3分でわかる技術の超キホン ターボポンプの構成部品と構造面による分類

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本コラムのポンプ連載第1回で、ターボポンプの分類についてお話ししました。
今回は、ターボポンプの主な構成部品と構造面から見たターボポンプの分類についてご説明します。
(ここでも、ポンプが扱う液体を代表して水と表現します。)
 

ターボポンプの主要構成部品は?

ターボポンプは基本的に、ケーシング、羽根車、主軸、軸受、軸封という5つの主要部品で構成されます。(その他の部品はここでは説明を省きます)

  • ケーシング:羽根車と軸などで構成される回転体を収納し、羽根車から出る水の速度エネルギを効率よく圧力エネルギに変換するとともに、耐圧容器として水密を保持する。
  • 羽根車:ある枚数の翼を持って回転して、水に速度と圧力エネルギを与える。
  • 主軸:モータなどの駆動機と連結して羽根車を取り付けて回転するとともに、羽根車が水にエネルギを与える時に必要となる動力を伝達する。
  • 軸受:回転体を支え、安定して滑らかなポンプ運転を実現するとともに、ポンプの運転により発生するスラスト(推力)を受ける。
  • 軸封:軸とケーシングの貫通部からの水漏れを封止して水密を保持する。ターボポンプは、ケーシング、羽根車、軸、軸受の構造により分類されます。

 

軸と軸受による分類

主軸が水平に設置される構造を「横軸ポンプ」、垂直に設置されるポンプを「立軸ポンプ」と呼びます。
軸受が羽根車を挟んで両側に配置される構造を「両持」、羽根車に対して片側にのみ配置される構造を「片持」、と呼びます。
米国石油協会(American Petroleum Institute)では”API610”という規格で、ターボポンプをわかりやすく分類しています。

片持構造はOH(Over Hung)、両持構造はBB(Between Bearing)、立軸ポンプはVS(Vertically Suspended)という記号をつけて、さらにケーシング構造、軸受、モータとの接続、などの違いによりOH1~OH6、BB1~BB5、VS1~VS7、の全部で18種類に分類をしています。

 

羽根車による分類

本コラム第1回で説明した、羽根車から出る水の方向による分類(遠心、斜流、軸流)の他に、羽根車の構造や、ポンプ1台あたりの羽根車の数、によっても、ターボポンプにはいくつかの分類があります。

(1)片吸込と両吸込

基本的な遠心ポンプ羽根車は、片方向から水を吸い込んで軸直角方向に水を吐き出す構造(片吸込)ですが、両側から水を吸い込んで羽根車内で合流させて水を吐き出す構造(両吸込)のものもあります。
1台のポンプでより多くの水を送りたい用途の場合に採用されます。羽根車が水に圧力を与えることで発生する軸方向のスラストを相殺して軸受の負荷を軽減できる利点もあります。

なお、両吸込羽根車は、羽根車の出口流れが軸直角方向に向かう遠心ポンプにのみ適用が可能で、斜流ポンプや軸流ポンプには適用できません。
羽根車_片吸込と両吸込
 

(2)クローズ羽根車とオープン羽根車

「クローズ羽根車」は、羽根車の翼が、羽根車を主軸に取付けるためのはめ合い部(ボス)から延びる主板と、シュラウドと呼ばれる反対側の側板に挟まれる構造のもので、強度や摺動性が高いので、高速回転に適しています

「オープン羽根車」は、シュラウドが無い構造で、スラリーや固形物を含んだ液体の移送に使用されます。
クローズ羽根車とオープン羽根車の図面
 

(3)単段ポンプと多段ポンプ

1台のポンプでより高い圧力を達成したい場合には、羽根車を複数個配列することで、羽根車数(段数)に比例した高圧力を得ることができます。
羽根車が1個のものを「単段ポンプ」、複数個のものを「多段ポンプ」と呼びます。
ただしAPI610では、2段のものまでは単段と同じカテゴリーとしています。

 

ケーシングによる分類

(1)下脚支持(フートサポート)と中心支持(センターサポート)

ケーシングを設置する脚は、ケーシングから一体構造で脚部を形成して指示部を接地面まで伸ばす(フートサポート)のが一般的です。しかし、液温が150℃以上の高温の場合には、熱膨張により発生する接続配管からの荷重の影響を緩和し、ポンプ軸心位置の変化を最小とするために、ケーシングの支持点をポンプ軸心と同一平面状とします。(センターサポート)
ポンプのケーシング図面
 

(2)軸水平割と軸垂直割

ポンプの回転体を組立時にケーシング内に挿入し、分解時に取り出すために、ケーシングは分割できる構造とする必要があります。

「軸水平割」は、ケーシングを軸心と同一面で上下二つ割としたものです。
下ケーシングに配管を接続することで、上ケーシングを外せば配管を接続したままで、回転体を上方に吊り上げて取り出せるので保守性に優れます。
ただし、水平割面の水密性にやや難があるので、高温、や高圧の用途には適用限界があります。

「軸垂直割」は、ケーシングに軸垂直方向の分割面を設けてここにケーシングカバーと呼ばれる蓋を取付ける構造です。
回転体は軸方向から出し入れするので、軸方向に保守スペースが必要なことと、ケーシング内部の点検がややしにくい面がありますが、ケーシング割面の水密性が高く、高温や高圧の用途にも適用が可能です。
 

(3)単胴と二重胴

ケーシングを二重構造とする必要がある場合があります。

①高圧対応

ケーシングには、ポンプが作り出した圧力を外部へ漏らさずに安全に水密保持する役割(耐圧)がありますが、ある程度以上の高圧になると、耐圧機能を保持するために必要な肉厚や、ケーシング割面を押えるボルトのサイズや本数が大きくなって、ケーシングのもう一つの役割である、羽根車から出た水の速度エネルギを効率よく圧力エネルギに変換するという機能に対する設計上は、不合理になります。
この場合ケーシングを、耐圧機能を持たせた外胴と、圧力変換機能を主とする内胴(中胴と呼ぶ場合あり)の二重構造とします。使用圧力が概ね20MPaを超える場合に適用します。
 

②NPSH確保(本コラムのポンプ連載第2回参照)

有効吸込みヘッド(NPSHA)に余裕がなく、キャビテーション発生の懸念があるような場合には、立軸ポンプを採用して、ケーシングをピットバレル型と呼ばれる二重構造として地上より深く掘り下げ設置して、NPSHRに対して十分な深さに羽根車を水没させることで、NPSHAを確保することができます。
液化ガス、炭化水素、飽和水など、ポンプ吸込圧力が飽和蒸気圧力に近い場合に適用します。
二軸胴立軸ポンプ

以上、構造からみたターボポンプの分類についてご説明してきました。
軸封については、また別の機会にお話ししたいと思います。
 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・Y)
 


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