プラスティック、レジン、そしてポリマー
一般的に、樹脂を「プラスティック(プラスチック)」と呼びますが、正確には「合成樹脂」です。
それでは、プラスティックとプラスティック材料を表す、レジンやポリマーという言葉と、どのような関係や差があるのでしょうか。
合成樹脂と天然樹脂
樹脂は、元々、樹木から出る樹液(固まって硬くなる)を表します。この樹脂を表す英単語がレジン(resin)です。樹液そのものは、天然の樹脂ですので、“natural resin” と呼びます。
一方、エチレンの重合によりポリエチレン(PE)を作るように、化学物質を用いて、樹脂と似たような外観、特性を持ったものを合成したのが合成樹脂、“synthetic resin” です。すなわち、レジン=樹脂で、合成レジン=プラスティックです。天然の樹脂(ゴムの木の樹液)からは、ゴムも作られます。
ポリマー = プラスティック ??
プラスティックの原料は、石油からの蒸留分離生成物であるナフサです。ナフサから、モノマーと呼ばれる、同種で小さい分子の化学成分が得られます。このモノマーが多数結合して構成される重合体をポリマーと呼びます。ポリマーはモノマーに比べ、高分子となるため、高分子化合物とも呼ばれます。ポリエチレンで言えば、モノマーのエチレンを重合化して、ポリエチレンというポリマーが作られます。
すなわち、プラスティックは、ポリマーであるものが多いが、ポリマー=プラスティックではなく、合成ゴムやタンパク質、核酸も高分子多重体なのでポリマーと呼びます。
plastic と elastic
ナフサを原料とした化学合成物である‘プラスティック’は、さらに開発が進み、エンジニアリングプラスティック(エンプラ)、炭素繊維強化プラスティック(CFRP)などと呼ばれるプラスティックが登場することなり,工業分野でも、日常分野でも広く使われる言葉となりました。
一方、プラスティックをそのまま英語にすると、plasticですが、機械工学分野で、plasticは‘塑性の’を表し、elastic(弾性の)の対義語となります。鋳鉄は合金鋼に比べ弾性が低く、‘plastic’です。
プラスティック材を英語にするときは、plasticではなく、resinとしておいた方が良いですね。
プラスティックとエラストマー
プラスティックは、plasticな特性を持ったポリマーだと言えますが、一方elasticな特性を持ったポリマーは、エラストマーと呼ばれています。エラストマーの一つ、スチレン系ゴムは、自動車用タイヤ材として使われています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 H・N)