちらのページをご参照ください。]
図2に価格交渉プロセスを示します。価格交渉を適正かつ的確に進めるためには、取引先の見積価額を正当に評価できる根拠、材料が必要です。
単価は、〇〇一式という価格表示でなく、材料、加工、組立など中身をブレークダウンした形で各々の単価で表示した方が、見積評価がしやすくなります。これを「単価積算方式」といいます。
発注書の他に、共通した取引条件を定めた「基本契約書」を締結します。
基本契約書に記述する内容は下記のようなものです。
また特に下記の2点についてはリスク対応上明確にしておく必要があります。
納期管理の基本として必須なものが「工程表」です。
責任者とスケジュールを明記した工程表を発注先から提出してもらいます。
その上で、購買担当者は、決められた納期が遵守されるよう遅延防止に努めなければいけません。
遅延防止対策として、次のようなものがあります。
定期的(通常毎月)、工程表に沿った進捗報告書を提出してもらいます。
必要に応じて、進捗会議を行い、遅れの場合の対策を協議します。
工程のマイルストンを設定して、中間検収ポイントを設定します。
その時点での、品質確認を行える利点もあります。手遅れにならないうちに必要な修正を加えたり、挽回策を立案したりすることも可能となります。
大型案件の場合は、進捗に応じた、分割発注とします。
受注者にとって、資金繰りの助けともなり、納期遵守にも効果があります。
ただし、納期遅延の場合のペナルティ契約など、条件を厳格にします。
以上、今回は製造業での購買・調達業務の基本知識を概説しました。
ご興味のある方は、続編のコラム「購買・調達担当者が絶対に押さえておくべき業務のポイントと心がけ」も併せてご参照ください。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)