【生産技術のツボ】除去加工とは?その種類(分類)と概要を初心者向けに解説
今回は、金属の機械加工の一分野である「除去加工」の基礎知識ついて解説します。
1.機械加工の分類・除去加工の位置付け
(1)機械加工の大分類
「機械加工」を材料から形になるまでの過程で大分類すると、以下の3種類に分けらます。
- 「除去加工」: 金属を除去する加工で、質量が減少する加工です。切削、研削などがあります。
- 「付加加工」: 金属を接合する加工で、質量が増加する加工です。溶接、接着などがあります。
- 「成形加工」: 型を使用し、質量が変化しない加工です。プレス、鋳造などがあります。
(※成形加工は「変形加工」と呼ばれる場合もあります。)
(2)除去加工とは?
「除去加工」は、金属を除去することにより、部品を目的の形状に仕上げる加工です。
従って、一般的には、成形加工(プレス加工)、付加加工(溶接加工)の後工程の仕上げ用に使用されます。
除去する部分に無駄が発生しますが、複雑な形状を精度良く加工できます。
2.さまざまな除去加工
最も広く知られている切削、研削、研磨加工について説明します。
※広義では、この3つの加工全てを「切削加工」という場合もあります。
また、研削と研磨を合わせて「研磨加工」と呼ぶこともあり、会社により様々です。
ここでは、以下に示すような定義で、切削、研削、研磨を区分します。図3はそのイメージ図です。
(1)切削加工
「切削加工」とは、切削工具であるバイトやフライス工具などを使って金属を削る除去加工法で、所要の寸法、形状にする加工方法です。
(2)研削加工
「研削加工」とは、研削工具である砥石を使って金属を削る除去加工法で、所要の寸法、形状および表面粗さなどに仕上げる除去加工方法です。
(3)研磨加工
「研磨加工」とは、遊離砥粒や固定砥粒を工作物に定圧で押し付けて、金属表面を磨く除去加工法です。
なお、研磨加工は、「砥粒研磨(とりゅうけんま)加工」とも言われる場合もありますが、ここでは、最も広く使用されている「研磨加工」で統一します。
(図3の③は遊離砥粒を使用したラッピング研磨の例です)
その他、除去加工には、「放電加工」、「レーザ加工」などもあります。
ということで今回は、除去加工に関する前提知識を中心にご紹介しました。
次回は、除去加工のうち「切削加工」の種類・用語・理論などについて解説します。
なお、除去加工に関連する設計面の基本事項については、別コラム「研磨加工の基礎知識と設計上の注意点[加工の種類と原理・表面粗さとの関係など]」にも解説がありますので、併せてご参照ください。
(アイアール技術者教育研究所 T・I)