3分でわかる技術の超キホン ホール素子とは?原理・使い方などを初心者向けに解説
今回は、電子回路部品のうち「ホール素子」について説明します。
1.ホール素子とは?
電子回路を構成する部品のうち、ホール素子は、磁気を検知する磁気センサと呼ばれるものの一部です。
ホール素子は、磁気センサの中でも代表的なものであり、「ホール効果」と言われる電流磁気効果を応用したセンサです。
電流磁気効果とは、電流の流れている半導体や金属の板に垂直に磁場をかけると、電流と磁場に垂直な方向に電場(ホール電場という)が生じ起電力が発生することをいいます。
ホール素子は、ノートPCの開閉に用いられる非接触スイッチや、デジカメの超小型モーターなどにも用いられ、私たちは、意外とその恩恵を受けています。
2.ホール素子の原理
【図1 ホール素子の原理(起電力の発生)】
図1は、ホール素子の原理を示す図です。ホール素子に電源を接続して電流Icを流し、図のように磁界Bをかけると、電流と磁界の垂直方向に起電力VHが発生します。
これは、ある方向に電流が流れているときに垂直方向(この場合上方から)に磁場がかかると、ローレンツ力を受け、電流の方向と直角方向に荷電粒子の進む方向が曲げられます(フレミングの左手の法則)。
その結果、+側に帯電する面と-側に帯電する面が現れ、起電力が発生します。
ここで、起電力VHは、
VH=R・B・Ic (Rは、ホール素子の材質や構造による係数)
の関係が成り立ちます。
このように、磁界と電流との間には比例関係が成り立つので、電流値を測定する電流センサなどにも応用されています。
3.ホール素子の種類・材料
ホール素子の起電力は、磁束密度、電流、キャリアの移動度に比例するので、感度のよいホール素子をつくるには、移動度の大きい半導体を用いる必要があります。
ホール素子はゲルマニウムやシリコンを用いてもつくることができますが、移動度の大きいInSb(インジウム・アンチモン)、InAs(インジウム・ヒ素)、GaAs(ガリウム・ヒ素)などを用いて、高感度の素子をつくることができます。
ホール素子の材料別の特徴
ホール素子は、主に上記の3種類の材料のものが多いです。材料ごとに特徴を見てみます。
- InSb:3種の中で最も感度が高いホール素子です。
- GaAs:3種の中で最も温度特性が安定しています。
- InAs:感度も温度特性も上記2つには劣りますが、バランスが良いホール素子です。
ホール素子を選ぶときは、用途によって、使い分けることが必要となります。
4.ホール素子の使い方・用途
図2は、ホール素子の基本的な使い方を示しています。
図の(a)は、ホール素子を定電圧で動作させるもので、(b)は、定電流で動作させるものです。
【図2 定電圧操作と定電流動作】
定電圧動作は、回路が簡単に構成できる特徴があります。
また定電流動作は、電流源回路などが必要となるため回路は複雑になりますが、定電圧動作より高精度にできる特徴があります。
用途によって、使い分けることが必要となります。
また、ホール素子単体での部品も存在しますが、実際にはホール素子を内蔵した、「ホールセンサ」や「ホールIC」という名称の電子部品が使われるようになってきました。
これらは、ホール素子の出力を増幅したり、機能や性能を改善したりして、使いやすくしているものです。
ホールICの種類
ホールICでは、大きく分けて2種類のものがあります。
一つは、磁力によってスイッチのオンオフをさせるタイプです。
磁石のN極検出、S極検出、両極検出があります。ノートPCの開閉スイッチなどに使われます。
もう一つは、N極/S極の強さに応じて出力をリニアに変化させるタイプです。
例えば、ホールICとN極との距離が近づくと出力電圧値が上昇し、S極との距離が近付くと出力電圧値が下降するものがあります。
電流センサでの電流検出やブラシレスモータの位置検出などに使用されます。
以上のように、ホール素子は現在の電子機器に欠かせないものになってきています。
(日本アイアール株式会社 特許調査部 E・N)