過去トラは貴重な教育資料
クレームは設計者の良き先生
設計者は、誰でも良い品質(高機能、高性能、高信頼性、高安全性・操作性)の製品を世の中へ送り出すべく日々全力を尽くしています。
しかし、神ならぬ人間の行うことですから、いかに設計検証、試験による妥当性確認、デザインレビューによる審査を重ねても、思わぬトラブルを招いてしまうことは、設計者であれば誰でも一度ならず経験しているはずです。
重要なことは、経験した失敗を貴重な教訓として次に生かし、設計の力量を高めていくことです。
過去トラは、貴重な設計ノウハウ
過去に経験したクレームやトラブルを「過去トラ」と呼びます。
設計者個々人にとってのみならず、企業全体にとっても「過去トラ」は設計品質を高めていくための貴重なノウハウであるとも言えます。したがって、「過去トラ」は体系的に整理して設計資料として共有化すべきです。
ところが、この貴重な財産がトラブルを経験した設計者個人のファイルか頭の中だけに残り共有財産化されていない例が多くあるように見受けられます。その理由は、一度クレームが発生すると設計者はその対応に多大な負荷を強いられて、膨大な報告書を作成し、ようやく解決するとほっとして一休みもつかの間、すぐ次の仕事へと忙殺される日々の繰り返しという事情もあるのでしょう。
そこであまり手間をかけずに貴重な経験をノウハウとして残すためにA4―1~2枚か、A3-1枚以内でフォーマットを統一して、下記のようにトラブル内容を簡潔にまとめて共有化すると良いでしょう。
- 発生年月日
- 納入先、使用条件
- トラブルの概要 (写真つき)
- 推定原因
- 対策
- 水平展開
過去トラは貴重な教育資料
「過去トラ」を反映した対策には、たとえば、ある特殊な表面仕上げであったり、角部の円弧加工や面取りであったり、などその製品の通常の設計計算手法からだけではわからない理由が隠されている場合があります。
したがって、「過去トラ」整理表と図面を突き合わせてみることで若い設計者にとっては貴重な教育資料ともなります。
経験豊富なベテラン設計者が多く退職していく前に、貴重な「過去トラ」の体系的整理が望まれます。
(アイアール技術者教育研究所 S・Y)
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