- 注目のセミナー
Roll To Roll 実務者の乾燥プロセス道場 in秋葉原(セミナー)
2025/3/7(金)13:00~17:00
お問い合わせ
03-6206-4966
表面処理の中で、「メッキ」(めっき・鍍金)と「塗装」は広く使用されている処理方法ですが、両者にはどのような違いがあるのでしょか?今回は、メッキと塗装の違いと、それぞれの特徴(メリット・デメリット)について説明し、両者の使い分けのポイントをわかりやすく解説します。
目次
はじめに、メッキと塗装の目的について確認してみます。
メッキと塗装は、両者とも素材の表面にμm単位の薄い皮膜を形成する表面処理です。
メッキ・塗装による表面処理には、大きく分けると3つの目的があります。
以上の保護、装飾性向上、機能付与の仕様については、メッキと塗装では多少異なる部分もありますが、主な目的は同じです。
メッキと塗装の技術的な大きい相違点は、被膜のタイプの違いです。
物理の法則からするとファンデルワールス力は、金属結合に比較すると、はるかに弱い結合力です。それでは、塗装はすぐに剥げてしまうのかと言うとそうではありません。樹脂を含んだ塗料は高分子なので活性点が無数にあり、結果として大きな付着力になります。
それでも、メッキの結合力と比較すると、塗装の結合力は弱いと言えます。
この結合力の相違から起因して、メッキと塗装はそれぞれ以下のような特徴があります。
メッキ処理には以下のような特徴があります。
《メッキのメリット》
《メッキのデメリット》
一方、塗装処理の特徴としては以下の点が挙げられます。
《塗装のメリット》
《塗装のデメリット》
以上のように、メッキと塗装はそれぞれ異なった特徴があり、目的や用途に合わせて使い分けが重要です。
ここまで「メッキ」と「塗装」の違いについてご説明してきましたが、「メッキ塗装」という紛らわしい言葉も使われています。
「メッキ塗装」は、金属を吹き付けによる「メッキ風塗装」のことを指すことが多いです。
素材の表面に銀などの金属を含んだ塗料を吹きかけ金属を析出し、その上に透明な塗装を行う方法であり、メッキのような光沢、質感を得ることができます。
その一方で、比較的はがれやすく、均一性もメッキほど高くはありません。
名前こそ紛らわしいですが、外観がメッキに似ている塗装(メッキ調の塗装)の一種(スプレー塗装)と考えることができます。
今回は メッキと塗装の相違点とそれぞれの特徴を整理してみました。
下記表1に両者の比較をまとめていますので、参考にして下さい。
【表1 メッキと塗装の目的・相違点まとめ】
目的 | 相違点 | 特徴 | ||
メリット | デメリット | |||
メッキ |
①保護 ②装飾性向上 ③機能付与 |
メッキは素材の表面に金属皮膜を形成⇒素材の原子と原子間の結合(金属結合) |
|
|
塗装 | 塗装は素材の表面に樹脂を含んだ皮膜を形成⇒素材の分子と分子間の結合(ファンデルワールス力) |
|
|
次回は、メッキの種類と原理・特徴について解説します。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)