【中小製造業の人材育成】人手不足の時代に必要な考え方|もはや「新しい人で補う」は絶望的

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人手不足の中小製造業

日本の総人口「1億2494.7万人」 
前年に比べ55.6万人(-0.44%)の減少

うち15歳~34歳までの企業が求める年齢層は2463.3万人
前年に比べ14万5千人(-0.59%)の減少

このような状況で「人手不足は新しい人で補う」という発想はもう通用しません。
今回のコラムでは、特に中小製造業を想定した「人手不足攻略」の3つのポイントをご紹介します。

 

《ポイント1》QCD +T に取り組んでいるか?

製造業の基本ともいえる、”QCD”(Quality:品質・Cost:コスト・Delivery:納期)はご存知ですよね。
QCDを考慮し、今の生産工程や業務内容の見直に取り組まれている企業も多いと思います。

ですが、QCDが出来ていても人材の確保に繋がっていないという企業は「+T(Teaching:教育・練習)」が含まれていないかも知れません。

「ちゃんと教育している」とおっしゃる経営者の皆さんに質問です。

  • 教えた内容はどれほどの時間で習得させますか?
  • 習得させる結果(Goal)と期間を決めたトレーニングですか?
  • 習得した結果(Goal)について、指導者、習熟者と一緒に確認する機会を作っていますか?

この3点が全て「Yes」でなければ、それは「+T」ではありません。
「+T」は、教えたことが「再現」できることです。

「+T」を実施しても人手不足の課題があるという企業様は、「Teaching」の内容を見直す必要があります。

 

《ポイント2》育成時間の短縮化に取り組んでいるか?

時計メーカーのSEIKOが毎年発表している「セイコー時間白書」という統計データがあります。
その2022年度版で、10代から20代の時間に関する意識調査について集計データが公表されています。
(※セイコー時間白書2022のURL: https://www.seiko.co.jp/timewhitepaper/2022/detail.html )

その中で、意外に感じた答えが「時間が制限されたり追われたりする方が楽しく頑張れる」という質問に対して「そう思う」と答える10代・20代が多かったことです。

「時間」という考え方は、経営者の方と10代~30代の方では大きな違があります。この違いが、生活スタイルや仕事の取り組み方の意識差に繋がっているのかもしれません。

特に仕事の覚え方について、経営者の方は「離職を防止したいから、ゆっくり時間をかけて教えたい」と思うかもしれません。しかし、10代~30代の方は出来るだけ短期間で効率よく仕事を覚え、仕事のタイムマネジメントは自分で行いたいと考えている方が多いのです。

この意識のずれが、社内教育のミスマッチを産み、育成の効果を出にくくしている要因にもなっています。
現在の社員育成は、計画を立て短期集中で行わせた方が効果的なのです。

 

《ポイント3》誰でもできる環境を作っているか?

中小企業の製造業支えているのは多くのベテラン社員(技術者・技能士)さんです。
そのベテラン社員さんがいるから、自社は大丈夫とお考えの経営者さん

  • その方のご年齢はお幾つですか?
  • その方の退職後に誰がそのノウハウを社内に伝えるか、体制や仕組みは出来ていますか?

会社のノウハウの殆どが、特定の社員だけが把握している「ノウハウのブラックボックス化」。これも中小製造業を悩ませる課題です。
中小製造業の経営者の中には、「ベテラン社員さんのご機嫌が悪くなると、その日の仕事が滞るので、その点は触れないようにしている」という方も散見されます。しかし、これでは問題解決にならないこともよくご存じのはず。できるだけ早く、ノウハウも含めた自社業務の全容を把握しておくことは極めて重要です。

また、正社員だけではなく、パート・アルバイト・臨時雇用の方・外国籍の研修生など、知識・スキルにバラツキがあるメンバーに短期間で仕事を振って、必要な生産状況を維持することが必要です。そのためには、誰でもすぐに仕事に取り掛かれるように、仕事を見える化しておくことが不可欠です。

 

工場の壁に大きなパネルを貼っただけでも効果が?

以前に筆者がコンサルティングさせて頂いた、社員数20名ほどの小さな製造業では、スタッフの出入りが激しく、生産品質の統一化が難しいという課題がありました。
その会社は生産工程が8パートに分かれていましたが、工場の規模が非常に小さいこともあり、各パートごとの作業の手順と留意事項を記載した大きなパネルを壁に貼ることで、全スタッフがいつでもそれを確認できるようにしました。
工場の壁に貼った作業手順
たったこれだけのことですが、初めて仕事をする方の戸惑いは減り、指導者の説明も簡単な内容で済むようになりました。そして、説明時間が減る分、実践での指導時間がこれまで以上に取れるため、製品ロスが格段に減ったそうです。
指導者がいなくても、手順や注意点を目の前のパネルで確認ができるというだけで、生産性向上へと繋がるのです。

 

中小製造業が人手不足の時代と向き合うには

「人手不足攻略」の上記3つのポイントは「離職させない工夫」でもあります。
人手が足りないからといって、「新しい人で補う」採用ばかりに力を入れ、今いる社員を活かすという社内教育が手薄になっている企業もあります。

日本の総人口は減少を辿る中で、「人手不足は新しい人手の確保」という発想をしていては、事業は行き詰まり、経営危機を招きます。

  • 今いる人材を、今以上に活用する方法を考える
  • 人が出入りしても、短期間で即戦力として育てるトレーニング体制を考える

社員活用の考え方、次の時代を見据えた考え方に変えていますか?

 

(※この記事は、OJT・社内指導法の改革の専門家 権堂 千栄実 講師からのご寄稿です。)

 

 

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