3分でわかる技術の超キホン レーザの分類(種類)と特徴・用途をミニマム解説!
光通信では、光源としてレーザが使われています。
数あるレーザの中でも「半導体レーザ」と呼ばれるものが使われています。
表1に媒質によって分類したレーザの例を示します。
今回のコラムでは、各分類における代表的なレーザについて説明します。
レーザの分類 | 例 | 主な用途 |
固体レーザ |
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医療 金属加工 |
液体レーザ |
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分光測定 |
ガスレーザ |
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医療 レーザ加工 |
半導体レーザ |
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通信 計測 |
【表1 媒質で分類したレーザの種類】
1.固体レーザ
固体レーザは、媒質が固体(半導体を除く)であるレーザです。
固体レーザとしては、「ルビーレーザ」と「YAGレーザ」がよく知られています。
ルビーレーザは、1960年に世界で初めて発振させたレーザです。
ルビーレーザ光の波長は693nmで赤色光です。主に医療用に使われています。
YAGレーザは、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)結晶を媒質にしています。
YAGレーザ光の波長は1.064μmの近赤外線です。マーキングなど主に金属加工に使われています。
固体は、液体や気体に比べると単位体積中に含まれる原子が多くなります。
そのため、固体レーザは、増幅利得が高く小型でもレーザ光出力が大きくなります。
2.液体レーザ
液体レーザは、媒質が液体であるレーザです。
実用化されている液体レーザとしては「色素レーザ」があります。
色素レーザは、媒質として色素分子を有機溶媒に溶かした有機色素を用いています。発光スペクトルが広く、使用する色素などにより、可視光も含んだ波長を連続的に選択できる、いわゆる波長可変レーザです。
そのため、分光測定や分析に使われています。
また、超短パルスの光源としても利用されていましたが、寿命が短いため、最近は他のレーザに置き換わってきています。
3.ガスレーザ
ガスレーザは、媒質が気体であるレーザです。
ガスレーザは、固体レーザや液体レーザに比べて媒質が均質であるため、損失が少なくなります。
共振器の構造を大きくとることで大きなレーザ出力を得ることができます。
代表的なガスレーザの一つである炭酸ガスレーザ(CO2レーザ)は、高出力であり、金属以外ほとんどの材料の加工に適しているため、レーザ加工機、レーザ溶接に使われています。
また、レーザメスなどの医療用にも使われています。
CO2レーザ光の波長は10.6μmの遠赤外線でありレーザ光は目で見えませんので、他のレーザにももちろん当てはまりますが、取扱いには注意が必要です。
4.半導体レーザ
半導体レーザは、媒質が半導体であるレーザです。
「レーザダイオード」(LD:Laser Diode)と呼ばれることもあります。
半導体自体は固体に含まれますが、レーザを分類する際には、固体レーザと半導体レーザは区別されます。
半導体レーザの媒質としては、Ⅲ-Ⅴ族半導体、またはⅣ-Ⅵ族半導体などが使われます。
媒質では、光の誘導放出が起こりやすくするために、反転分布(※1)を形成する必要がありますが、他のレーザ媒質と異なり半導体ではpn接合(※2)に順方向バイアスをかけることで反転分布を形成しています。
また、誘導放出を起こす入射光の波長域が広いという特徴もあります。
半導体レーザは、小型で量産可能なためレーザポインタや光通信用に使われています。
(※1):反転分布の形成方法については「レーザの発振条件・まとめ解説」をご参照ください。
(※2):pn接合の説明については「pn接合とは?P型/N型半導体の基礎知識と接合の原理」をご参照ください。
(日本アイアール株式会社 N・S)