医薬品開発における製剤開発の各段階で必要となる統計解析基礎講座
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医薬品は、μgやmg単位の薬物が体内に投与されます。
最適な投与量を確保するためには、薬物が1錠・1カプセルごとに均等に配分されていなければなりません。
そのためには、薬物や添加物等を均一に混ぜ合わる工程(混合・練合)が必要になってきます。
今回は、医薬品製剤技術のうち、混合・練合のプロセスについて簡単にご紹介いたします。
「混合」とは、2種類以上の粉体を混ぜ合わせて均一な組成にすることをいいます。
「練合」とは、固体と少量の液体を混合することをいいます。
なお、液体と液体、液体と少量の個体を混合することは「攪拌」、高粘性あるいは塑性流体の混合は「捏和」(ねっか)といいます。
混合・練合は、主に製剤含量の均一化のために行われる工程です。
医薬製剤は、医薬品原料に添加物を加え(希釈化)製造されますが、混合物の均一化が保てない場合、製剤の含量が均一にならず、医薬品の効果に影響が出てくることになります。当然、含量均一性試験をパスしないことになります。
また、製剤への影響が出る可能性があり、例えば、崩壊性や硬度等々のばらつきの原因にもなります。
混合・練合の機構は複雑であり、単一の機構で混合されるものではありませんが、おおむね下記のような機構が知られています。
対流混合は全体的な混合で、拡散混合とせん断混合は局部的な混合といえます。
対流混合と拡散混合は高速ですが、せん断混合は一般的に速度は遅いです。
混合・練合に用いられる機械としては、下記のようなものが用いられます。
なお、混合は従来バッチ式で行われていましたが、製造原価の低減等のメリットがある連続混合が注目されています。
混合・練合における品質に影響を及ぼす要因としては下記のものが考えられます。
粉体の粒度分布、粒子形状、流動性、水分などの影響があります。
粒子形が大きく、粉体間の粒子径や密度に差がない、流動性の良い粉末同士が良好な混合物が得られます。
混合機の種類(混合機構)、形状、容積などの影響があります。
仕込み量、投入順、混合比、混合速度、混合時間などが挙げられ、仕込み量が少なく、混合比が1に近いと良好に混合されます。
混合は、混合開始初期には急速に進み、その後は平衡状態になります。
添加物や条件によっては、時間をかけすぎると分離等の悪影響が出てくる場合もありますので、各製品にとっての最良の条件を見つけ出す必要があります。
以上、今回は医薬品製剤技術のうち、「混合」「練合」に関する基礎知識をご紹介しました。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 S・T)