《利益に直結》在庫管理の基本をチェック!発注方式の種類/経済的発注量/カンバン方式など要点解説

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在庫管理

企業間の競争がグローバル化し、競争が激化している現在、企業がいかに素早く適切な対応をとるかが成否の分かれ目となります。製造業においては、生産管理の良し悪しが極めて重要であるといえるでしょう。これは製造会社(メーカー)の仕事は、生産管理が中心となって進められている面が大きいからです。

そこで今回は、生産管理の中で、会社の利益に直接関係する「在庫管理」について説明します。

1.在庫管理とは?

在庫品を持つことは、品切れを避けるために必要ですが、以下の無駄(損失)が伴います。

  • 直接的損失:劣化が発生したり、モデルチェンジなどで、売れ残り発生による損失
  • 間接的損失:金利、倉庫賃貸料、保険、維持管理費の発生による損失

顧客要求を満たせる範囲で、これらを最小限に管理していくことが必要であり、適切な在庫管理が重要となってきます。さらに在庫量をしっかり計算することで、経営状態を把握し、今後の計画に活かす。それが、在庫管理をする目的になります。

 

2.在庫量調整と発注手配

次に、どのように在庫量を最適に維持すればよいかについて説明します。

在庫管理には「入庫」と「出庫」がありますが、「出庫」は顧客によって決まる場合が多く、調整できる部分が少ない傾向にあります。
一方、「入庫」に関しては、自分の会社で調整しやすい部分です。

 

在庫量調整と発注手配
【図1 在庫量調整と発注手配】

 

入庫の調整は、発注手配を「いつ」行うか、「どのくらい」行うかの2つです。
なお、ここでの発注手配は、主に購買と外注の部品・材料が対象です。

 

3.発注手配方式の違い

発注手配方式は以下の4通りあります。在庫への影響を考慮して進めます。

 

(1) 定期定量発注

一定期間で、一定量の部品を発注する形式です。
発注方式は簡素となりますが、販売量に変動がある場合は在庫の調整が難しくなります

 

(2) 不定期定量発注

在庫が一定量を下回った時に、一定量を発注する方式です。
在庫量が少なくなり過ぎたり、過剰になることが発生しやすいというデメリットがあります。

 

(3) 定期不定量発注

一定の発注時期を決めて、必要量を発注する方式です。
突発的な需要の変動に対応しにくいことがネックとなります。

 

(4) 不定期不定量発注

需要に応じて必要な時に、必要な量を発注する方式です。
在庫は調整しやすいですが、発注業務が複雑になるためIT化が必要となります。

 

4.経済的発注量の考え方

前項の発注手配の方式の違いによりメリット・デメリットがありますが、経済的に最適な発注量をどのように求めたらよいかについて説明します。

まず、発注業務に関連しては以下の2種類の費用が発生します。

一つは、「発注費」です。
具体的には、発注手続き費用、電話代などです。総発注量が同じ場合、1回当たりの発注量が小さいと、発注回数が多くなり、発注費が大きくなります。

もう一つは、「在庫維持費」です。これは、在庫を持つことに関してかかる費用です。
1回当たりの発注量が多いと、在庫数量も多くなり、これに比例して在庫維持費も増大します。

経済的発注量は「発注費+在庫維持費」が最も小さくなる時の発注量で決めます。
下図のようなイメージです。

 

経済的発注量
【図2 経済的発注量のイメージ】

 

5.カンバン方式による手配

これまでは倉庫の在庫管理を説明しましたが、生産ラインのなかにも在庫品が溢れています。

倉庫と生産ラインの在庫品の無駄を極力省いた方式の一つに、トヨタ自動車で生まれた”JIT“(Just In Time、ジャスト・イン・タイム方式)があります。簡単にいうと、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ調達・生産する」という考え方です。

具体的には、「何を、いつまでに、何個必要か」が書かれた“カンバン”と呼ばれる伝票を生産工程の下流から上流へ渡していきます。生産工程の下流からカンバンを受け取った上流の工程では、カンバンに書かれた分の個数の製品・部品を製造したり、部品、材料の調達を行います。
従って、ただちに使用されない部品、材料は社内に存在しないことになります。この結果、在庫は常に最小の状態ということになります。

 

カンバン方式による手配
【図3 カンバン方式による手配】

 

カンバン方式はムダが発生しないという利点もありますが、調達先も含め「必要なときに、必要なものを供給してもらえる」という仕組みを十分に整備してからの運用が不可欠と言えるでしょう。
 

(アイアール技術者教育研究所 T・I)

 

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