3分でわかる技術の超キホン ポンプの直列運転・並列運転の注意点

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今回は、複数台ポンプを1つの系統で同時運転する場合の注意点について解説いたします。
 

1.直列運転とその注意点

要求の全揚程を達成しようとする時、ポンプ段数、回転速度と比速度Ns、あるいは駆動機出力などの制約条件から、1台のポンプで計画することが不合理となる場合があります。
このような時は、複数ポンプを直列にして合成特性として所定の全揚程を満足するようにします。

2台のポンプを直列にするときのQH特性は、各ポンプの同一流量における全揚程を足し合わせることで得られます。つまり、ポンプの段数を2倍にするのと同じ特性になります。
しかし、2台の独立したポンプを配管系統に直列設置して運転する場合に、いくつか注意すべき点があります。
 

直列運転の注意点(1):システムヘッドの調整が必要

同一のQH特性を有するポンプを増設して2台直列運転するとき、増設する前と同一のシステムヘッドカーブに対しては、運転点は1台単独時の①から②に変化します。
このとき流量はQ1からQ2へと増加し、全揚程も増加しますが1台運転時の2倍とはなりません。
流量を1台単独運転時と同一に維持して、全揚程を2倍とするためには、各ポンプの吐出弁を調整して運転点を②から③へ移行し、2台直列運転時の合成QHカーブに対して、運転流量がQ1となるように調整する必要があります。(運転点③は①と同一流量で全揚程が2倍)
直列運転特性とシステムヘッド
 

直列運転の注意点(2):後段ポンプの吸込圧

直列配置における後段のポンプは、吸込圧力が高くなる(前段ポンプの吸込圧力+前段ポンプの全揚程)ので、軸封部品やケーシングの耐圧設計に注意が必要となります。
前後段に同一ハイドロ性能のポンプを用いる場合でも、耐圧部は異なったものとなります。
後段ポンプの吸込圧
 

直列運転の注意点(3):起動の順序

後段ポンプを先に始動すると、停止している前段ポンプが抵抗となって、吸込み損失が増加しNPSHが不足する可能性があるので、前段ポンプを先に始動します。
この時、後段ポンプには前段ポンプからの吐出圧力を持った水が流入して正方向に回転します(ウオーターミルと呼ばれる現象)。後段ポンプ自身は未だ始動していないため内部では圧力損失が生じ、このために通常運転時とは逆方向のスラストがかかります。
したがって、始動時は流量を最小流量として、前段ポンプに引き続き後段ポンプも速やかに始動するようにします。
ポンプの直列運転系統図
 

2.並列運転とその注意点

流量の増減が大きく1台のポンプの運転範囲を超えるような場合、あるいは必要流量が大きく1台のポンプでは大型化して設計製作が困難になる場合などは、ポンプを複数台設置して並列運転を行うことで、経済的かつ効率的な運用を行うことができます。
例えば下図のQH特性において、最大運転流量が500であるが、普段は250~350程度の流量運転が多い場合、効率の低い点での運転が多くエネルギのムダが生じます。
そこで流量300前後に最高効率点があるポンプを2台で運用すれば1台運転と並列運転を組み合わせることで常に高効率点での運転を行うことが可能になります。
ポンプの並列運転と効率

2台のポンプを並列にするときのQH特性は、各ポンプの同一全揚程における流量を足し合わすことで得られます。2台並列運転系統図と同一性能の2台並列運転の特性曲線例を示します。

並列運転系統図と並列運転特性
 

並列運転の注意点:ポンプ性能のバラツキに注意が必要

全揚程の高いBポンプと全揚程の低いAポンプを並列設置して、Bポンプのみを先行運転していて、Aポンプを後から起動しようとする場合、Bポンプが運転中で配管系統の圧力がAポンプより高く、Aポンプは系統圧力に打ち勝って水を送ることができず、Aポンプは締切状態となり、内部における温度上昇のために水が気化して,焼き付き損傷のトラブルに至ることがあります。

下図の例では、全揚程の低いポンプAは右図で流量Q1までは締切状態となり送水できません。(システムヘッド①)
Bポンプの吐出弁を開いて系統圧力をAポンプの全揚程より低いシステムヘッド②まで抵抗を下げればAポンプは送水できますが、ポンプA流量<ポンプB流量となって、偏りが生じます。
Aポンプは小水量運転、Bポンプは過大流量運転となって振動などトラブルを生じる恐れもあります。

特性の異なるポンプ並列運転
 
従って、並列運転を行う際は、各ポンプのQH特性の差はなるべく少なくなるようにすることが望ましいです。
 
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・Y)
 


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